被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー
それって闇バイトですよ!
高額報酬のアルバイトに応募して「テレグラム」に誘導されたら要注意!
2023年2月10日 07:16
最近、強盗事件がいくつも報じられており、その中で「闇バイト」が注目されています。今回取り上げる闇バイトとは、TwitterやInstagramで高額報酬を提示して人を募集し、集まった人に強盗などの犯罪行為を手伝わせるものです。
以前は、闇バイトと言えば、オレオレ詐欺に加担するケースが多く、被害者から銀行カードを受け取ったり、盗み取ったカードを持ってATMからお金を引き出したりするものが知られていました。しかし、闇バイトで強盗にまで手を染める事件が頻発しており、1月に東京都狛江市では強盗殺人事件まで起きています。
闇バイトでは募集する側(指示役)が、現場で動く側(実行役)に指示を出します。当然、もし実行役が逮捕されても指示役にまで捜査の手が及ばないようにしようと考えます。同時に、実行役が指示役を裏切ってお金を持ち逃げされたりしないようにする必要もあります。
そこで使われているのが「Telegram(テレグラム)」というメッセージアプリです。高い匿名性を備えているのが特徴で、ロシアによるウクライナ侵攻においては、ロシア国内でプーチン政権を批判する際に利用されるSNSとしても広く使われています。2022年の段階でユーザー数は7億人を超えているのです。
サイバー犯罪者やネット詐欺師などはこの匿名性に目を付けました。Twitterなど一般的なSNSは法に則った手続きを行えば、ユーザーを特定できます。しかし、テレグラムのシークレットチャットモードを使うと、チャットはエンドツーエンドで暗号化されるので、ユーザーの特定が困難となっています。
犯罪に関する指示のやり取りが残らないようにメッセージを自動削除するタイマー機能も使われやすいです。また、このアプリの特徴として、メッセージが消える前にスクリーンショットを撮ろうとするとアプリが感知して、Androidスマホなら画面が真っ黒になって保存できませんし、iOSの場合はスクリーンショットが撮られたことが相手に通知されます。
ユーザーの匿名性を保護するための機能ですが、犯罪者にとっても都合の良いアプリになっています。
闇バイトは主にTwitterやInstagramで募集していることが確認されていますが、連絡するとすぐにテレグラムでのやり取りに誘導されます。そして、裏切ったり、途中で辞めたりできないように、身分証明書の写真を送るように指示されます。この身分証が、実行役が詐欺グループから抜けたい、と言ったときの脅しの材料として使われる例もあるようです。
闇バイトに手を出したり、犯罪行為をしてはいけない、というのは改めて言うまでもありません。もし高額報酬や日当日払いといった内容に釣られて連絡しようとしても、テレグラムでのやり取りに誘導されるようになった時点で、闇バイトだと判断するようにしてください。
あなたが逮捕されても証拠を消し、切り捨てるためにテレグラムで指示を出そうとしているのです。テレグラムそのものが悪いわけではありませんが、テレグラムを勧めてくる相手には注意してください。また、テレグラム以外にも、個別のやり取りを行うために別のサービスやアプリを利用するよう促された場合も要注意です。
あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。
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