先週はスペインで「Mobile World Congress 2009」というイベントが行われ、モバイル関連のニュースが大いに盛り上がりました。Windows Mobile 6.5や2機種めのAndroid端末「HTC Magic」など、今後の登場が楽しみなものが多数ありました。
セキュリティ関連のニュースでは、Adobe Reader/Acrobatの新たな脆弱性と、2月の月例パッチの脆弱性を狙った攻撃に注意が必要です。それぞれ対策をしておきましょう。
◆Microsoft、新モバイル向けOS「Windows Mobile 6.5」を発表
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2009/02/17/22459.html
2月16日、米Microsoftは「Mobile World Congress 2009」にて「Windows Mobile 6.5」を発表した。主な新機能・サービスには「My Phone」「Windows Marketplace for Mobile」や、IEの新バージョンがある。合わせてHTCとLGが対応機を発表。搭載機の登場は2009年の後半になる見込みだという。
◆「iPhoneのJailbreakは違法」とのAppleの主張にEFFが反論
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2009/02/16/22449.html
2月12日、電子フロンティア財団(EFF)は、iPhoneのJailbeakは違法とする米Appleの主張に反論するコメントを発表した。ブートローダーやシステムソフトウェアの改変が著作権侵害にあたるというAppleの主張に対し、互換性確保目的でのリバースエンジニアリングは過去の判例でも認められており、また、正規パーツだけに縛られる必要はないと、自動車業界を例に挙げて反論している。
◆2月の月例パッチ「MS09-002」の脆弱性を狙う攻撃が早くも登場
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2009/02/18/22480.html
2月18日、トレンドマイクロは、2月11日にマイクロソフトがセキュリティ更新を配布したIEの脆弱性「MS09-002」を突いた攻撃が登場していると発表した。現在は日本国内の一部組織だけから被害報告を受けているが、他の攻撃への転用も容易であるとし、修正パッチ適用などの対策を呼びかけている。
◆迷惑メール送信業者に行政処分、「オプトイン規制」導入後初
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2009/02/18/22476.html
2月17日、経済産業省は、出会い系サイトを運営している株式会社クロノスに対し、未承諾のメール広告を送信したとして業務改善を指示した。2008年12月1日に事前同意なしの広告メール送信を違法とする「改正迷惑メール法(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律)」が施行されて以来、同法に基づいた初の行政処分となる。
◆「ブルーレイ課金、無料デジタル放送は対象外」JEITAが意見表明
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2009/02/16/22447.html
2月13日、JEITAは、いわゆる「ブルーレイ課金」に対し、無料デジタル放送の録画は課金対象としないことなどを求める意見を提出した。2008年の文科省と経産省の合意では、ブルーレイ課金はアナログ放送のデジタル録画を対象にした暫定的な措置であったと指摘し、無料デジタル放送の録画に対しては課金されないことを明確化し、あくまで暫定的な措置とすることなどを求めている。
● Windows Mobile 6.5発表。Mobile World Congress 2009に見る次世代モバイル環境
先週の16~19日、スペインのバルセロナにて、モバイル関連の展示会「Mobile World Congress 2009」が開催されました。Android、iPhone、BlackBerry、Nokiaなど注目のデバイス・サービスが集結した中、初日に大きな注目を集めたのが、Microsoftの「Windows Mobile 6.5」の発表でした。
Windows Mobile 6.5の目玉は3つ。1つ目は、Webを経由してPCとの間でアドレス帳やカレンダーなどのデータ、各種ファイルを同期・バックアップできる「My Phone」です。類似サービスとして、iPhoneには「MobileMe」があり、Webを中心に展開する「Android」は、最初からGoogleの各サービスとの連携機能があります。
2つ目は、Windows Mobileアプリケーションのマーケットプレイス「Windows Marketplace for Mobile」。これはiPhoneの「AppStore」やAndroidの「Andoid Market」など各陣営のサービスにようやく追いつく形です。こうしたアプリケーション配布サイトが整備されることで、ユーザーの利便性向上のほか、有料アプリケーションの流通活性化による開発者支援効果もあります。さらに少額決済のできる課金プラットフォームが普及することで、コンテンツ販売など次の事業展開も見えてきます。発表内容によるとWindows Marketplace for Mobileでの決済情報はWindows Live IDと紐付けられそうなので、その後はPCユーザー向けの少額課金サービスも考えられるでしょう。
3つ目は「Internet Explorer Mobile」の機能強化です。ケータイWatchの記事が詳しいですが、FlashやJavaScriptのサポート、小さい画面での操作性を向上させるズーム機能などが加わり、よりPC版に近い環境となります。
こうしたWindows Mobile 6.5の発表で、次世代のモバイル像が見えてきました。ポイントは、PCとのデータ同期とアプリケーション販売サービス、そして「PCと同じサービス」を提供しようというものです。日本国内でもスマートフォンの販売拡大に伴い、PCと同じデータを持ち歩き、モバイルでも利用するというスタイルが普及していくでしょう。そうなれば、Windows LiveやGoogleの各サービス、またMobileMeのような、デバイス間でデータ同期の可能なWebサービスの利便性に注目が集まります。
関連としては、「Google Spreadsheets」がiPhoneやNokia S60から編集可能になったというニュースもありました。モバイル端末の価値を上げるWebサービスも、続々と強化されていっています。
2009/02/23 13:37
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小林祐一郎 プログラマ、編集者、Webディレクター等を経て、ライター・編集者として活動。興味のあるテーマは「人はどうすればネットで“いい思い”ができるのか」。ごく普通の人の生活に、IT技術やネットのコミュニケーションツールがどんな影響を与え、どう活用できるのかを研究している。近著「できるポケット+ クラウドコンピューティング入門」(インプレス) |
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