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第2回:シマンテックに聞く
~新たな脅威である「ボット」に対抗する~

 2007年のシマンテックは、これまでの製品ラインである「ノートン・インターネットセキュリティ 2008」「ノートン・アンチウイルス 2008」に加え、急増するボット被害に対抗する「ノートン・アンチボット」をリリースした。

 今回は、シニア リージョナル プロダクトマーケティング マネージャの風間彩氏に、シマンテックがセキュリティ上の脅威に対してどのように取り組んでいるのか、またこれまでの製品ラインとは別に、ノートン・アンチボットをリリースした理由についてについて語っていただいた。


ブラウザの脆弱性を狙う攻撃が増加

株式会社シマンテック シニア リージョナル プロダクトマーケティング マネージャ 風間彩氏
 2007年、シマンテックがとくに対応に注力しているセキュリティ上の脅威は、ブラウザの脆弱性を攻撃する攻撃だ。

 「ブラウザや、そのアドインの脆弱性を狙った新たなトロイの木馬型のマルウェアが増えています。ユーザーが普通にサイトを見にいくだけで、知らないうちに実行可能なコードがインストールされてしまうのです。」(風間氏)

 これまでWebからマルウェアが侵入する場合は、アダルトサイトを代表とする怪しげなサイトから、というイメージを持っている人も多いかもしれない。しかし、最近では正規のサイトをハッキングして、そのサイトを閲覧したユーザーのブラウザにマルウェアを送り込む手口が増加してきている。

 2007年2月2日には、スーパーボール開催の週末にドルフィンスタジアムのサイトがハッキング被害に遭い、閲覧したユーザーにキーロガーがインストールされるという事件が起きた。つまり、いつも見ているサイトであっても、安全とは言い切れないのだ。

 そこで、シマンテックでは、新たなブラウザの保護機能として「Threat Interceptor - Browser Protection 」をノートン・インターネットセキュリティ 2008、およびノートン・アンチウイルス 2008に搭載した。シマンテック ラボによるテストでは、悪用されうる既知の脆弱性を含む36種類のIE脆弱性攻撃をThreat Interceptor - Browser Protectionが100%検出するのに対して、他社の製品ではその半数にも満たない数値しかマークしていないという。

 「他社のセキュリティ対策製品にも、Webからの脅威に積極的に対抗する機能をもったものはあります。しかし、Threat Interceptor - Browser Protectionでは脆弱性への攻撃や、偽装された攻撃をブロックする割合が非常に高いのが特徴です。」(風間氏)


新たな脅威であるボットに対抗する

 また、Webからの脅威の中でも、とくにシマンテックが注目しているのが、ボットネットである。シマンテックのインターネットセキュリティ脅威レポートによると、2006年下半期は同年の上半期と比較してアクティブなボット数が29%増加。2006年下半期、アクティブなボット数は600万を超えるという。

 「ボットネットの脅威は、感染したユーザーの知らないうちに被害が拡大していることにあります。いつものサイトにアクセスしただけで、知らないうちに自分が攻撃者になってしまう可能性があるのです。」(風間氏)

 そこで、シマンテックではこれまでの製品ラインに加えて、新たにボットネットに対抗するノートン・アンチボットをリリースした。既存の製品に統合せず、新たな製品としてリリースした理由について、風間氏は以下のように語っている。

 「ノートン・インターネットセキュリティやノートン・アンチウイルスにも、ボットネット対応機能は搭載されていますが、より凶悪化する手口に対抗するためには、多角的な視野が必要だと考えて別プロダクトとしてリリースしました。また、ノートン・アンチボットは、完全に独立したセキュリティ対策の製品です。そのため、他社のセキュリティ対策ソフトがインストールされている環境にインストールしても、全く問題なく利用していただけます。より多くのユーザーにノートン・アンチボットを導入いただいて、安全にインターネットをご利用いただきたいと考えています。」(風間氏)


ノートン・インターネットセキュリティとアンチボットをインストールしたPCの画面 ノートン・アンチボットで脅威を検出した画面の例。脅威の内容も知ることができる

安全性と利便性の両方を追求するこだわり

 さらにシマンテックでは、セキュリティ対策製品は、コンピュータの安全性だけではく、ユーザーの利便性も重要であると考えている。そのわかり易い機能の一例は、ノートンIDセーフだ。ショッピングサイトやインターネットバンキングを利用する際に入力するパスワードなどのID情報を、一元的に管理する機能だ。ID情報は、ローカルだけではなく、オンラインでの管理も可能となっている。

 「ノートンIDセーフは、個人情報を安全で便利に管理する手段です。フィッシングやキーロガーが狙っているIDやパスワードなどの個人情報を、きちんと管理することで安全に守ります。しかも、ユーザーにとっては、忘れてしまいがちなIDやパスワードを記憶したり、どこかに記録しておく必要がなくなります」

 セキュリティのレベルを維持するためには、サイトごとにパスワードを使い分けるのは重要である。しかし、それぞれのサイトごとにIDやパスワードを使い分けるのは、意外に大変だ。

 セキュリティの知識があっても、急いでいる際など、IDやパスワードを保護されないテキストファイルなどにメモしてしまうことも少なくないではないだろうか。しかし、このノートンIDセーフを使えば、どのサイトでどのパスワードを使っているのか、またあちこちのファイルにパスワードやIDが分散していることで、管理に悩むこともなくなるわけだ。


ノートンIDセーフの画面。さまざまなサイトで発行されるIDやパスワードの管理に悩むユーザーは少なくない。店頭の反応でも非常に大きな支持を得た機能だという

 さらに、スピードに対してもこだわりを見せている。以前のシマンテックのセキュリティ対策製品には、「機能は高いが重い」というイメージが定着していた。そのため、シマンテック製品を敬遠するという一般のユーザーも多く、このイメージはいまだに払拭しきれているとはいえない。しかし、ここ数年でシマンテックのセキュリティ製品は、高い機能だけではなく、パフォーマンスを低下させないことでも評判となりつつある。

 「セキュリティ対策ソフトは、常にコンピュータの中で稼動し続ける製品です。そのため、なるべくパフォーマンスが低下しないように、メモリやCPUの使用量などをなるべく少なくするように努力し続けています。」(風間氏)


まとめ

 「Webからの脅威」への対抗する、他のセキュリティベンダでも同じような戦略として打ち出されている。しかし、シマンテックでは、SONARテクノロジーによる未知の脅威への対抗、ボットネット対策などで他社との差別化を図っている。

 さらにもうひとつ注目しておきたいこととして、これまで最上位パッケージである「ノートン360」でしか提供されていなかった機能「ワンクリックサポート」が、ノートン・インターネットセキュリティ 2008から利用できるようになったことが挙げられる。アプリケーションからのチャットや、メールによってオンラインでのサポートが受けられる仕組みだ。

 シマンテックは今後も「高いセキュリティ機能を追求するだけではなく、ユーザーの利便性にもこだわり続けていく」(風間氏)という。

 その1つが、シマンテックが19日に発表した「ノートン・プレミアム」で、これまでは出張サービスに頼るしかなかったPCのトラブルなどにリモートで対応するサービスだ。また、 米Symantecは2008年1月に発売予定の「Norton 360 バージョン2.0」の新機能を発表。バージョン2.0は米SymantecのWebサイト上で近くベータ版が公開される見込み。本誌でもこれらの新機能について、追ってお伝えしていく予定だ。


関連情報

URL
  「ノートン・アンチウイルス2008」製品情報(シマンテック)
  http://www.symantec.com/ja/jp/home_homeoffice/products/overview.jsp?pcid=is&pvid=nav2008
  「ノートン・インターネットセキュリティ2008」製品情報(シマンテック)
  http://www.symantec.com/ja/jp/home_homeoffice/products/overview.jsp?pcid=is&pvid=nis2008

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( 北原静香 )
2007/12/21 11:30

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