被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー

それってネット詐欺ですよ!

手に入りづらい商品が激安で売られている? 賀来賢人さんも引っ掛かったネット通販の「ショッピング詐欺」

 俳優の賀来賢人さんは、4月2日のNHKのテレビ番組に出演した際、ネット詐欺の被害に遭ったことを話しました。欲しくてもなかなか手に入らなかった装飾品が、とあるウェブサイトで販売されていて、しかも定価の半額だったため購入したのですが、これが問題でした。

あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。

 そのウェブサイトではクレジット決済ができず、銀行口座の振り込みのみ受け付けていたのですが、振り込み先は個人名口座でした。振り込み後、2~3日で発送すると連絡があったものの1カ月経っても商品は届きませんでした。

 不審に思った賀来さんは通販サイトの会社名を検索したところ、検索結果のトップに詐欺サイトとして注意喚起されていたそうです。これは商品が届かないことや偽物が送られてくる「ショッピング詐欺」です。

 コロナ禍の影響で新しい生活様式が広まり、ネット通販を利用する機会が増えた結果、トラブルも増えています。国民生活センターに寄せられたネット通販に関する相談件数は2019年12月は1万8820件で、相談全体に占める割合は25.5%でした。しかし、コロナ禍の2020年5月には2万4701件に増え、割合も32.7%と上がっています。

 2020年は、マスクや消毒用アルコールなどの商品に関連するトラブルが多かったのですが、ブランドもののネット詐欺も多数ありました。手に入りにくい商品でもなぜか定価より大幅に安く販売されているウェブサイトが見つかることがあります。しかし、それは詐欺師が仕掛けた偽サイトの可能性があります。

消費者庁も注意喚起、不審に思ったら事業者の情報などを検索してみよう

 消費者庁はネット通販トラブルを防ぐための注意点を公開しています。具体的には、所在地や連絡先など事業者の情報を検索することを挙げています。今回の賀来さんの事件も、この作業をするだけで、被害を回避することができました。

 住所を公開していないケースや番地まで詳しく記載されていないなら要注意です。しかし、でたらめな住所が記載されているケースもあります。以前見つけた詐欺サイトは、関係のない個人のアパートの住所になっていました。

消費者庁のウェブサイトより。さまざまな団体がショッピング詐欺について注意喚起を行っています

 ウェブサイトのURLが正しいものかどうか確認することも重要です。通常はショップ名や会社名に関係のある文字列でドメイン名を取得するので、不自然な文字列のURLなら詐欺サイトの可能性が高くなります。正規URLから1文字だけ入れ替えたものなど、一見すると見分けがつきにくいURLもあるので注意しましょう。

 また、ウェブサイトの日本語のフォントが不自然だったり、機械翻訳したような不自然な日本語表現がある場合も要注意です。外国人が作成した詐欺サイトの可能性があります。

 商品が大幅に安く販売されている場合も注意しましょう。そんな美味しい話は転がっていません。実際には商品の在庫を持っていなくても、アクセスした人を引っ掛けるためにページを作成している場合や、偽物を販売している可能性もあります。

 支払い方法が銀行口座への振り込みのみで、個人名口座の場合も注意しましょう。前払いの際には、ウェブサイトの運営者と口座名義人が同じであることを確認してください。

消費者庁のウェブサイトより。ネット通販を利用する際の注意点がまとめられています

 被害に遭わないためには事例を知ることが重要です。もし被害に遭った場合は、警察や消費生活センターに相談してください。消費者ホットラインの電話番号は「188(いやや!)」です。購入した際にウェブサイトで入力した個人情報が流出して、別の犯罪に巻き込まれる危険性もあるので連絡してみましょう。

高齢者のデジタルリテラシー向上を支援するNPO法人です。媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行っています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。