被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー

だまされないように注意!

そのQRコードは“本物”ですか? PayPayで送金する前に確認を!

税金を至急納付するようにというメールが届きました(画像は再現メールです)

 スマホアプリで手軽に支払いができるPayPayのコード決済は多くの人に利用されています。店頭での代金支払い時だけでなく、なんと公共料金の支払いや税金の納付の際にも使えるのです。対応している細目は自治体によって異なりますが、例えば東京都であれば「自動車税(種別割)」「固定資産税・都市計画税(23区内)」「固定資産税(償却資産)(23区内)」「個人事業税」「不動産取得税等」「水道料金」が、同渋谷区では「特別区民税・都民税(普通徴収)」「軽自動車税(種別割)」「国民健康保険料」「後期高齢者医療保険料」「介護保険料」をPayPayで支払い・納付することができます。

 さて、こうした公共料金の支払いや税金の納付にPayPayを利用している人が、うっかりするとだまされてしまいそうな詐欺の手口が報告されています。「遅延している所得税の納付を催促してきましたが、まだ納付されておりません」と国税庁を名乗るメールが届き、PayPayで支払うよう促すのです。

 メールには「もし最終期限までに 納付がないときは、税法のきめるところにより、不動産、自動車などの登記登録財産や給料、売掛金などの值権などの差押処分に着手致します」と書いてあります。しかも、納付期限はメールが届いた当日、最終期限は翌日になっていました。

 「お支払いへ」というリンクをクリックすると、国税局と書かれたウェブページが開き、QRコードが表示されます。PayPayアプリでスキャンして支払いをするように書かれており、金額は約5万円です。

 QRコードを読み込むと、PayPayアプリの送金画面が開きます。アイコンも国税局のような画像になっており、「国税局さんに送る」と表示されています。もちろん、これはネット詐欺です。

 メールだけでなく、もっとシンプルな文面になったSMSが届くこともあります。こちらも、リンクをタップするとQRコードのウェブページが表示されます。

SMSで届くパターンについては、詐欺対策サービスを提供するトビラシステムズ株式会社が画面遷移を含めて詳しく紹介し、注意喚起しています(画像は「トビラシステムズ 特殊詐欺・フィッシング詐欺に関するレポート(2024年4月)」より)

 国税庁はウェブサイトにも明記してある通り、国税の納付や差し押さえに関する連絡を、メールやSMSで行うことはありません。フリーランスなどで様々な税金を自分で納めており、その際にPayPayを使っている場合は特にまだされやすくなるので注意が必要です。

国税局は税金の催促メールは送らない、と覚えておきましょう(国税庁のウェブサイトより)

PayPayの「請求書払い」と「送る・受け取る」機能は違うもの

 冒頭に挙げたような正規の公共料金の支払いや税金の納付に用いられているのは、PayPayの「請求書払い」というサービスです。これに対して、今回の国税庁をかたる手口などの送金詐欺で悪用されていたのは、PayPayユーザー個人間でやり取りするための「送る・受け取る」機能となっており、PayPay株式会社では「公共料金や税金のお支払いに、送る・受け取る機能は利用されていません」と注意を促しています(PayPayアプリの操作画面も「請求書払い」と「送る・受け取る」では異なるのですが、全てのユーザーがその違いを区別できているかどうか、なかなか難しいところかもしれません)。

 また、こうした送金詐欺の被害を防止するための対策をPayPayのシステム側でも以前より進めており、昨年11月からは、「送る・受け取る」機能でQRコードを読み取って送金する際に警告メッセージを表示するようにしました。やり取りが全くなかったユーザー宛てに送金しようとしている場合など、送金先の取引状況に応じて警告メッセージを表示し、送金詐欺が多発していることをユーザーに認識してもらうとともに、送金操作を完了する前に改めて確認を促すものです。

PayPayの「送る・受け取る」機能を悪用した送金詐欺の被害を防止するため、2023年11月から、送金先の取引状況に応じて警告メッセージを表示するようになりました(PayPay株式会社の2023年11月14日付プレスリリースより)。さらに2024年2月末には、受け取りリンク(URL)宛てに送金した際に、同様にこれまでの取引状況に応じて取引を一時的に保留し、警告メッセージを表示する機能を導入しています

 そのほか、システムによる不正検知や24時間・365日体制のモニタリングも行っており、例えば、不正取引と思われる相手に送金されたことを検知した場合に取引を一時的に制限する(=送金されない)仕組みも導入。こうした対策も日々アップデートを行っているため、今回の国税庁をかたるような手口にもすでに対応済みで、7月に入ってからは発生は確認されていないと言います。

 とはいえ、次々と新しい手口が生まれる詐欺の全てをシステム/サービス側で完全に防いでくれるわけではありません。こうした詐欺の手口があることをユーザー自身が知っておくことが重要です。

PayPay株式会社では「公共料金や税金のお支払いに、送る・受け取る機能は利用されていません」とし、送金先・支払い内容を十分に確認すること、少しでも怪しい場合などは送金しないよう呼び掛けています(2024年5月22日付PayPayからのお知らせより)

 コード決済は便利ですが、手軽に使える分、確認がおろそかになってしまう面もあります。送金詐欺被害に遭わないためにも、普段から注意しておきましょう。

高齢者のデジタルリテラシー向上を支援するNPO法人です。媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行っています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。

※ネット詐欺に関する問い合わせが増えています。万が一ネット詐欺に遭ってしまった場合、まずは以下の記事を参考に対処してください
参考:ネット詐欺の被害に遭ってしまったときにやること、やってはいけないこと