被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー
欲しいレア商品が格安で見つかった? それはネット詐欺かも!
悪質通販サイトを見分けるための「6つのチェックポイント」とは? 商品が届かない場合の対応方法も確認しておこう
2024年8月16日 06:00
ネット通販で注文した商品が届かないとか、税関で没収されてしまったという事件があとを絶ちません。海外サイトであれば、被害回復は難しく、泣き寝入りするしかないことも多いのです。
詐欺サイトでは格安で売っていたり、プレミアの付くようなレア商品を扱っていたりするので、見つけてしまうと欲に目がくらんでしまいます。筆者も、欲しいレアウイスキーを検索していたところ、日本語の通販サイトを見つけて危うくだまされそうになったことがあります。サイトのデザインは綺麗で、写真も本物のように見えたからです。しかし、事業者や返品に関する情報が記載されておらず、決済方法も個人口座への振込のみだったので、詐欺サイトであることに気が付きました。
もし振り込んでしまえば、商品は届かず、お金も返ってきません。どのようにして、悪質通販サイトの被害を回避すればよいのでしょうか。
国民生活センターは「悪質通販サイトのトラブルにあわないために」という注意喚起を行っています。この中で「悪質通販サイトを見分けるチェックポイント」として、以下のような6つの特徴を挙げています。
[悪質通販サイトを見分けるチェックポイント]
- サイト内の日本語が正しく表記されていない
- 市場では希少なものがこのサイトでは入手可能となっている
- ブランド、メーカー品で価格が通常より安い
- 支払方法が限定されている。振込先の銀行口座の名義が個人名である
- キャンセル、返品、返金のルールがどこにも記載されていない
- サイト上に事業者の名称、住所、電話番号が明確に表記されていない
これらの特徴があるなら、購入を慎重に判断する必要があります。特に「支払方法が限定されている。振込先の銀行口座の名義が個人名である」に該当する場合は、ネット詐欺の可能性がとても高くなります。しかし、筆者が重宝するお肉屋さんも口座の名義が個人名となっているので、確実に判断できるわけでもありません。総合的に判断する必要があります。
また、注意喚起のページでは、国民生活センター越境消費者センターが確認した「悪質通販サイト情報」をPDFで公開しています。悪質な通販サイトをリストアップし、トップページの画像や名称、URLなどを確認できるようにしているのです。
現在は、8サイトしか掲載されておらず、すでに消えているサイトもあります。しかし、このような情報を公開してくれる団体があるのはとても心強いことです。もし、衣類や玩具、自転車などを購入しようとして、怪しいサイトを見つけたら、このリストをチェックしてみましょう。
実際に商品が発送されてくることもありますが、この場合、模倣品の可能性があります。消費者が海外から購入した商品が模倣品である場合、2022年10月1日からは税関で没収の対象となりました。2021年5月に改正された商標法と意匠法によるもので、個人で使うと言ってもNGです。当たり前ですが、返金などはされません。
模倣品を扱う詐欺サイトで購入しまった場合、商品が届いていないなら、キャンセルの連絡をして返金を求めましょう。返金されない場合、クレジットカード決済ならカード会社に相談してみましょう。購入したサイトの商品ページのスクリーンショットや注文確認メール、販売事業者とのメールのやり取り、税関から届く通知書などを準備しておく必要があります。どのような対応になるかはカード会社の判断によります。
国内金融機関に振込で決済したのに、商品が届かなかったり、税関で没収されてしまった場合は、「振り込め詐欺救済法」の対象になる可能性があります。警察に相談したあとに、振込先の銀行に相談し、振り込め詐欺救済法による救済を求めてみましょう。
国民生活センター越境消費者センターのウェブサイトでは「詐欺が疑われる海外インターネット通販に関する相談」や「模倣品の海外インターネット通販に関する相談」の実例やアドバイスを公開しています。Amazonや楽天といった大手ショッピングサイトではないネットショップを利用する場合は、目を通しておくことをお勧めします。
あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。
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※ネット詐欺に関する問い合わせが増えています。万が一ネット詐欺に遭ってしまった場合、まずは以下の記事を参考に対処してください
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