被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー
チェックすべき6つのポイントとは
お米を安く買えるネットショップを見つけた? それ、詐欺サイトかもしれません
2025年6月6日 06:00
備蓄米が市場に出回るようになり、価格高騰を続けていたお米が値下がりに向かうことが期待されていますが、それでもブランド米の価格は高止まりしています。おいしいお米を少しでも安く買いたいと、ネットを探し回る人も多いでしょう。しかし、その激安ショップ、ネット詐欺かもしれません。
国民生活センターが「お米の詐欺サイトが出没中!価格が不自然に安いなど怪しいサイトにはご注意!」と呼び掛けています。同センターへの相談事例を見ると、ちょっと不思議なことが起きていました。
ショッピング詐欺は通常、何かと理由を付けて、クレジットカード決済ではなく、口座振込、もしくは電子マネーでの支払いを求めてきます。詐欺サイトであることが分かると、クレジットカード会社からお金が振り込まれないためです。
しかし、今回の相談事例を見ると、国産米で10kg購入し、送料込みで4050円をクレジットカードで決済したそうです。すると、一般的なネットショップで送られてくる注文完了メールが届かなかったため、不安に思い、口コミを検索したところ、詐欺サイトだと判明しました。もちろん、そのショップのページに記載されている電話番号はでたらめです。そこで、クレジットカード会社に電話し、カードの利用を停止したそうです。
別の事例でも、3899円のお米を注文してクレジットカード決済をしたそうです。こちらのケースではその金額の確認メールが届いたため、ボタンをクリックしたところ、購入商品がお米ではなくサングラスとなっている領収書がメールで届きました。クレジットカード会社に連絡したところ、海外で3899円の利用履歴があったとのこと。そして、当然、お米もサングラスも届きません。
せっかくお金を節約しようと思って探し回ったのに、詐欺に遭って、かえってお金を失う結果になってしまうのではたまりません。しかも、単にお金を損しただけでなく、サイバー犯罪者に個人情報もまるっと渡ってしまっています。
今回のような格安米ネット詐欺の事例を調べていると、詐欺サイト側で実際はクレジットカード決済が行われていないようなケースも散見されました。当然、お米は届かないのですが、代金だけ騙し取られてしまうのかというと、そうではないケースもあります。
これは想像になりますが、フィッシング詐欺の一種だと思われます。つまり、代金を騙し取ろうとしているのではなく、個人情報などを盗み取ろうとしているのではないか、というわけです。通販サイトを装うことで、住所・氏名・電話番号とセットになったクレジットカード番号などの情報を入手することができるのですから、詐欺師にとって格好の狩場となっていることでしょう。収集した情報は闇市場で売買されることもあり、今後、別のネット詐欺のターゲットになってしまう可能性もあるのでさらなる注意が必要です。
昨今の米価高騰の中、格安米が販売されているという情報を見たら、売り切れてしまう前に購入しなければと焦る気持ちは分かります。しかし、大切なお金と個人情報を守るためにも、それが詐欺サイトではないかどうか、落ち着いてチェックしてください。国民生活センターでは、お米の詐欺サイトを回避するための6つのチェックポイントを公開しています。
- 価格が通常より不自然に安い
- 事業者の連絡先が明確に表記されていない
- 検索すると無関係の事業者情報などの嘘の情報が記載されている
- サイト内の日本語が正しく表記されていない
- 問い合わせ先のメールアドレスがフリーメール
- 問い合わせ電話番号が通じない
従来は、日本語が怪しく、フォントが変だったり、支払い方法が口座振込のみだったりする場合はネット詐欺を疑う、という原則がありました。しかし、最近は生成AIで違和感のない日本語の詐欺サイトが作れてしまいますし、今回のようにクレジットカード決済の詐欺サイトも出てきました。
また、国民生活センターの提示するチェックポイントにもありますが、「事業者の連絡先」についても、より注意して確認する必要があります。以前はでたらめな情報を記載していることが多かったのですが、最近は、実在する無関係な正規業者の情報を勝手にコピーして記載していることがあります。そのため、その住所をさっとネット検索しただけでは、実在する本物の業者だと思ってしまい、詐欺と見抜けない可能性があるので注意しましょう。
従来通り、URLやメールアドレスのドメイン名が本物と異なったり、滅茶苦茶な文字列であれば詐欺を疑ってください。また、そのサイトのURLを検索すると、詐欺の場合は情報が出てくる可能性があります。
もちろん、ネットショップとのやり取りの過程で「クレジットカード決済がうまくいかないので、個人名義の銀行口座に振り込んでくれ」と言ってきたら、ネット詐欺だと考え、利用するのは避けましょう。
とはいえ、最も注意しておいてほしいことは、「あなただけが見つけられる激安商品などはあり得ない」ということです。これは、肝に銘じておいてください。
事例にもあった通り、お米を注文したのにサングラスを購入したことになっているかもしれませんし、何も送ってこないかもしれません。被害者からの問い合わせが来るのを待ち、返金詐欺を仕掛けてさらにお金を騙し取ろうとしてくる可能性もあります。
仮にお米が届いたとしても、中身が古い米や安い米にすり替えられていて、おいしくないかもしれません。商品は安いのに、送料が高く設定されている、という詐欺の手口もあります。
激安には理由があります。ネットでちょっと検索したくらいで、お宝を見つけられるとは考えないほうがよいでしょう。基本的には、信頼できる大手ショップで購入するほうが安心できます。
もし、ネットで注文したお米が届かなかったり、お米以外の荷物が届いてトラブルに遭ってしまったら、消費生活センターなどに相談しましょう。電話番号は、消費者ホットライン「188(いやや!)」番です。クレジットカード情報を入力してしまったなら、クレジットカード会社にも連絡し、利用停止と再発行の手続きをしてください。また、海外事業者とのトラブルについては、国民生活センター越境消費者センターに相談できます。
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※ネット詐欺に関する問い合わせが増えています。万が一ネット詐欺に遭ってしまった場合、まずは以下の記事を参考に対処してください
参考:ネット詐欺の被害に遭ってしまったときにやること、やってはいけないこと