趣味のインターネット地図ウォッチ

日立、OpenStreetMapを利用したAndroid向けカーナビアプリ「WISMOBI Explorer」提供開始

 株式会社日立製作所は、Android向けカーナビアプリのテストバージョン「WISMOBI Explorer Alpha1」を提供開始した。Google Playから無料でダウンロードできる。対応OSはAndroid 2.3以上。

「WISMOBI」PC用サイト

 WISMOBI Explorerは、誰もが自由に使える地図データを作成するプロジェクト「OpenStreetMap(OSM)」の地図データをベースマップとして利用したナビゲーションアプリ。OSMの地図データを独自形式に変換したものをダウンロードして端末内に保存し、ベクター形式の地図として収録している。

 道路地図は地域別・都道府県別にダウンロードする範囲を指定することが可能で、ストレージ容量に不安な場合は一部エリアに限定できる。地図データの選択画面は、「未取得」「更新必須」「更新可能」「最新」と種類別に色分けされており、どの地域をダウンロードしたのかが一目で分かる。また、ダウンロードした場合の予想使用データ量も示される。

WISMOBI Explorer Alpha1
ダウンロードするエリアの選択画面
メニュー画面

 ルート検索は自車位置から約100km圏内のデータについては端末のストレージに保存し、100kmを超える長距離の場合はセンター側で実行する。POI(施設)検索についてはOSMのデータをセンター側で検索する仕組みとなっている。なお、現時点ではまだ住所検索機能が搭載されていないが、キーワード検索にて都道府県名および市区町村名を入力すると、該当する自治体にあるスポットのリストが表示される。また、周辺検索も可能で、検索範囲を100m/300m/3kmから選択できる。

 ルート検索の方法は「高速道優先」「一般道優先」「距離優先」「時間優先」の4種類から選択可能で、オートリルートも可能だ。また、車ではなく歩行者用モードも用意されている。案内表示は矢印による方向指示のみで、曲がる交差点までの距離が矢印の横に表示される。

ルート検索結果
ナビゲーション中の画面

 このほか、コメントや写真に位置情報を付けて投稿することもできる。ユーザーからの投稿は「GEM」と呼ばれる宝石のアイコンで地図上に表示され、他のユーザーが「Like」を付けて評価したり、投稿したユーザーをフォローしたりすることが可能だ。投稿された情報はタイムライン表示で確認することが可能で、特定のテーマに沿って情報交換できるコミュニティ「サークル」も用意されており、SNSアプリとしての側面も持っている。WISMOBIにはウェブサイトも用意されており、投稿した内容などはこちらでも確認できる。

検索方法の選択画面
タイムラインの検索画面
PCサイトでも投稿した「GEM」を確認できる

 また、アプリではユーザー同士でチャットができるトーク機能や、ほかのユーザーの位置を探せるレーダー機能も搭載している。レーダー機能については、友達に自分の位置を通知しないステルスモードも選択できる。

 同アプリについては、2014年12月13日に開催されたOSMの年次カンファレンス「State of the Map JAPAN 2014」にて、日立製作所の社内カンパニーである情報・通信システム社の相川哲盛氏が登壇し、アプリの概要について語っている。この時、相川氏は開発中の機能として、通行しにくいポイントや飛び出しが起こりやすい交差点など、道路上で注意すべき場所の情報をユーザーからの投稿やカメラによる画像認識による自動生成で取得し、それをもとにアラート配信する構想について語った。

日立製作所の相川哲盛氏

 交差点での3D画像による案内や渋滞情報など凝った機能は搭載していないものの、オフライン利用が可能ということで、低価格のMVNOサービスを利用しているユーザーには魅力的だと思う。また、OSMの地図制作者(マッパー)にとっては、自分が編集したデータが反映された地図でカーナビを使うという楽しみを味わえる。まだテスト期間中ではあるが、正式リリースが期待されるアプリだ。

片岡 義明

IT・家電・街歩きなどの分野で活動中のライター。特に地図や位置情報に関す ることを中心テーマとして取り組んでおり、インターネットの地図サイトから法 人向け地図ソリューション、紙地図、測位システム、ナビゲーションデバイス、 オープンデータなど幅広い地図関連トピックを追っている。測量士。インプレスR&Dから書籍「位置情報ビッグデータ」(共著)が発売中。