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「インターネット白書2006」で見るインターネットの現在(4)

音楽コンテンツの購入意欲は高い、IPTVやVODの利用者は1割弱にとどまる

 インターネットの利用実態について統計データをとりまとめた「インターネット白書2006」(監修:財団法人インターネット協会、発行:インプレス R&D、定価:7,140円)が6月15日に発売された。今回は白書の中から、有料コンテンツと動画配信サービスの利用動向について取り上げる。

 なお、有料コンテンツと動画配信の利用動向については、アクセスメディアインターナショナルが2006年4月に実施したWebアンケート調査をもとに分析している。この調査では、自宅からインターネットに接続している13歳以上の男女を対象にして、Webによるアンケートを実施。有効回答数は1,705サンプルとなっている。


有料コンテンツでは音楽が一番人気

 音楽ファイル、オンラインゲーム、電子書籍といった有料コンテンツの購入状況を見ると、「購入したことがある」は32.6%で、2005年の29.1%よりもわずかに増加した。なお、2006年の有料コンテンツは音楽、ゲーム、電子書籍のみを対象にしており、2005年とは有料コンテンツの定義が若干異なるが、代表的な有料情報コンテンツの購入について聞いているため、比較対象としている。

 有料コンテンツ購入経験者556サンプルに聞いた、購入ジャンル(複数回答)は「音楽/ミュージックファイル」が70.9%でトップ。「電子書籍」と「オンラインゲーム」は37.4%で同率だった。性別・年代別で見ると、男性30代では、すべての有料コンテンツのジャンルにおいて購入率が高い。なお音楽/ミュージックファイルについては、男女ともに40代の購入率が高いという。


有料情報に支払っている1カ月の金額
 また、有料コンテンツ購入経験者556サンプルが1カ月に支払っている金額は「500円未満」が50.2%で全体の半数を占めており、「500円~1,000円未満」の22.3%と合わせると72.5%になる。これは2005年の1,000円未満購入者率合計である72.2%と比較してほとんど変わっていない。

 音楽、ゲーム、電子書籍の購入経験者に対して、今後も継続して購入するかを聞いたところ、音楽に関しては67.5%が「購入したい」と答えた。電子書籍は50.0%、ゲームは46.6%だった。

 有料コンテンツ購入経験の有無に関わらず、今後購入したいジャンルについて聞いたところ、最も多かったのは音楽/ミュージックファイルで30.1%、特に10代女性の購入意向が強い。次に電子書籍15.4%、オンラインゲーム10.6%と続く。男女とも20代と30代の購入意向が強い。しかし、「特になし」が61.6%で全体の半数以上を占めていることから、購入に関心のないユーザーが多いこともわかった。


音楽配信ではiTunes Music Storeの利用者が目立つ

音楽をダウンロード購入したサイトの種別(複数回答)

ダウンロードした音楽を楽しむ機器(現在利用中と今後利用したい)(複数回答)
 有料コンテンツの中でも特に購入者が多かった「音楽/ミュージックファイル」の394サンプルに、ダウンロード購入したサイトの種別(複数回答)を聞いたところ、「iTunes以外の音楽配信サイト」が58.9%で最も高く、次いで「iTunes Music Store」31.5%、「携帯向け着うたフル提供サイト」17.5%となった。ただし、「iTunes以外の音楽配信サイト」には複数のサイトが含まれることから、サイト単体で見た場合「iTunes Music Store」を利用するユーザーは多いと言える。

 また、ダウンロードした音楽を聴く機器で現在利用しているものと、今後利用したいものでは、「パソコン」を利用しているユーザーが89.3%で最も多く、さらに58.1%が今後も利用する意向を示した。これは、回答者がパソコンユーザーであるため、音楽サイトからダウンロードしてそのまま聴いていると思われる。その他の機器では、「iPod」27.7%、「iPodのような携帯メディアプレイヤー」24.6%、「携帯電話」21.8%というように、ダウンロードした音楽を携帯して聴くユーザーも多く、それらを今後利用したいとする比率も高かった。

 なお、ダウンロードした音楽を再生するソフトでは、「Windows Media Player」を利用するユーザーが62.4%で最も多かった。次いで「iTunes」43.4%、「RealPlayer」31.0%、「SonicStage」21.1%などとなっている。


IPTV、VODの認知率は高いが利用者は少ない

IPTVまたはVODサービスの契約状況
 ブロードバンド回線を介したIPTVまたはVODサービスについて聞いたところ、1,705サンプルのうち、「内容までよく知っている/どういうものか説明できる」13.4%、「どんなものかだいたい知っている」33.5%、「名前は聞いたことがある」32.1%で、合計認知率は79%という結果になった。これは、2005年の79.9%と同様になるが、内容まで熟知して説明できるユーザーが、2005年の8.8%から2006年は13.4%に上昇。動画配信サービスへの理解度が深まったことが窺える。

 IPTVまたはVODサービスの認知者の中から、ブロードバンド利用者1,287サンプルに実際のサービス利用状況(試験サービス含む)では、「すでに契約して利用している」5.1%、「試験サービスを利用している」3.5%となり、実際の利用者比率合計は8.6%と少ない。これは、動画配信サービスを提供している事業者も少なく、地上波テレビやケーブルとの差別化が不明瞭であることや、ビジネスモデルがまだ発展途上であることが、利用されていない原因だと思われるという。

 利用しているIPTVまたはVODサービスの種類(単一回答)では、「GEO@チャンネル」14.4%、「BBTV(Yahoo! BB)」9.9%、「OCNシアター(Bフレッツ)」7.2%などが上位に挙げられている。それらを視聴する機器としては、79.3%が「パソコン」を使用している。インターネット回線を利用するため、ルータなどを改めて設定する必要のあるテレビより、すでにインターネット接続環境が整っているパソコンを使うユーザーが多いと考えられる。

 また、IPTVやVODサービスを利用していない1,236サンプルに今後の利用予定を聞いたところ、「時期はわからないが利用したい」が58.6%となった。3カ月以内、6カ月以内、1年以内といったように利用開始時期を決めているユーザーは合計しても2%ほど。契約増加のポテンシャルは高いものの、時期未定者が多く、今すぐに利用したいという切迫感の薄さが窺える。

 IPTVやVODサービスを「利用しない/したくない」と回答した488サンプルに、その理由(複数回答)を聞いたところ、「今のテレビで十分だから」49.4%、「有料だから」48.0%という意見が多かった。


無料かつコンテンツ数の多い動画配信サイトが人気

 IPTVまたはVODサービス利用者111サンプルが、有料無料に関わらず視聴している動画配信サイト(複数回答)では、「GyaO(USEN)」が78.4%、「Yahoo!動画」が61.3%で上位を占めた。これらは、30代と40代の男性が特に多く利用している。他のサイトでは、「BIGLOBEストリーム」19.8%、「gooブロードバンドナビ」18.0%、「MSNビデオ」13.5%、「ShowTime」12.6%、「BB@nifty」10.8%、「インプレスTV」9.0%などが並んだ。


関連情報

URL
  「インターネット白書2006」概要(インプレスR&D)
  http://www.impressrd.jp/hakusho/internet2006
  「インターネット白書2006」販売ページ(impress Direct)
  http://direct.ips.co.jp/book/hakusho2006/

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( 野津 誠 )
2006/06/22 19:59

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