趣味のインターネット地図ウォッチ

第140回:行動を自動記録、日記風に表示するiPhoneアプリ「僕の来た道」ほか


行動を自動記録、日記風に表示するiPhoneアプリ「僕の来た道」

 ヤフー株式会社は、毎日の行動履歴を自動的に記録するiPhoneアプリ「僕の来た道」を提供開始した。App Storeから無料でダウンロードできる。

 同アプリは訪れた場所や滞在時間などを自動記録するライフログアプリ。スタートボタンをタップするだけで記録がスタートし、開始後は毎回アプリを立ち上げる必要がなく、ストップボタンを押すまではバックグラウンド動作で居場所や滞在時間を記録し続ける。

 記録した情報はタイムラインとして日記スタイルで表示される。滞在場所や滞在時間、通過した都道府県名やエリア名が自動的に表示されることに加えて、記録したポイントをタップすると詳細地図が表示される。タイムラインにメモを追加することも可能で、TwitterやFacebookへの位置情報付きの投稿もインポートして表示できる。

 行動ログは1日単位で保存されており、キーワード検索も可能。また、TwitterやFacebookと連携して、現在地周辺の情報を投稿するツールとしても使える。投稿する文言をあらかじめテンプレートとして登録しておくことで、「今、○○付近にいます」「今、○○にいるよ!」といった投稿を文字入力なしですばやく投稿できる。

 このほか、記録した行動ログデータをEvernoteにエクスポートする機能も搭載しており、1日の行動軌跡(地図画像)とタイムラインデータ(テキスト)をEvernoteに書き出せる。

 また、デフォルトでは10分以上、同じ時間にいるとタイムライン上に「滞在」として表示される設定になっているが、この設定を変更することも可能だ。

 この手のアプリで気になるのは、バッテリーの寿命が短くなることだが、実際に使ってみても、アプリを使用することによる余計なバッテリー消費はほとんど感じられなかった。記録している間は何もする必要がなく、スタート/ストップボタンをタップするだけで気軽に使えるのがいい。

 Evernoteとの連携も便利で、特に行動軌跡を記した地図画像が添付されるのがいい。これを見るだけで、その1日がどんな日だったのかという思い出が鮮やかに蘇ってくる。

 位置情報を住所や緯度・経度ではなくエリア名で表示するのもわかりやすい。例えば「千代田区外神田4丁目」よりも「秋葉原」と記録されるほうがずっとしっくりくるし、頭の中で街の景色が思い浮かぶ。場所によっては「隅田公園エリア(周辺)にいました」と、施設名が記録されることもあるので、より直感的に場所を把握できる。

 位置情報を記録するアプリといえばロガーアプリが思い付くが、僕の来た道はそれらとは異なる新しいコンセプトを持ったアプリだ。ライフログの記録に興味のある人はぜひ一度試してほしい。

起動画面タイムライン上に行動履歴を表示地図上で記録した時間を確認できる
滞在時間も記録記録したデータを1日単位で保存TwitterやFacebook、Evernoteと連携可能
つぶやき文言や滞在時間をカスタマイズ可能Evernoteにタイムラインを出力できる

URL
 僕の来た道
  http://latlonglab.yahoo.co.jp/service/bokumichi.html
 僕の来た道(App Store)
 http://itunes.apple.com/jp/app/puno-laita-dao/id536059062?mt=8

屋内ナビゲーションも可能、成田空港公式アプリ「NRT_Airport Navi」

 成田国際空港株式会社は、iPhone/Android向け公式アプリ「NRT_Airport Navi」を提供開始した。App StoreとGoogle Playから無料でダウンロードできる。

 NRT_Airport Naviはフライト情報の検索や当日のフライト一覧に加えて、成田空港のターミナル内マップを閲覧できるアプリだ。屋内地図ではショップやレストランなどの施設検索も可能で、営業時間などの詳細情報もわかる。また、マップ上で現在地を表示し、目的地までナビゲーションすることも可能だ。

 館内マップは各ターミナルの階層ごとに選択可能で、第1・第2ターミナルの地図がそれぞれ収録されている。マップ左上のメニューから「施設・店舗」をタップするとリスト一覧を表示。ここでは案内カウンターやレストラン、ショップ、トイレ、エレベーター、ラウンジ喫煙所のほか、ATM・金融サービスや郵便・手荷物サービス、子ども向け施設、リラクゼーション・ボディケア施設など幅広いジャンルから選べる。

 リストから表示させたいジャンルを選ぶと、該当する施設のアイコンが地図上に配置される。アイコンをタップするとウィンドウがポップアップするので、ここから「ナビ開始」をタップすると現在地からのルートが表示される。ルート検索はフロアをまたいでの検索も可能で、別フロアへ移動する際の優先する移動手段をエレベーター・エスカレーター・階段から選択できる。屋内での現在地はWi-Fi測位によるもので、まだ試験的なものという位置付けだ。

 実際に成田空港でAndroid版のアプリを試してみたが、現在地と異なる階数の地図が表示されたり、現在地を示す人形アイコンが空港の外の位置に表示されたりと、正直言って信頼性に欠けた。時折正しい位置を示す時もあるのだが、移動した場合の反応も鈍く使いづらい。このアプリにはAR(拡張現実)で目的地の方向を示す機能もあるが、こちらも残念ながら実用性は今ひとつだ。

 屋内地図そのものについても、画像の解像度が低く、拡大して見ると斜め線のギザギザが目立つ。また、地図にエリア名や施設名などのテキストが入っておらず、いちいちアイコンをタップしないと情報を見られないのはけっこうストレスがたまる。できれば最低限の情報は地図に直接入れ込んでおいてほしかった。

 ただ、このように未完成な部分はあるものの、屋内地図および屋内ナビゲーションに対してかなり意欲的な作品だと思うので、今後はぜひ屋内測位の精度向上や地図の高精細化・情報の充実を期待したい。

 一方、このアプリのメイン機能と言えるフライト検索についてはなかなか充実していて、フライト検索画面の「MY FLIGHT」から目的地を選ぶと、世界地図上に該当する目的地の位置が表示される。知らない都市でも場所をすぐに確認できるので便利だ。

 検索結果のリストには「定刻」「時刻変更」「遅延」といった状況も示されるので、これから自分が乗る飛行機の状況を調べられる。また、出発予定のフライトを登録しておくと、出発予定時刻の40分前のアラームがセットされるのも便利だ。現在地の測位については参考程度にとどめて、フライト検索機能に空港フロアマップが付いたアプリとして使えば、満足度は高いと思う。

起動直後はフライト検索のトップメニューが表示されるフライト一覧利用する便を登録するとカウントダウンを表示
登録した便の詳細情報屋内地図では現在地をアイコンで表示地図上にテキストが記載されていないので少しわかりづらい
店舗の種類を指定すると地図上にアイコンが表示アイコンをタップすると詳細情報が表示「ナビ開始」をタップするとルートが表示される
第1ターミナル5階でのルート検索結果測位精度はあまり高くなく、時々、自分のアイコンが空港の外に出てしまうこともあった

URL
 NRT_Airport Navi
 http://www.narita-airport.jp/jp/fun/app/arnavi/
 NRT_Airport Navi(App Store)
 http://itunes.apple.com/jp/app/nrt-airport-navi/id538108880?mt=8
 NRT_Airport Navi(Google Play)
 https://play.google.com/store/apps/details?id=narita.airport.navi

山と溪谷社「アルペンガイド」に準拠した登山地図iPhoneアプリ

 株式会社山と溪谷社は、iPhoneで登山地図を閲覧できるアプリ「ヤマケイ登山地図ビューア」を提供開始した。App Storeから無料でダウンロードできる。また、同ビューアに対応したデジタル地図の第1弾として、「ヤマケイアルペンガイドデジタルマップ 八ヶ岳 北部」と、同「南部」も発売した。このデジタル地図は「ヤマケイ登山地図ビューア」からアドオン購入できる。

 同アプリはiPhoneのGPS機能を利用して、登山地図上に現在地を表示するアプリ。歩いた軌跡を保存する機能やコンパス機能も搭載しており、地図と重ね合わせてコンパスを表示できる。コンパスの北と地図の北が一致すると、赤いラインが表示されて地図と実際の地形が一致した状態(整地)を確認できる。軌跡ログはkml形式で保存され、メールに添付して送信できる。ログは設定した距離ごとに記録され、設定距離は10m/30m/50m/80mから選べる。

 収録されている地図は山と溪谷社の「アルペンガイド」シリーズに準拠したもので、同書の著者がGPSを持って実地調査した正確な登山道や水場、標準コースタイム、花の群落地情報、危険個所・注意点などの注釈が盛り込まれている。地図は、山域全体を見るサイズ(等高線なし)とコースを見るサイズ(等高線間隔20m)、現在地周辺の情報を見るサイズ(等高線間隔10m)の3段階が収録されており、ピンチイン/ピンチアウトで切り替えられる。

 また、登山情報サイト「ヤマケイオンライン」に収録されている山岳情報にアプリから直接アクセスすることも可能で、購入した地図の周辺情報をすばやく確認できる。

 登山地図アプリというと、株式会社マップル・オンが4月に発売した「山と高原地図」が競合アプリとなるが、山と高原地図の地図が1エリアにつき450円であるのに対して、ヤマケイ登山地図ビューアは350円と100円安い。

 どちらを選ぶかは好みによるが、山と高原地図がgpxファイルを取り込んで表示する機能を搭載しているのに対して、ヤマケイ登山地図ビューアは外部ファイルを表示できないという違いがある。さらに現時点では、ヤマケイ登山地図ビューアは八ヶ岳エリアの地図しか用意されておらず、地図の選択肢が豊富な山と高原地図に比べるとラインナップの面で見劣りする。

 このような問題はあるが、整地を確認しやすいコンパス表示など、ヤマケイ登山地図ビューアにも魅力的な点があるので、とりあえず両方のアプリをインストールしておいて、山域によって使い分けるという手もある。山と高原地図、アルペンガイドのどちらも登山地図の定番として人気の商品なので、これらが両方ともiPhoneアプリ化されて選べるようになったのは登山愛好家にはうれしい。今後はほかの山域の地図もデジタル化を進めて、紙媒体と同じラインナップになるよう目指してほしいと思う。

起動画面マップのストア画面小縮尺地図(ヤマケイ登山地図ビューア)
小縮尺地図(山と高原地図)中縮尺地図(ヤマケイ登山地図ビューア)中縮尺地図(山と高原地図)
大縮尺地図(ヤマケイ登山地図ビューア)大縮尺地図(山と高原地図)赤いラインで整地を確認できる

URL
 ヤマケイ登山地図ビューア
 http://itunes.apple.com/jp/app/id532494175

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 ・第135回:昭文社「山と高原地図」がiPhoneアプリに ほか
  http://internet.watch.impress.co.jp/docs/column/chizu/20120510_531635.html


2012/7/26 06:00


片岡 義明
 地図に関することならインターネットの地図サイトから紙メディア、カーナビ、ハンディGPS、地球儀まで、どんなジャンルにも首を突っ込む無類の地図好きライター。地図とコンパスとGPSを片手に街や山を徘徊する日々を送る一方で、地図関連の最新情報の収集にも余念がない。書籍「パソ鉄の旅-デジタル地図に残す自分だけの鉄道記-」がインプレスジャパンから発売中。