読めば身に付くネットリテラシー
海外旅行前に申請するESTAやETA、Google検索上位の広告リンクは無視して!
公式サイトはそこじゃない――「申請代行サイト」トラブルが増加
2025年8月15日 06:00
海外旅行前には、事前に電子渡航認証の申請が必要になることがあります。例えば、アメリカであればESTA、イギリスのETA、オーストラリアのETA、カナダのeTAなどです。いずれも各国の公式サイトから申請できるのですが、Googleで検索すると公式サイトよりも上に、第三者のサイトが表示されます。このサイトで申し込み、高い手数料を取られるトラブルが多発しているので注意してください。
8月6日、国民生活センターは「えっ?!公式サイトから申請したはずが、そうじゃなかった?」という報道発表資料を出し、注意喚起を行っています。近年、電子渡航認証に関する相談が増えているのです。コロナ禍の2021年度には78件でしたが、2024年度には1022件に増加し、2025年度も前年を上回るペースとなっています。
例えば、アメリカのESTAであれば、「https://esta.cbp.dhs.gov/」が公式サイトとなります。アクセスすると、モバイルアプリへのリンクが表示されます。
しかし、Googleで検索すると、「スポンサー」として3つのリンクが上部に表示されます。この全てが非公式サイトです。試しにアクセスしたところ、公式サイトと同じ質問が表示されます。
全ての質問に回答すると、最後に決済します。この際、画面には金額が表示されますが、薄いグレーで「229ドル」と表示されていました。最初は見落としてしまったほど目立たないようになっています。
公式サイトでは、申請の手数料は21ドルです。要は約200ドルを上乗せしているというわけです。申請支援とはいえ、質問内容は同じですし、全てに回答しなければなりません。ユーザーとしては特に楽になっているわけではなく、第三者のサイトを利用する必要はないのです。
米政府や在日米国大使館のサイトでも再三、ESTA申請の模倣サイトに関する注意喚起が行われています。第三者のサイトがお金だけ取って申請しなければ詐欺ですが、その模倣サイトが本当に第三者として代理申請を行っているなら、サービスの提供は完了していることになり、ネット詐欺としての立件や返金などは難しくなります。
対応策としては、基本的にGoogleの広告はクリックしないことです。下にスクロールすれば、公式サイトがすぐに見つかるはずです。また、支払いをする際の金額は確実にチェックしてください。面倒だからと注意を怠ると、トラブルに巻き込まれる可能性が高まります。被害回復は無理だったり、たとえ返金できたとしても多大な労力がかかります。
また、200ドルくらい仕方がない、と考えないほうがよいです。本当に旅行に間に合うように代理申請してくれるのかは分かりませんし、サポートなど期待できません。また、個人情報や滞在先の情報をまるっと渡してしまうことになります。ESTAでは、SNSアカウントも求められるので、もし第三者が悪用しようとすればリスクは計り知れません。必ず、公式サイトから電子渡航認証を申請しましょう。
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※ネット詐欺に関する問い合わせが増えています。万が一ネット詐欺に遭ってしまった場合、まずは以下の記事を参考に対処してください
参考:ネット詐欺の被害に遭ってしまったときにやること、やってはいけないこと