被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー
犯罪に巻き込まれないように注意!
「Telegram」で連絡を求められたら要警戒! “闇バイト”などで悪用されるメッセージサービス
2020年8月14日 06:00
サイバー犯罪者の多くは、インターネットを使って仲間と連絡を取り合っています。TwitterやLINEも使われているのですが、本当に見られたくない犯罪の内容などは書き込まないようにしています。メールやSNSはサーバーや相手の端末にメッセージの履歴が残るので、摘発された時に犯罪の証拠になってしまうからです。
そこでサイバー犯罪者は「Telegram(テレグラム)」というメッセージサービスを活用しています。一般的なメッセージサービスに見えるのですが、高度な暗号化機能でチャットの内容が盗み見られないようになっており、秘匿性が高いのが特徴です。また、広告が表示されず無料で利用できます。
同サービスは、2013年8月にロシア人の開発者によってリリースされましたが、ロシア政府からの規制から逃れるため、開発拠点をベルリンやロンドン、シンガポール、ドバイなどへ移しています。Telegram側は政府からの情報開示要求に応じたことがなく、国によっては利用が禁じられています。今のところ、日本では普通に利用できます。
Telegramでは普通にメッセージをやり取りすることもできるのですが、「シークレットチャット」を使えば、同じアカウントでも他の端末ではやり取りを閲覧できなくなります。メッセージのコピーや共有ができず、チャットを削除すると相手の端末からも消えます。さらに、メッセージの自動消去時間も設定できるのでやり取りの履歴が残りません。
ちなみにAndroid版ではスクリーンショットが撮れないようになっています。iOS版はスクリーンショットは可能ですが、撮ったことが相手に通知されます。
これらの特徴から、指示は出したいが証拠も残したくないというサイバー犯罪者や犯罪組織などに利用されることが多いのです。
例えば、Twitterで「闇バイトをしたい」とか「お金がないので稼ぎたい」と投稿すると、「仕事あります、メッセージください」というリプライが届きます。返信するとDMで話が進むこともあるのですが、最近ではTelegramでやり取りするように指示されることが多いようです。
7月27日に初公判があった特殊詐欺事件では、Twitterで闇バイトに応募した犯人がその後、Telegramでやり取りしたことが明らかになりました。また、強盗致傷容疑で少年が逮捕された別の事件でも、Telegramで共犯者と知り合ったことが分かりました。
このような事件に巻き込まれないためにも、SNSなどを利用するときは怪しい相手と関わらないようにしましょう。
あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。
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