趣味のインターネット地図ウォッチ
地盤の状態を簡単に調べられる「地盤安心マップ」と「地盤カルテ」
2016年3月31日 06:00
土地を購入する時や家を建て替える時に気になる“地盤”。この地盤の状態を簡単に調べられるサイトが、地盤ネットホールディングス株式会社が提供する「地盤安心マップ」と「地盤カルテ」だ。
同サイトは、国土地理院による表彰「電子地図賞」の2016年度に選ばれたコンテンツで、受賞直後の2015年12月にサービスをリニューアルした。
「地盤安心マップ」は、地図上で簡単に地盤の状況を調べられるサービス。背景地図はGoogle マップ、Google マップの航空写真、地理院地図、行政界のみの4種類から選択可能で、これらの地図の上に地理院地図の航空写真や標高マップ、日本シームレス地質図、土砂災害危険箇所マップ、地震動予測地図、自治体液状化ハザードマップ、災害履歴図、避難所データなどさまざまな情報を重ねられる。重ねた情報の透過率を変えることも可能だ。
なお、「自治体液状化ハザードマップ」は、自治体が公開している液状化ハザードマップを個別にGIS化したもので、許認可が得られた自治体の情報のみ載せている。許認可が得られない自治体については、各自治体のハザードマップサイトへのリンクが掲載されている。
地図上には、地盤ネットホールディングスによる地盤調査(スウェーデン式サウンディング試験)の結果に基づいた調査結果がアイコンで表示される。青い丸印のアイコンは地盤改良工事が「不要」で、赤い三角が「必要」だった地点を示している。
このほか、左の「クリック情報」には、地図上をクリックした地点の周囲(半径1km/3km/5kmから選択可能)で調査した結果の情報も調べることが可能。地盤改良工事が不要だった件数と割合を調べることができる。また、地図上を右クリックすると、その地点の標高や地形、地質などを調べられる。
ちなみに「地盤改良工事」というのは、地盤の上に建物を建てるにあたり、建物の重さに対して地盤沈下を起こしてしまう可能性がある場合に行う工事のこと。地盤ネットホールディングスは、地盤改良工事を受注しない地盤解析専門会社で、過剰な改良工事を行わずに済むように、公平な第三者の立場から地盤調査データを解析する「地盤セカンドオピニオン」サービスも提供している。
一方、「地盤カルテ」では、指定した地点の地盤の状況をレポート形式で提供する。「地盤カルテ」のトップページの入力窓に住所を入れて検索し、氏名やメールアドレス、地盤カルテの用途などを入力すると、その地点の周囲の「地盤改良比率」「浸水リスク」「地震による揺れやすさ」「土砂災害リスク」「液状化リスク」などのリスクがそれぞれ表示されるほか、トータルスコアも表示される。
同コンテンツは、従来は地盤のスコアのみ提供していたが、2015年12月のリニューアルにより、地盤の良し悪しや近隣の地価の公示価格も表示されるようになった。これにより、「地盤が良いのに地価が安い」「地盤が悪いのに地価が高い」といったギャップがより分かりやすくなった。
なお、「地盤カルテ」のスコアは地形区分から判定した概略で、現地調査を行った結果には基づいていない。現地調査を行った結果に基づくスコアを提供するサービスとして、同社は2016年2月、コンシューマー向けの地盤調査サービス「地盤カルテPLUS」を提供開始している。
これは実際に現地調査を行った結果に基づくスコアと、地盤状況に応じた建て方のアドバイスができるサービスだ。「地盤カルテ」で調べたい土地の地盤状況を大まかに把握した上で、より精度の高い情報を得たい場合にこのサービスが必要となる。
このほか、同社では「地盤安心マップ」をさらに高機能にした事業者向けのマップシステム「地盤安心マップPRO」も提供。こちらはウェブ版だけでなくiPadアプリ版も用意されている。利用料金は1アカウントにつき月額5000円(税別、24カ月契約の場合)。
「地盤安心マップ」および「地盤カルテ」の2サービスの今後について、地盤ネットホールディングス技術開発室主任の山辺雅志氏は、「自治体ごとの液状化ハザードマップなど、GIS化の許認可が得られなかった自治体については、今後も折衝を続けて掲載したいです。また、情報の精度の向上も図るとともに、より分かりやすく、利用しやすい情報となるように改修を進めたいと考えています」とコメントしている。住宅の購入を検討しているや自分が住んでいる土地の地盤を調べたい人には見逃せないサイトと言えるだろう。