被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー
だまされないように注意!
そのQRコードは“本物”ですか? PayPayで送金する前に確認を!
2024年7月26日 11:50
スマホアプリで手軽に支払いができるPayPayのコード決済は多くの人に利用されています。店頭での代金支払い時だけでなく、なんと公共料金の支払いや税金の納付の際にも使えるのです。対応している細目は自治体によって異なりますが、例えば東京都であれば「自動車税(種別割)」「固定資産税・都市計画税(23区内)」「固定資産税(償却資産)(23区内)」「個人事業税」「不動産取得税等」「水道料金」が、同渋谷区では「特別区民税・都民税(普通徴収)」「軽自動車税(種別割)」「国民健康保険料」「後期高齢者医療保険料」「介護保険料」をPayPayで支払い・納付することができます。
さて、こうした公共料金の支払いや税金の納付にPayPayを利用している人が、うっかりするとだまされてしまいそうな詐欺の手口が報告されています。「遅延している所得税の納付を催促してきましたが、まだ納付されておりません」と国税庁を名乗るメールが届き、PayPayで支払うよう促すのです。
メールには「もし最終期限までに 納付がないときは、税法のきめるところにより、不動産、自動車などの登記登録財産や給料、売掛金などの值権などの差押処分に着手致します」と書いてあります。しかも、納付期限はメールが届いた当日、最終期限は翌日になっていました。
「お支払いへ」というリンクをクリックすると、国税局と書かれたウェブページが開き、QRコードが表示されます。PayPayアプリでスキャンして支払いをするように書かれており、金額は約5万円です。
QRコードを読み込むと、PayPayアプリの送金画面が開きます。アイコンも国税局のような画像になっており、「国税局さんに送る」と表示されています。もちろん、これはネット詐欺です。
メールだけでなく、もっとシンプルな文面になったSMSが届くこともあります。こちらも、リンクをタップするとQRコードのウェブページが表示されます。
【国税庁をかたる詐欺SMSに注意⚠️】
— トビラシステムズ株式会社|特殊詐欺・フィッシング詐欺対策 (@tobilasystems)May 14, 2024
国税庁をかたる詐欺SMSで、現在新たな手口の発生が確認されています。
URLをタップすると国税庁の偽サイトで二次元コードをスキャンさせ、決済サービス(PayPay)で架空の未納税金を支払わせる手口です。
SMSのURLには触らず、絶対に送金をしないでください!pic.twitter.com/xvzGs8xGvw
国税庁はウェブサイトにも明記してある通り、国税の納付や差し押さえに関する連絡を、メールやSMSで行うことはありません。フリーランスなどで様々な税金を自分で納めており、その際にPayPayを使っている場合は特にまだされやすくなるので注意が必要です。
PayPayの「請求書払い」と「送る・受け取る」機能は違うもの
冒頭に挙げたような正規の公共料金の支払いや税金の納付に用いられているのは、PayPayの「請求書払い」というサービスです。これに対して、今回の国税庁をかたる手口などの送金詐欺で悪用されていたのは、PayPayユーザー個人間でやり取りするための「送る・受け取る」機能となっており、PayPay株式会社では「公共料金や税金のお支払いに、送る・受け取る機能は利用されていません」と注意を促しています(PayPayアプリの操作画面も「請求書払い」と「送る・受け取る」では異なるのですが、全てのユーザーがその違いを区別できているかどうか、なかなか難しいところかもしれません)。
また、こうした送金詐欺の被害を防止するための対策をPayPayのシステム側でも以前より進めており、昨年11月からは、「送る・受け取る」機能でQRコードを読み取って送金する際に警告メッセージを表示するようにしました。やり取りが全くなかったユーザー宛てに送金しようとしている場合など、送金先の取引状況に応じて警告メッセージを表示し、送金詐欺が多発していることをユーザーに認識してもらうとともに、送金操作を完了する前に改めて確認を促すものです。
そのほか、システムによる不正検知や24時間・365日体制のモニタリングも行っており、例えば、不正取引と思われる相手に送金されたことを検知した場合に取引を一時的に制限する(=送金されない)仕組みも導入。こうした対策も日々アップデートを行っているため、今回の国税庁をかたるような手口にもすでに対応済みで、7月に入ってからは発生は確認されていないと言います。
とはいえ、次々と新しい手口が生まれる詐欺の全てをシステム/サービス側で完全に防いでくれるわけではありません。こうした詐欺の手口があることをユーザー自身が知っておくことが重要です。
コード決済は便利ですが、手軽に使える分、確認がおろそかになってしまう面もあります。送金詐欺被害に遭わないためにも、普段から注意しておきましょう。
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参考:ネット詐欺の被害に遭ってしまったときにやること、やってはいけないこと