趣味のインターネット地図ウォッチ
第110回:観光情報が充実のナビアプリ「MAPPLEガイドナビ」使用レポート ほか
●観光情報が充実のナビアプリ「MAPPLEガイドナビ」使用レポート
株式会社マップル・オンがiPhone用アプリ「MAPPLEガイドナビ」をリリースした。同社は旅行ガイドの「まっぷるマガジン」や地図サイト「MAPPLEおでかけ地図」、PC用地図ソフト「スーパーマップル・デジタル」などを提供する昭文社の関連会社だ。
起動画面 |
MAPPLEガイドナビは、地図データをローカルに保存できるのが特徴だ。インクリメントPの「MapFan for iPhone」やワックドットコム「NAVICO」、AISIN AWの「NAVIelite」など、最近リリースされるカーナビアプリは地図データをローカルに保存するものが多いが、MAPPLEガイドナビも同じように、最初のインストールですべての地図データを保存できる。ただし地図データをネットワークから取得するアプリに比べるとインストールに必要な容量は1.73GBと大きめだ。
MAPPLEガイドナビのもう1つの特徴は、その名の通り観光ガイド情報が充実していることで、この点はほかのナビアプリと大きく違う。まっぷるマガジンなどで掲載されている全国7万件の観光スポット情報を収録するなど、情報量はかなり多い。
ふつうのナビアプリは起動するとすぐに地図が表示されるものだが、MAPPLEガイドナビは起動させると最初に「今月のおすすめ情報」と題して旅行スポット情報が表示される。なお、起動時に観光ガイド情報を出さないように設定すれば、通常のカーナビアプリと同じように使うことも可能だ。
5月上旬では、栃木県足利市の「あしかがフラワーパーク」が紹介されていた。画面一杯に表示された大藤の写真をタッチすると、施設の詳細情報が表示される。駐車場の台数まで書いてあるので、ドライブの資料には最適だ。ここで上部の「地図で確認」をタッチすれば地図画面になるし、「ここへ行く」をタッチすればナビの目的地として登録することもできる。
観光ガイド情報は上記の「今月のおすすめ情報」に加えて、旬の旅行スポットを紹介する「週刊・季節特集」も掲載しており、「自然を満喫!キャンプ場特集2011」や「気軽に楽しめる遊歩道に行こう!」など、特定テーマに沿って集められた観光スポットを地域別に調べられる。
今月のおすすめ情報 | 施設情報 | 週刊・季節特集 |
それでは地図画面をほかのナビアプリと見比べてみよう。
先行するNAVICOもまた「MAPPLE」の地図データを搭載しており、地図画面は両アプリでほとんど同じだ。デフォルトではコンビニやファーストフードの表示アイコンが豊富で少々うるさいが、企業アイコンをオフにすればすっきりとした画面になる。大規模施設の3Dアイコンが収録されているのも見ていて楽しい。
MAPPLEの地図で特徴的なのは、交差点に信号のアイコンが表示されていること。また、街区が多彩な色に分かれているので見やすい。「東京国際フォーラム」「プランタン」「東京中央局」といった施設の名が入っていたり、高速道路上にJCT名が記載されているし、幹線道路の号数も大きめでわかりやすい。操作面ではピンチによる拡大・縮小のほか、左端に拡大・縮小ボタンも配置されている。コンパス表示も大きめだ。
東京駅周辺(MAPPLEガイドナビ) | 東京駅周辺(NAVICO) | 東京駅周辺(MapFan for iPhone) |
東京駅周辺(いつもNAVI) | 東京駅周辺(全力案内!) | 東京駅周辺(Googleマップ) |
東京駅周辺(NAVIelite) |
今度はJR西荻窪駅周辺の詳細部を見てみよう。MapFan for iPhoneやいつもNAVI、Googleマップなどに比べると駅周辺の建物の形が詳細に記載されておらず、少々物足りない。住所の番地表示は豊富なほうで、一方通行表示はドライブ時に役立つだろう。徒歩用の地図としては情報量が少なめだが、「NAVIelite」の地図ほどにはカーナビ用途に特化していない。
西荻窪駅周辺(MAPPLEガイドナビ) | 西荻窪駅周辺(NAVICO) | 西荻窪駅周辺(MapFan for iPhone) |
西荻窪駅周辺(いつもNAVI) | 西荻窪駅周辺(全力案内!) | 西荻窪駅周辺(Googleマップ) |
西荻窪駅周辺(NAVIelite) |
次にナビ機能を見てみよう。ルート検索を行うには、まず地図上の任意の地点をタッチする。吹き出しのボタンが3つポップアップ表示されるので、「ここへいく」をタッチすれば検索開始だ。探索条件は「おすすめ」「距離優先」「高速回避」「高速優先」の4種類で、抜け道を考慮した探索も行える。交差点では右上に拡大表示されるのでわかりやすい。太い道路ではレーン情報も表示される。また、ハイウェイモード表示やJCT、SA/PA、ETC、都市高速入口などのイラストも表示される。なお、徒歩モードや自転車モードは搭載されていない。
ナビとしては凝った機能は見当たらないが、このアプリの魅力はなんといっても収録されている観光ガイド情報にある。地図画面からはすぐに観光ガイドのコーナーに切り替えられるし、観光ガイドの施設情報からすぐに地図を呼び出せるのも使いやすい。スポット情報の内容も、電話番号や料金などの詳しいデータに加えて詳しい紹介文を読めるので、情報誌を持ち歩いているようで頼りになる。
地図上をタッチすると吹き出しのボタンが表示 | ルート検索 | 交差点表示 |
抜け道表示 | 山岳地の地図 |
横画面 |
なお、NAVICOにも同じようにまっぷるマガジンなどのガイドブック情報が収録されているが、MAPPLEガイドナビのように写真付きではない。両アプリは地図データも同じだが、NAVICOのほうがナビに力点を置いた作りになっており、観光ガイド情報のトップページをワンタッチで呼び出すような機能はない。
ちなみにMAPPLEガイドナビの価格は年額課金で2900円。NAVICOは全国詳細地図版が6000円、東名阪詳細地図版が5400円だが、こちらには利用期限が無い。この価格差についてどう考えるかは人それぞれだが、充実した観光ガイド情報に魅力を感じるならばおすすめだ。
なお、このアプリには運転手用の操作制限モードなどは搭載されていないので、運転中の操作はしないようにくれぐれも注意しよう。また、iPhoneをダッシュボードに固定する際も、エアバッグとの干渉などを考えて注意して取り付けていただきたい。
■URL
MAPPLEガイドナビ(iTunesプレビュー)
http://itunes.apple.com/jp/app/id432468189?mt=8
プレスリリース(PDF)
http://mapple-on.jp/pdf/release_mapple-guidenavi.pdf
●オフラインで見られるiPhoneアプリ「被災地支援地図共有サービス」
本連載でもたびたび紹介しているiPhoneアプリ「こちずぶらり」を提供するATR-Promotionsが、新たなiPhoneアプリ「被災地支援地図共有サービス」の提供を開始した。App Storeから無料でダウンロードできる。
このアプリは「こちずぶらり」の技術を用いた被災地関連地図の携帯・共有サービスで、iPhoneのローカルに被災地の地図データを格納できるのが特徴だ。最近になって被災地の携帯電話回線はかなり復旧してきたが、場所によっては通信品質が不安定なこともあるようなので、オフラインで地図を閲覧できるのは心強い。
しかも最初にすべてを一括してダウンロードするわけではなく、ダウンロードする地域や種類を選択できるので、保存可能な容量が残り少ない人でも安心だ。
地図画像をダウンロードするかを選択できる | 北海道地図が提供するGISMAP | 避難所の位置もわかる航空写真 |
利用できる地図は、GIS(地理情報システム)データを扱っている北海道地図株式会社が提供する縮尺が2万5000分の1の「GISMAP」。これはGISのベースマップとして使われているもので、都道府県別に用意されている。地形および田畑や樹林帯などの植生がわかる地図で、現地の大まかな地勢を把握するのに役立つ。
もう1つは、国土地理院が公開した被災地の航空写真に、東京大学生産技術研究所の地球環境工学研究グループが浸水地域の判読結果と避難所の位置情報を加えた写真で、主に沿岸部の映像を収録している。避難所のデータはGoogleの災害情報を基にしている。
いずれの地図もGoogleマップとの切り替え表示が可能なので、違う地図を組み合わせることでそれぞれの情報を補完できる。今後はマップエディターも公開予定で、これを使えばユーザーが支援に有用なデータを作成・共有できるようになる。GISのベースマップや航空写真をローカルに格納できるアプリは少なく、現地で活動する人にとって役立つツールと言えるだろう。
■URL
被災地支援地図共有サービス(iTunesプレビュー)
http://itunes.apple.com/jp/app/id432869141?mt=8
●海の地形図を閲覧できるサイト「みんなの海図」サービス開始
マリーンネットワークス株式会社は、全国の海図(海底地形図)をウェブ上で閲覧できるサービス「みんなの海図」の提供を開始した。
海図とは、陸からは見ることのできない海底の様子を、等高線ならぬ“等深線”で表現した地形図のこと。「みんなの海図」では、日本全国の沿岸部の海底地形図に加えて、一部地域の海底ソナー写真(水中音波による測距で得られた部分的な海底写真)も提供している。
利用にあたっては会員登録が必要だが、一般会員は無料で登録できる。一般会員が閲覧できるのは等深線20mから表示される海底地形図と海底ソナー写真だ。
さらに月額525円のプレミアム会員になると、海底地形図が等深線1mから表示されるようになり、地形図上のポイントの緯度・経度が表示される。また、一般会員では海底地形図と海底ソナー写真ともに拡大率に制限があるが、プレミアム会員になると最大ズームレベルまで拡大できる。
「みんなの海図」トップページ | 日本の沿岸部の海底地形を等深線で表現 |
拡大すると細かい地形がわかる | 一部のエリアで提供されている海底ソナー写真 |
なお、海底ソナー写真の表示エリアは4月の時点で三浦半島沿岸の一部および東京湾の一部、山形県飛島の一部、箱根芦ノ湖の4スポットに限られる。
詳細な海底の様子はプレミアム会員にならないと閲覧できないが、海底の大まかな様子は一般会員でも十分に確認できる。地図の操作方法はGoogleマップとほぼ同じで、マウスのドラッグによるスクロールや、ホイールによる縮尺調整が可能だ。
各地域の沿岸を見ていくと、海岸によって遠浅のところもあれば崖のように切り立っているところもあり、変化に富んでいて面白い。釣りやダイビングなどのレジャー用途はもちろん、ただ眺めているだけでも十分楽しめる。なお、このサービスは航海用の海図ではなく、船舶が航行するための資料としては使えないので注意しよう。
■URL
みんなの海図
http://mar-nets.com/
2011/5/12 06:00
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