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第97回:国土地理院が「Web版ナショナルアトラス」を試験公開 ほか


国土地理院が「Web版ナショナルアトラス」を試験公開

 国土地理院は、日本の自然や社会、経済、文化の状況を編集した地図帳「ナショナルアトラス」のWeb版を試験公開した。これまで日本のナショナルアトラスは「日本国勢地図(帳)」として国土地理院が紙媒体やCD-ROMなどで刊行してきたが、今回は「電子国土Webシステム」を活用したウェブアプリとしての提供となった。

 ナショナルアトラスは特定のテーマをもとに作成された「主題図」と呼ばれる地図とその解説を集めた地図帳で、CD-ROM版には約100点の主題図が収録されている。一方、今回公開されたWeb版では試験公開ということもあり、27項目の地図にとどまっている。収録されているのは、日本全図や海底地形などの基本的な地図から、土地利用、人口分布、都道府県別の歳入・歳出、持ち家率、火災の発生件数と損害状況、交通事故の発生状況、学校数、月(週)刊誌の配送部数など幅広いジャンルとなっている。縮尺レベルは1/200万、1/2000万、1/8000万の3種類が用意されており、データは都道府県別に区分されているものが多い。

土地利用 農産物の粗生産額
交通事故の発生件数 幼稚園数と園児数

 Web版ナショナルアトラスのトップページにアクセスすると、ページ中段の表にデータ項目の一覧が載っているので、見たい項目を選んで「電子国土」のアイコンをクリックすると地図画面が表示される。このとき、1項目につき複数の年度や種類の地図が収録されている場合は、複数の地図が開いて主題図を表示する。例えば「土地利用」の場合は2006年、1997年、1987年、1976年と4年分のデータが収録されており、クリックすると4画面にそれぞれの年の主題図が表示される。

 画面数を変えて表示させることも可能で、左メニュー上部にある「1画面」「2画面」「4画面」のボタンを押せば切り替わる。また、その下にある「画面選択」で地図画面を選択後、「(1)と同じ範囲」というボタンをクリックすると、指定した地図が左上の地図と同じ範囲で表示する。さらに、すべての地図画面を左上の地図と同じ範囲にする場合は、「全て(1)と同じ」というボタンをクリックする。

 このほか、地図上に線を書き込んだり色を塗り分けたりできる作図機能や、距離計測機能、レイヤーの透過表示機能、表示されている地図のURLを取得できるリンク機能なども搭載されている。さらに、CSV形式の統計データやテキスト形式の設定ファイルをナショナルアトラス上に表示させるためのプログラムや、ウェブサーバーに設置されているプログラムなどもダウンロード可能だ。

 Web版ナショナルアトラスを実際に使ってみると、動作が重かったり、背景地図とデータのレイヤーがズレて表示される場合があったりと、動作が不安定な部分が少なくない。インターフェイスもわかりづらく、お世辞にも使いやすいとは言えない出来である。ただ、従来は有料で提供されていたナショナルアトラスのデータを無料で気軽に閲覧できるのは助かるし、ユーザーからの意見をもとに今後は改良や仕様の見直しなども行われる予定だ。要望がある人は、問い合わせフォームから意見を投稿してみてはいかがだろうか?

URL
 Web版ナショナルアトラス(試験公開)
 http://atlas.gsi.go.jp/j/atlas1/webatlas.html

江戸古地図を見られるiPhoneアプリ「TOKYO古地図」

 前回、明治から昭和にかけての東京の地図を見られる「東京時層地図」というiPhoneアプリを紹介したが、今度はさらに時代をさかのぼり、江戸時代の古地図を閲覧できるiPhoneアプリ「TOKYO古地図」が公開された。対応機種はiPhone 3G/3GSで、iOS4での動作確認済み。価格は450円。

 収録されているのは幕末の天保14年(1843年)に発売された江戸古地図の原本をもとに描き起こされた復刻版で、GPSで測位した現在地を古地図上に表示させることも可能だ。また、現在地を表示させた状態で「spot」ボタンをタッチすると寺院や大名屋敷などの主要施設がポップアップ表示されて、さらに施設名をタッチすると施設の解説も表示される。収録されているガイドは計243カ所と充実しており、ガイドブック代わりにもなる。中には浅草寺など古写真が収録されているスポットもある。

 解説画面の時に下部のカメラアイコンをタッチすると、写真撮影も可能だ。撮影した写真はアルバムに保存できるので、訪れたスポットの写真を集める楽しさも味わえる。さらにiPhoneの言語設定を英語に切り替えることで解説が自動的に英語に切り替わるので、外国人が東京観光する際のツールとしても使える。

 収録されている地図は画像が鮮明で、カタカナも多用されているので施設名が読みやすい。ただ、古地図の施設表記は天地左右さまざまな方向に記載されているので、できれば地図を回転させる機能が欲しかった。また、現在収録されている古地図は1種類だが、同じ江戸時代でももっと昔の時代も収録されると、さらに楽しさが増すと思う。とにかく収録されている古地図がすばらしく、地図を見ているだけでも面白いアプリなので、今後の進化が楽しみだ。古地図ファンにはぜひおすすめしたい。

起動画面 古地図の全体画面を見渡すと、昔の海岸線がよくわかる 浅草寺 桜田門
不忍池 牛込柳門 永代橋 泉岳寺
日本橋と江戸橋 千住宿 地図の空白部分に入れられた方位表示 スポット名表示
ガイド表示 古写真も収録 撮影した写真をアルバムに保存

URL
 TOKYO古地図
 http://itunes.apple.com/jp/app/id395144401?mt=8
 製品概要(開発元「ボラボラボ」のサイト)
 http://www.bolabolab.com/tokyokochizu/

日本地図を都道府県別に色分けできるiPadアプリ「iMapPaint」

 日本地図を都道府県別に塗り分けられる「iMapPaint」が発売された。対応機種はiPadのみで、iPhoneには未対応。価格は無料だ。

 機能的にはかなりシンプルで、初期画面には都道府県の境界および都道府県名のみが入った白地図の日本地図が表示される。上部左側にカラーパレットが表示されるので、色をどれか選んでタッチし、次に塗りたい都道府県をタッチすれば色が塗れる。

 色は12種類から選択可能で、上部左にある「A」をタッチすると都道府県名が非表示となり、カメラのアイコンをタッチすると色分けした状態でスクリーンショットが撮れる。ちなみに地図はGoogle Mapsのようにピンチイン/ピンチアウトによる拡大/縮小が可能で、地図を拡大した状態でスクリーンショットを撮れば、特定のエリアに限った見せ方が可能だ。

都道府県を12色に塗り分けられる 都道府県名を非表示にすることも可能

 現状では地図の色分けができるだけで、凡例を作成して表示する機能はない。使い方としては、スクリーンショットを保存してPCなどに転送し、ワープロやプレゼンテーションソフトなどの素材としての利用方法が考えられる。凡例を書き添えれば統計地図となるし、子供が都道府県の形を覚えるための教材としても使えると思う。

 シンプルなだけにさまざまな活用方法が考えられるアプリだが、凡例表示機能やオリジナル色の作成機能などが追加されると、さらに使い方の幅が広がると思うので、今後のバージョンアップに期待したい。

URL
 iMapPaint
 http://itunes.apple.com/jp/app/imappaint/id390613834?mt=8


2010/10/28 06:00


片岡 義明
 地図に関することならインターネットの地図サイトから紙メディア、カーナビ、ハンディGPS、地球儀まで、どんなジャンルにも首を突っ込む無類の地図好きライター。地図とコンパスとGPSを片手に街や山を徘徊する日々を送る一方で、地図関連の最新情報の収集にも余念がない。書籍「パソ鉄の旅−デジタル地図に残す自分だけの鉄道記−」がインプレスジャパンから発売中。