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上野公園の「東京春祭」でローカル5Gおよび60GHz無線によるネットワーク構築実用テスト、IIJが実施

 株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)および株式会社IIJエンジニアリング(IIJ-EG)は、今年3月〜4月に開催された「東京・春・音楽祭2025」(東京春祭)において、東京文化会館(東京都台東区上野公園)やその周辺にローカル5Gおよび60GHz無線を使ってネットワークを構築し、その有効性を確認したと発表した。

 次年度以降の音楽祭運営での本格採用を見据えた実用テストとして、以下の2つの実用テストを実施。ライブストリーミング配信用の公演映像・音声のアップロードや、QRコードチケットの管理などの音楽祭運営でローカル5Gおよび60GHz無線を使用した。

回線が混雑する場所でローカル5Gによる専用ネットワークを構築

 実用テストの背景として、会場周辺の混雑による携帯キャリア網の混雑や、東京文化会館内は公演中に携帯電話抑止装置が作動するため館内で携帯キャリア網を利用できないといった制限があり、運営スタッフ向けに独自無線ネットワークの整備が求められていたことがあった。文化会館にある従来のWi-Fiネットワークに加えて、電波干渉のない安定した専用ネットワークとしてローカル5Gネットワークを構築し、公演の運営に利用した。

 主な利用用途は、来場者のQRコードの読み込み、チケット確認や、配信用のカメラ映像・音声のアップロード。

RU(Radio Unit/アンテナ)
基地局装置
GPSアンテナ
東京文化会館1階客席後方に設置されたカメラとルーター(4K30p 30Mbpsにてカメラ映像を伝送)
ステージ上手 照明室のアンテナ
QRコードの読み取り
iPhone SE3と専用アプリを用いてQRコードチケットを読み込み、確認

有線ネットワークを敷設できない建物で60GHz帯無線ネットワークを構築

 東京春祭の公演会場の1つである国立西洋美術館(東京都台東区上野公園)は、世界文化遺産に登録されているため文化財や建物保護の観点から配線工事に制限があり、有線ネットワークの構築が非常に困難であることから、代替手段として東京文化会館との間で60GHz帯無線接続を確立し、実用テストを実施した。

 主な利用用途は、西洋美術館の地下ホールにて行われた公演映像、音声の中継配信。

 同社は、この実用テストの結果を生かし、コンサート・スポーツ・展示会など短期イベント向けのインターネット接続環境を構築するIIJ-EGの「マルチアクセスソリューション」において、ローカル5Gや60GHz無線の選択肢を提供するなど、ソリューション拡充を進めていくとしている。