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1日に10万人超が集まる「コミケ106」に向け、携帯キャリアが臨戦態勢に

KDDIは冬コミの2倍の通信品質対策、ソフトバンクは「Starlink Business」活用してWi-Fi整備も

 8月16日・17日に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催される「コミックマーケット106」を前に、KDDI株式会社とソフトバンク株式会社が、混雑の中でも快適なモバイル通信を実現するため、移動基地局の投入や、5Gの環境整備などの通信品質対策を発表した。

 KDDIは、前回「コミックマーケット105」のときと比較して約2倍の通信品質対策を実施。ソフトバンクは「Starlink Business」を活用したWi-Fi環境の整備も行う。

 2024年12月に開催された「コミックマーケット105」では、2日間で約30万人が来場した。多くの人が集まる入場待機列では、動画の視聴やゲームのプレイ、SNSへの投稿など、スマートフォンでの通信を使用する場面が多くなり、トラフィックが集中しやすく、通信環境が不安定になることが予想されている。

 今回、2社が発表した対策は以下の通り。

KDDI

対策予定場所(KDDI)

 KDDIは、屋外で「Sub6」および「SA」に対応する車載型基地局3台と可搬型基地局6台の計9台を設置し、前回「コミックマーケット105」のときと比較して、約2倍の通信品質対策を実施する。

 また、東側の可搬型基地局3台には、Sub6の2つの周波数(3.7GHz帯/4.0GHz帯)に対応した無線装置「Dual Band Massive MIMO Unit」(DB-MMU)を搭載している。1つの周波数のみに対応した従来装置と比較し、最大2倍の利用者が接続できるようになったことに加え、ビームフォーミング技術の適用で、利用者に電波を効率的に届けることが可能になったという。

 同社は、今後も5Gの高度化技術の拡大や、日常やイベント開催時の通信品質改善に取り組んでいくとしている。

ソフトバンク

移動基地局車(ソフトバンク)

 ソフトバンクは、高速・大容量通信が可能な5Gの「SA」に対応する環境の整備や、Sub6(3.9GHz帯)の増強、移動基地局車の配備、Starlink Businessを活用したWi-Fi環境の整備などの電波対策を実施するという。

 「SA」に対応する利用環境を整備することで、SAによる高速・大容量の通信サービスを提供するとともに、4Gネットワークの負荷を軽減し、混雑時でも安定したサービスを提供できるという。

 会場周辺の一部の基地局において、高速・大容量通信が可能なSub6(3.9GHz帯)に対応したアンテナを新たに設置し、混雑時にも安定した通信サービスを提供するとともに、混雑時以外には高速・大容量通信が可能な環境を整備する。

 開場前の東側待機列エリアでは、従来配備していた移動基地局車に加えて、Starlink Businessを活用したWi-Fi環境を整備し、一部のトラフィックをWi-Fiへ分散することでネットワークの混雑を防止し、混雑時も安定した通信サービスの提供を図る。

 同社は今後も、大規模イベントにおいて安定した快適な通信サービスを提供するための取り組みを続けていくとしている。

 このほか、株式会社NTTドコモは現時点で報道発表はないが、同社の公式X(旧Twitter)アカウントで「コミックマーケット106でも最大限『つながる』ように、電波対策を実施します」とポストしている。同社は、前回「コミックマーケット105」までに会場の全面5G化を完了しているといい、「スマホの5G設定を『ON』にして東京ビッグサイトへ」と呼び掛けている。