被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー
犯罪に加担しないように注意!
募集内容はECサイトでの商品売却や銀行口座の開設など、高収入をうたう「闇バイト」の危険性
2024年3月8日 07:01
闇バイトはSNSやネット掲示板で「高収入」や「即金支払い」などをうたって募集していることがありますが、さまざまなリスクがあるので手を出さないようにしてください。
警察庁では「『闇バイト』は犯罪実行者の募集です」とウェブサイトで啓もうしており、警視庁でも、「闇バイトが特殊詐欺等の犯罪に加担して逮捕される可能性がある」として、X(旧Twitter)などで注意喚起をしています。
こちらは警視庁犯罪抑止対策本部です
— 警視庁犯罪抑止対策本部 (@MPD_hanyoku)March 4, 2024
バイト・仕事等の募集や口座売買等のツイートに注意してください
特殊詐欺等の犯罪に加担して逮捕される可能性があります
闇バイト
闇仕事
裏バイト
裏仕事
運び
荷受け
受け出し
UD
口座買取#BAN闇バイトpic.twitter.com/QxluL1qbyv
宅配便の受取から強盗まで、仕事の内容は多岐にわたります。例えば、2022年に京都市や広島市などで起きた広域強盗事件では、フィリピンにいた指示役により、闇バイトとして実行役が集められたとされます。これは指示役とされる人物が逮捕され、大々的に報道されたので皆さんもご存じでしょう。
闇バイトでは強盗で得た腕時計や貴金属を売却することもあります。2022年12月に元自衛官の男が闇バイトに応募したケースでは、74点(約1530万円相当)の品物を約1130万円で売却し、犯人グループへ渡しました。その報酬として、元自衛官の男は約56万円を得て、遊興費に全て使ったそうですが逮捕されています。
ECサイトでの売却や銀行口座の開設など、さまざまな闇バイトの手口
他にも、ネットショップやフリマサイトなどのECサイトで、指定した商品を指定のクレジットカードで購入したり、出品することでその一部を報酬としてもらえるとうたうものもあります。闇バイトの応募者も立て替える必要がないので、一見リスクがないように見えます。
しかし、この闇バイトの起点になっているのはフィッシング詐欺です。詐欺師がフィッシングサイトで不正に集めたクレジットカード情報を使い、商品を購入/売却して、現金化させているのです。詐欺師が直接手掛けると、事件が発覚したときに追跡されてしまうため、闇バイトを募集することで第三者の手を介しているのです。警察が捕まえるのは、直接犯罪を実行した闇バイトの応募者たちです。黒幕である詐欺師も逮捕されるかもしれませんが、だからと言って闇バイトが無罪放免になることもありません。
他には、携帯電話を契約させたり、銀行口座を開設させて、それを買い取るという手口もあります。手続きするだけで報酬をもらえるので手を出しやすい、と考えるのは危険です。犯罪なので絶対にやめましょう。
警視庁のウェブサイトでは、携帯電話に関連する闇バイトの犯罪行為の事例として以下の2パターンを紹介しています。
- インターネット上の掲示板で、携帯電話の購入アルバイトを募っていたので応募した。携帯電話を実際に利用するつもりはなかったが、携帯電話を契約し、アルバイトあっ旋業者なる者に渡して日当をもらった。
- 白ロムの購入バイトは金になると聞き、悪いことと知りつつも携帯電話を契約し、機種変更を繰り返して端末を複数台入手し、購入代金を支払うことなくアルバイト斡旋業者なる者に転売した。
他人に対して売却する目的で銀行口座を開設するのも、詐欺罪や犯罪収益移転防止法違反として問われる可能性があります。実際に逮捕され、ニュースになっているケースもあります。
高齢者からキャッシュカードを受け取ったり、だまし取ったキャッシュカードから現金を引き下ろす闇バイトもあります。「受け子」や「出し子」と呼ばれ、逮捕されることも多い役割です。
応募時に個人情報を渡して脅迫されることも
詐欺師は、闇バイトで扱う現金や商品の持ち逃げ対策として、応募者の個人情報や身分証明書などの提出を要求してきます。一方、応募者は詐欺師については何も知らないという状況になります。そのため、闇バイトに応募した後に辞めたいと思っても簡単にはいきません。個人情報を元に脅迫してきます。「お前がこれまでにやった犯罪行為を警察に連絡するぞ」と言われることもあり、簡単に辞めることができないのです。
闇バイトには絶対にかかわってはいけません。大金を稼いでハッピーエンドとはならないのです。何も知らないと、ずるずると底なし沼にはまってしまうかもしれません。本連載の関連記事などを参考に個別の事例を学び、未知のネット詐欺に遭遇した場合でも被害に遭わないためのデジタルリテラシーを身に付けましょう。「君子危うきに近寄らず」です。
関連記事:
・SNSの闇バイトに応募すると個人情報を根掘り葉掘り聞き出されて抜け出せなくなる
・高額報酬のアルバイトに応募して「テレグラム」に誘導されたら要注意!
・「d払い」不正利用で190万円騙し取った詐欺グループのスミッシングと“闇バイト”を使った手口
あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。
「被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー」の注目記事
- みちょぱ、団長安田、ゴリけん…タレントが相次いで詐欺被害を告白、その手口とは
- チェーンメールで有名だった「神の手雲」が15年ぶりにLINEで回ってきた
- マイナポイント第2弾に便乗、「獲得したポイント2万円分が失効する」という詐欺メールが拡散中
- 注文した覚えはないのに? Amazonから代引き商品が送りつけられる詐欺に注意
- キャッシュカード&暗証番号を渡さなくても口座のお金が盗まれることも。自称「警察」から口座開設を求められたら要注意
- 「電話料金の未納があります」、フィリピンからNTTファイナンスをかたる怪しい国際電話がかかってきた
- Facebookで明石家さんまさん、大坂なおみさんなど著名人の写真を悪用したネット詐欺が横行中
- URLが本物そっくりな詐欺サイトに注意! 「ホモグラフ攻撃」などの手法を知っておこう
- ノブコブ吉村さんも遭遇、「PCのカメラからシャッター音! 何か撮影された!?」と驚かせる手口とは?
- SMSで不在通知が届いてもURLはクリック禁止! 偽宅配詐欺に要注意
- そのほかの詐欺事例など、この連載の記事一覧はこちら
高齢者のデジタルリテラシー向上を支援するNPO法人です。媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行っています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。
※ネット詐欺に関する問い合わせが増えています。万が一ネット詐欺に遭ってしまった場合、まずは以下の記事を参考に対処してください
参考:ネット詐欺の被害に遭ってしまったときにやること、やってはいけないこと