被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー
もしかして闇バイト!?
「スマホの購入を代行するだけで数万円」そんな儲け話を信じてしまった被害者が警察に言われたのは……
2024年8月23日 06:00
先日、私たちNPO法人DLIS(デジタルリテラシー向上機構)に、ネット詐欺被害に遭った方(ここではAさんとします)から相談があったので、その事例を紹介します。
今年4月、Aさんが入っていたLINEグループで、iPhoneを購入してウクライナに送れば2倍の価格で売れる、という話が回ってきました。クレジットカードで購入したとしても、その引き落とし日前には売却金を得られるというのです。そこで、AさんはiPhone 15を4台、約60万円で購入し、指示された住所に宅配便で送りました。2カ月以内に120万円が振り込まれるというわけです。
しかし、入金はありませんでした。連絡をするも、音沙汰なしです。この話を持ち掛けて来た人は身分証明書の画像を提示してきていたので、SNSで探し出して連絡したところ、身に覚えがない、と言われてしまいました。
Aさんはあきらめませんでした。iPhoneの送付先の住所を調べたところ、その家は空き家でした。一方、宅配業者に確認したところ、宅配業者が荷物を届けに行ったときには家の前に人がいたので渡してしまったとのことです。Aさんは弁護士や警察に相談するも、犯人が誰か分からないので対応できない、と言われてしまいました。
うますぎる儲け話は「闇バイト」かも
闇バイトの応募者に携帯電話を契約させてスマートフォンを購入させ、それをだまし取る「携帯契約詐欺」という手口があります。あとには当然、支払うべき代金の負担だけが残るわけですが、応募者はだまされた被害者である一方で、自分も「携帯電話不正利用防止法」違反となる可能性があります。今回のケースは契約詐欺ではなく、単純な転売を持ち掛けられたパターンと言えますが、スマートフォンを購入して譲渡するだけで簡単にお金が得られるぞ、と誘う点では、似た手口だと言えるでしょう。
荷物の受け取りも、今回のように住人を装って空き家の前で受け取るパターンから、レンタルオフィス、ホテルの1室ということもあります。そして、荷物を受け取るのは、こちらも闇バイトで募集された「受け子」と呼ばれる人たちです。
実際に誰かが住んでいる家を指定されることもあります。これは、闇バイトの「荷受け代行詐欺」という手口です。宅配された荷物を受け取って、指定された別の住所に転送する役目です。今回のように携帯契約詐欺で獲得した商品を送付されることもありますし、クレジットカードの不正利用で購入した商品の送り先にも使われます。ちなみに、荷受け代行の闇バイトに応募すると、身分証明書の提示を求められます。荷物を横取りされては困るからですが、この画像は前述のように他の詐欺に利用されることもあります。
うますぎる儲け話は、自身が犯罪実行者にもなりうる闇バイトの募集だと考えましょう。中には「合法的な小遣い稼ぎ」とか「賢くお金を増やそう」とか謳っているケースもありますが、簡単に高収入が得られる、という時点で犯罪を疑ってください。
これはデジタルリテラシーというより、お金の常識です。例えば今回の事例では、購入した本人が60万円を支払う必要があります。支払えなければ、クレジットカードのブラックリスト入りしてしまう可能性もあるのです。儲け話、美味い話、怪しい話は信じないほうがよいでしょう。
また、闇バイトは被害者になるだけでなく、犯罪行為に加担したということで逮捕される可能性まであります。絶対に闇バイトに手を出さないようにしてください。
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※ネット詐欺に関する問い合わせが増えています。万が一ネット詐欺に遭ってしまった場合、まずは以下の記事を参考に対処してください
参考:ネット詐欺の被害に遭ってしまったときにやること、やってはいけないこと