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IIJ、法人向けメールサービスのアカウント総数が1000万を突破。実績を支える舞台裏をメールエンジニアに聞く

 株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)は7月29日、法人向けの3つのメールサービスにおいて、利用されているアカウントの総数が2024年4月に1000万を超えたと発表した。

 当該サービスは、2タイプに分けられる。法人の従業員向けに提供される“B to B to E”タイプのクラウド型統合メールセキュリティサービスが「IIJセキュアMXサービス」。顧客向けメールサービスのOEM基盤である“B to B to C”タイプが「IIJ OEMプラットフォームサービス for Mail」と、より大規模なCATVやISPといった十万〜百万ユーザー規模の事業者向けに提供される「IIJ xSPプラットフォームサービス/Mail」の2つだ。

 7月時点では総計約1100万アカウントに達しており、“B to B to E”タイプは約290万、“B to B to C”タイプは約810万アカウントになるという。

高いカスタマイズ性と国内企業の安心感で選ばれる「セキュアMX」

 IIJセキュアMXサービス(セキュアMX)は、2006年に提供を開始。多くの企業のほか、政府機関や自治体へも提供している。クラウド型メールサービスとしてサーバーからクライアントまでの機能を備え、アンチウイルス、迷惑メール対策、DMARCチェックなどのセキュリティ機能が充実しているほか、内部不正対策、責任者による承認後送信、証跡保存などの機能も持つ。

 カスタマイズ性の高さも特徴で、組織のメールシステムを全てアウトソースできるだけでなく、既存のメールシステムにセキュリティゲートウェイのように機能を加えたり、Gmailなどのクラウド型サービスと連携してセキュリティを向上させたり、といったかたちでの導入もできる。

セキュアMXのウェブサイトより、3種類の導入パターン

 企業・組織の要請に応じた形態で提供でき、日本の商習慣やビジネスパーソンの感覚にあわせた提案も得意としているという。同サービスを担当する古賀勇氏(ネットワーク本部 アプリケーションサービス部 メールサービス運営課長)によれば、海外事業者のサービスから乗り換えた組織も多く、サービス内容そのものに加え、国内企業であるIIJの提供ということでの安心感や、(事業者選定における)社内での話の通りやすさを評価されることも多いという。

IIJ ネットワーク本部 アプリケーションサービス部 メールサービス運営課長 古賀勇氏

国内最大級、多くの事業者のOEMを一手に引き受けるサービス

 IIJ OEMプラットフォームサービス for Mailは2011年に提供を開始し、ISPなどのメールサービスのOEMを行ってきた。自社運用でなくアウトソースに舵を切る事業者が増える中で規模を拡大し、2018年には、より大規模なプラットフォームとして、IIJ xSPプラットフォームサービス/Mailの提供を開始している。

 両サービスを担当する田中裕晃氏(ネットワーク本部 アプリケーションサービス部 xSPサービス課長)は、同社のメールのOEMプラットフォームサービスは国内最大級の規模だと語る。ISPやCATVにとってメールサービスの運用を自社で続けるよりもOEMが現実的な選択肢となり、かつては多数あったOEMプラットフォーム事業者も撤退していった中、同社は約810万アカウントを抱える規模に規模にまで拡大した。

 今では、ISPから付与されるメールアカウントを使わないという人も少なくはないだろう。しかし、ニーズは根強い。田中氏によれば、アカウントのうちおよそ3~4割が日常的なメールのやりとりに使われており、IDとしてのみ利用されているなどと見られる(利用頻度が少な目の)ものを含めれば、5割程度がアクティブに使われているという。

IIJ ネットワーク本部 アプリケーションサービス部 xSPサービス課長 田中裕晃氏

 メールはレガシーな技術なので、業界では意外と現役世代のエンジニアが少なくなっていると、両氏は語る。しかし、大規模なメールサービスを提供し続けているIIJは、メール専任のエンジニアを現在も数十人規模で擁しており、これが、同社の強みになっているという。