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Windows 10のサポート終了まであと2カ月!! 中古PCを選ぶ場合のオススメと注意すべきポイント

 Windows 10 PCを使い続けることの危険性は分かっているし、危機感も持っているが、予算の関係で全てのWindows 10 PCをEOS(サポート終了:2025年10月14日)までにWindows 11 PCに更新するのは難しい。そういう企業も存在するはずだ。そこで今回は、安価にPCを更新する手段のひとつである、中古PCについて見ていきつつ、中古Windows 11 PCのおすすめを紹介する。

中古PCにはどういったメリット・デメリットがあるの?

 中古PCとは、わざわざ説明する必要はないと思うが、一度どこかで使われていたものが売却されて中古市場に流れ、再度販売されているPCのことだ。

 この中古PCの最大のメリットが、販売価格の安さだ。

 例えば、ビジネスシーンで安心して利用できる新品のPCとなると、安価なものでも10万円近い価格からのスタートとなる。それに対して中古PCなら、5万円以下で購入できる製品も数多く存在している。これは、予算に余裕のない企業にとって大きなメリットとなるのは間違いないだろう。

 また、実際に中古PCを販売しているショップで実物を見てみるとよく分かるが、OSにWindows 11 Proをインストールした法人向け中古PCもかなり多く販売されている。

中古PCショップでは、Windows 11 Proインストールの法人向け中古PCも多く販売している。画像はパソコン工房のウェブサイト

 大企業などは通常3~4年ほど、長くて5年ほどでPCをリプレースすることが多い。それと合わせ、Windows 10のEOSに対応するため最新のWindows 11 PCへとリプレースする企業も多く、近年は法人向け中古PCがかなり大量に中古市場に流れてきている。

 企業で利用するPCは、機能面や安全性を考えると法人向けモデルを選択しておくべきだが、法人向け中古PCも豊富に販売されているため、その点も大きな不安はない。

 とはいえ、中古PCには新品PCにはないデメリットがある。そのひとつが耐久性だ。

 一般的に、PCは使用開始から3~4年ほどで故障リスクが大きく高まると言われている。だからこそ、大企業はその程度のサイクルでPCをリプレースしているわけだ。そのため、1度どこかで長期間使用されてきた中古PCには、どうしても耐久性のリスクが付きまとう。

 特に心配なのが内蔵ストレージ。内蔵ストレージは利用期間が長くなればなるほど故障のリスクが高まる。当然、保存していたデータが失われる危険性も高まることになる。

 ただ、内蔵ストレージに関しては、ここ10年ほどの間にSSDを搭載するPCが増えたことで、HDD搭載PCに比べて故障リスクは大きく低減している。

 また、ノートPCの場合には、内蔵バッテリーが劣化している可能性も高くなる。オフィス内で常に電源を接続して利用するのであればそこまで大きな問題とはならないかもしれないが、オフィス外に持ち出して利用する可能性があるなら、バッテリーの劣化でバッテリー駆動時間が短くなってる可能性も考慮しておく必要がある。

 そして、そもそもメーカー保証期間を過ぎている場合がほとんどのため、基本的にメーカー保証も付帯しない。そのため、もし故障した場合には実費での修理が必要となる。ただ、中古PC販売店が独自の保証を付けている場合もあるため、販売店を選べばこのリスクはある程度低減が可能だ。

中古PCショップでは、販売する中古PCに独自の保証を付けている場合も多いため、購入時にはそちらも確認したい

 ただ、こういったデメリットがあるからこそ、価格の安さに繋がっている。中古PCを選ぶ際には、このデメリットを必ず頭に入れておく必要がある。とはいえ、PCをどういった業務に使うかによっては、このデメリットが問題にならない場合もある。つまり、中古PCのデメリットを把握し、適材適所で利用するということであれば、価格の安さは非常に大きな魅力となるだろう。

購入前に、その中古PCがWindows 11に正式対応しているか必ず確認しよう

 中古PCを選択する場合、まずはじめに確認したいのが、そのPCが間違いなくWindows 11をサポートしているか、という点だ。

 現在販売されている中古のWindows PCは、そのほとんどがWindows 11を搭載して販売されている。その多くは、PC自体がハードウェア的にWindows 11をサポートしていて、正しくWindows 11をインストールして販売されている。しかし中には、ハードウェア的にはWindows 11非対応であるにもかかわらず、Windows 11をインストールして販売されている製品が実際に存在する。

 通常、PCにWindows 11をインストールする場合、インストール前にそのPCがWindows 11のシステム要件を満たしていることを確認し、それをパスした場合のみインストールできる。しかし中には、関連記事でも紹介しているように、システム要件のチェックをパスして無理やりWindows 11をインストールする方法が存在している。そして、この方法を利用して、実際は非対応にもかかわらずWindows 11をインストールして販売されている中古PCが存在するのだ。

通常、Windows 11非対応PCにWindows 11をインストールしようとしても、インストール時のチェックで弾かれてインストールできない

 そういった抜け道的な手法でWindows 11をインストールした中古PCを手に入れてしまった場合、マイクロソフトのサポートが受けられないうえに、アップデートが提供されなくなる可能性もある。そして、そもそもWindows 11が必要としているシステム要件を満たしていないため、そこを突いた攻撃に対して無防備となってしまう。これでは、Windows 10 PCの入れ替えとして導入したとしても全く無意味となる。

 そのため、中古PCを選ぶ場合には、そのPCメーカーが公開している過去に販売したPCのWindows 11対応情報をチェックして、Windows 11に正式対応しているか必ず確認しよう。

PCメーカーは、Windows 11に正式対応している機種を公開しているので、そちらで必ず確認しよう

Microsoft Authorized Refurbisher(MAR)プログラム認定ショップでの購入が安心

 マイクロソフトは、中古PC販売業者に対する認定プログラム「Microsoft Authorized Refurbisher(MAR)プログラム」を展開している。

 このプログラムに認定されている中古PC販売業者は、マイクロソフトが定める条件に従って、中古PCのハードウェアの確認や内蔵ストレージの消去などを行う。ここで、その中古PCがWindows 11に正式対応しているかどうかも確認される。こういった条件を満たした中古PCに対して、マイクロソフトは「セカンダリライセンス」と呼ばれるWindows 11の正規ライセンスを提供。中古PC販売業者はその正規ライセンスを利用して中古PCにWindows 11をインストールし、販売する。

 つまり、MARプログラムに認定されている中古PCショップであれば、先ほど紹介したような非正規にWindows 11をインストールした中古PCが販売されることはないため、安心して購入できるわけだ。そのため、中古PCを購入するなら、可能な限りMARプログラム認定ショップでの購入をおすすめする。

MARプログラム認定ショップが販売するWindows 11中古PCは、正規にWindows 11に対応する中古PCなので安心だ

中古PCを選択するなら、第11世代Coreプロセッサー搭載PCがおすすめ

 実際にいくつかの中古PCショップで販売されているWindows 11中古PCをチェックしてみると、Windows 11 ProをインストールしたノートPCでも3万円を切る低価格で販売されている製品が多く見つかる。コスト的にはかなり魅力だ。

 ただし、そういった3万円を切るような低価格の中古PCは、搭載プロセッサーが第8世代Coreプロセッサーがほとんど。もう少し価格の高いものも見てみたが、4万円未満で販売されている中古PCのほとんどが第8世代Coreプロセッサー搭載製品で占められているようだった。

Windows 11 Pro搭載の法人向け中古PCでも、3万円を切る低価格で販売されている製品がかなり多く見られる
3万円を切るWindows 11 Pro搭載中古PCのほとんどは、第8世代Coreプロセッサーを搭載する製品だった

 第8世代Coreプロセッサーは、Windows 11対応プロセッサーとして最も古いものとなる。当然、最新のプロセッサーを搭載するPCと比べるとかなりパフォーマンスは劣る。しかし実際に第8世代Coreプロセッサー搭載のWindows 11 PCを使ってみると、OfficeアプリやWebブラウザの利用が中心ということなら、そこまでパフォーマンスに不満を感じることがないのも事実だ。とはいえ、今後のOSやアプリの進化により、この性能差がより顕著に表れるようになる可能性が高く、性能面での妥協が必要となる。

 そこで、価格とパフォーマンスのバランスの優れる製品としておすすめしたいのが、第11世代Coreプロセッサー搭載PCだ。

 第11世代Coreプロセッサーは、それ以前のCoreプロセッサーと比べてCPU/GPUともに性能が大きく高められている。また、Thunderbolt 4やWi-Fi 6対応なども実現されており、機能面でも進化していいる。そのため、今後もまだしばらくは現役で十分活躍できる。

 この第11世代Coreプロセッサー搭載製品をチェックしてみたところ、最も安いものでCore i5-1135G7搭載の法人向け中古PCが5万2980円で販売されていた。6万円ぐらいまで価格を広げれば、かなりの製品が見つかるはずだ。

5万円台になると第11世代Core i5搭載PCも多数製品が並ぶ
第11世代Core i5搭載PCは、パフォーマンス、機能面からもおすすめしたい

 第11世代Coreプロセッサーを搭載するPCが登場したのは2020年冬以降。ちょうどコロナ禍で多くの企業がテレワークに対応するために導入されたPCでもある。それから5年ほどが経過し、中古市場にかなり大量に流れてきているため、製品数も豊富だ。

 もっと価格を高めると、さらに高性能な中古PCが見つかるが、OSにWindows 11 Proを採用する法人向けの現行メインストリームノートPCでも、新品で8万円を切る価格で購入できる製品が存在していることからも、価格的なメリットが薄まってしまう。そのため、6万円以下の第11世代Coreプロセッサー搭載PCが、パフォーマンス、機能、価格のバランスに最も優れており、Windows 10 PCのリプレース用として中古PCの中から選ぶのであれば、このクラスをおすすめしたい。