被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー
だまされないように注意!
キャッシュカード&暗証番号を渡さなくても口座のお金が盗まれることも。自称「警察」から口座開設を求められたら要注意
2024年3月1日 07:02
2024年1月、福岡県北九州市若松区の82歳の女性が、警察を名乗る人物から電話を受けました。麻薬に関わっていると言われ、女性は指示されるまま福岡銀行の口座を開設し、もともと持っていた自分の口座から、この口座に1000万円を移しました。その時に、口座のネットバンキングに使うIDとパスワードを教えてしまったそうです。
犯人はその情報を使ってネットバンキングに不正アクセスし、1000万円をだまし取りました。同じ手口で同じ若松区に住む79歳の女性も250万円をだまし取られました。キャッシュカードや暗証番号を教えなくてもお金を盗まれたこの手口、詐欺の入り口は電話ですが、高齢者にはなじみのないネットバンキングを利用している点に気を付けなければいけません。
既存の口座をネットバンキングに登録させるパターンも
既存の口座をネットバンキングに登録させ、不正アクセスする手口もあります。2023年8月末以降に大阪府内で確認されたケースによると、「電気協会」や警察、検事などを名乗り、「東京都内のマンションがあなた名義で契約され、電気料金が未払いだ」「暴力団が部屋を借りている」「逮捕状が出る。貯金を一つにまとめる必要がある」などと電話をかけてきたそうです。
そして、「口座取引を確認するため」として、被害者の銀行口座をネットバンキングに登録するように指示し、パスワードを聞き出すのです。大阪府内では2023年8月から9月下旬の間に50歳~80歳代の女性8人が計1億5000万円をだまし取られました。
キャッシュカードと暗証番号を他人に渡すのはNGだと分かっていても、IDとパスワードでお金を動かせることを知らなければだまされてしまう可能性があります。また、今回のように警察などを名乗る人物から犯罪に巻き込まれていることを伝えられたり、電話で操作を誘導されてしまうと焦ってしまいがちですが、落ち着いて対処するようにしましょう。
この手の詐欺被害に遭わないためには事例を知ることが効果的です。ご両親が高齢な場合も情報を共有してください。ネットバンキングは使ってないので大丈夫、と聞く耳を持ってもらえないこともありますが、そんな人を狙う手口があると周知しましょう。
基本的に、電話でパスワードを聞かれることはありません。警察や銀行も聞くことはないので、聞かれたらその話を頭から信じないようにしてください。警察を名乗っているのであれば、一度電話を切って各都道府県警察本部のサイバー犯罪相談窓口に相談してください。東京であれば、警視庁総合相談センターの「#9110番」になります。
家族内で気軽に相談できる空気を作っておくことも大切です。パスワードを教えたり、大金を送金する前に、こんな連絡が来たと相談してもらうだけで、被害を回避できます。
銀行口座への不正アクセスは、得られる金額が大きくなるので、詐欺師たちも力を入れて騙してきます。自分はもちろん、家族のデジタルリテラシーを高め、詐欺被害に遭わないようにしましょう。
あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。
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※ネット詐欺に関する問い合わせが増えています。万が一ネット詐欺に遭ってしまった場合、まずは以下の記事を参考に対処してください
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