被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー

高齢者のネット詐欺被害を撲滅しよう!

巧妙な詐欺サイトや詐欺メールを見抜く10のチェックポイント

 本連載では、身に覚えのないアダルトサイトから請求が来た、AmazonやAppleからアカウントを確認するようにメールが来た、1億円あげるとメールが来た、宅配便の不在通知がSMSで届いた、友達からLINEで電話番号を聞かれた、激安の高級ウイスキーを購入した……といったネット詐欺を多数紹介してきました。それぞれ、対策と注意ポイントを紹介してきましたが、今回は詐欺サイトや詐欺メールを見抜くチェックポイントだけをまとめて紹介します。

1)メールやサイトのドメインをチェック
 AmazonやApple、楽天、銀行、役所などを偽装してメールを送ってきて、フィッシング詐欺サイトへアクセスさせます。その際、ドメインをチェックしましょう。例えば、日本のAmazonなら、amazon.co.jpというドメインです。しかし、「xxxxx-xxxxx-support-amazon.com」のように紛らわしい文字列になっていることもあります。Amazonの文字だけにだまされず、よく見ると看破できます。

Appleを偽装していますが、URLがめちゃくちゃです

2)変な日本語や誤字脱字をチェック
 詐欺メールのほとんどは海外から来ます。下手をすると翻訳サイトの直訳で、手が込んでいても外国人が翻訳しています。そのため、「Amazonをご利用いただきありがとうございますが」や「アマゾンアカウントで何ができるか的を絞って下さい」といった変な日本語になっていたり、誤字脱字が目立ちます。気になるミスを見つけたら、スルーせず、詐欺だと考えるようにしてください。

3)問い合わせ先をチェック
 ネットショップ詐欺などでは、ウェブサイトの問い合わせ先をチェックしましょう。詐欺サイトでは、電話番号の記載がなく、問い合わせ先そのものを用意していないことがあります。また、問い合わせ先のメールがあっても、フリーメールアドレスなら詐欺を疑いましょう。

4)企業情報をチェック
 そのサイトを運営している会社情報をチェックしましょう。会社名や社長の氏名、電話番号などを検索してみましょう。一発で詐欺だと言うことが分かるケースが多々あります。一切検索にヒットしないのも詐欺の可能性があります。問題は、既存の第三者の情報をかたっている場合です。本当に、そのサイトを運営していそうかどうかを確認しましょう。全く関係なさそうなら、近寄らない方が賢明です。

5)口座名義をチェック
 銀行振り込みで前金のみ、というパターンは口座名義をチェックしましょう。会社名やサービス名と関係ない個人名だったりするなら、ネット詐欺の可能性が高まります。特に、外国人名義の個人口座に振り込むと、被害金額を取り返すのも難しくなります。また、クレジットカードだから安心と言うこともありません。その場合でも、他のチェック項目を軽視しないようにしましょう。

6)自分で検索して元サイトをチェック
 アカウントを停止するとか、セキュリティで再設定が必要というメールが来ることがあります。その場合、メール内のURLを開かず、ブラウザーを開いてGoogleで検索して元サイトにアクセスして確認しましょう。同じ情報がお知らせなどにあればOK、ないならネット詐欺の可能性が高まります。

7)価格やサービスが常識範囲かどうかチェック
 憧れの高級品が欲しくてネットを見ていたら、明らかに安いショップを発見することがあります。まず、一般的な価格帯を大幅に超えて安いなら、その時点でネット詐欺を疑いましょう。転売しても利益が出そうな価格で商品が売っていると思わないことをお勧めします。

変な日本語を使っていたり、あり得ない価格で売られていたらネット詐欺の可能性大です

8)ウイルスかどうかをチェック
 セキュリティツールや小遣い稼ぎツール、ゲームの改造ツール、便利なユーティリティアプリとかたって、ウイルスをインストールさせようとする詐欺もあります。この場合は、ウイルス対策ソフトをきちんと動作させていれば防げます。問題は、巧妙に誘導されて自分で遠隔操作ソフトをインストールしてしまうケースです。これは、まず犯人の指示に従わないように、他のチェック項目で防御したいところです。

9)SSL/TLS通信になっているかどうかチェック
 個人情報を入力する際、そのウェブページがSSL/TLS通信で暗号化されているかどうかを確認します。SSL/TLSが無効になっているなら入力は避けましょう。URLが「https://~」で始まっていたり、鍵マークが表示されていればSSL/TLSが有効になっています。問題は、SSL/TLSが有効でも、それがネット詐欺ではないとは限らないことです。SSL/TLSは表示されているURLとサイトが同一かどうかを証明しているだけで、本家のサイトかどうかは判断していません。他のチェック項目を組み合わせて防御しましょう。

SSL/TLSが有効になっていることを確認しましょう。また、自分がアクセスしようとしているサイトと合っているかも確認する必要があります(画像は、ウェブブラウザー「Microsoft Edge」での表示例)

10)あり得ないことはあり得ない
 1億円あげますとか、ロトの必勝法を教えますとか、若い美男美女から口説かれるとか、高級品を激安で買えるとか、あり得ないことは現実には起きないと肝に銘じておきましょう。欲望は判断を鈍らせます。

 きちんとしたデジタルリテラシーを身に付けていれば、ネット詐欺に引っかかる可能性は限りなく小さくできます。上記の10項目、可能な限り心の隅にとどめておいてください。

あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。

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NPO法人DLIS(デジタルリテラシー向上機構)

高齢者のデジタルリテラシー向上を支援するNPO法人です。媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行っています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。