INTERNET Watch 30周年

【2014年のINTERNET Watch】Windows XPサポート終了で混乱、大規模な個人情報流出・名簿売買事件も発生

2014年の出来事

 2014年(平成26年)、7月に、安倍内閣が憲法解釈を変更して「集団的自衛権」の行使を容認する閣議決定を行い、大きな波紋を呼んだ。翌2015年9月には平和安全法制等(安全保障関連法)の整備が行われ、自衛隊が海外で武力を行使することも可能な体制となる。

 2月にソチ冬季五輪が開催され、フィギュアスケートの羽生結弦選手が金メダルを獲得するなどで話題に。3月には映画「アナと雪の女王」が公開され、大ヒットとなった。前年にニンテンドー3DS向けゲームとして登場した「妖怪ウォッチ」のアニメがこの年から放送を開始し、メディアミックスによりヒット。グッズ類の販売には大行列が作られ、続編ゲームや映画もこの年に公開された。

 また、この年の1月には「STAP細胞」騒動が発生。10月には青色LEDの発明により、赤崎勇氏、天野浩氏、中村修二氏の3名がノーベル物理学賞を受賞している。

2026年2月に30周年を迎えたINTERNET Watchは、1996年2月に有料メールマガジンとして創刊し、1997年1月にウェブサイトを開設した。ここでは2026年の視点から2014年の記事を10本取り上げ、当時を振り返る。

1. Windows XP延長サポート終了、マイクロソフト「ネットから遮断して」

「Windows XPはインターネットから切断して」継続利用者にMSがお願い

 2001年に発売された「Windows XP」は、安定していて使いやすいOSとして、インターネットの普及期に長く使われ、2007年1月に後継OSである「Windows Vista」が発売されても支持され続けた。が、2009年4月にサポート(メインストリームサポート)を終了し、「Windows 7」が登場。そして、この年4月に延長サポートも終了となった。

 Windows XPの延長サポートが終了するにあたり、最後のセキュリティ更新プログラムが配信された時の記者会見を報じたのが上記記事。事情があってWindows XPを使用し続けなければならない場合は、リスクをできるだけ軽減するために、コンピューターウイルスが感染する経路を遮断するなどの対策をしてほしいとの、マイクロソフトのコメントを紹介している。

 Windows XP以前には、コンシューマー向けOSが多くのユーザーにサポート切れまで使われる例がなく「OSのサポート切れ」にどのように対応するかについて、以降注目されるようになる。この年、Windows Vistaも2017年にサポート終了が迫っており、INTERNET Watchでは、Windows 7も2020年にサポート終了、との記事も公開している。当時の最新のWindowsは、2013年10月に提供が開始された「Windows 8.1」だった。

2. ベネッセで大規模な顧客情報漏、流出情報をジャストシステムが購入したことも問題に

ベネッセ顧客情報漏えい問題、お詫びの品として500円分の金券を提供

 7月に、ベネッセコーポレーションで「こどもちゃれんじ」「進研ゼミ」などの顧客情報漏えいが発覚。その後、同社の通販サイトや口コミサイトからの漏えいも明らかになった。

 9月に入って補償対応を含めた発表が行われた際に報じたのが、上記記事。本件はグループ会社元社員が情報を持ち出し、名簿事業者に売却したもので、名簿事業者3社に合計約3504万件の名簿を売却したが、被害を受けた顧客数としては約2895万件と推計されている。

 大規模漏えい事件としてもまれにみるものだが、本件に関連し、ジャストシステムが漏えいした名簿を購入し、ダイレクトメール送信に使用していたことも判明し。ジャストシステムでは、これの判明してすぐに購入した名簿を削除している。また、本件に便乗して「あなたの情報が流出していないか確認している」との電話がかかってくるなどの便乗犯も発生し、国民生活センターが注意を呼び掛けている。

3. NTT東日本「フレッツ 光ネクスト」に最大1Gbpsのプラン

NTT東の「フレッツ 光ネクスト」に最大1Gbpsのプラン、11ac標準対応

 7月、NTT東日本は、同社が提供する光回線サービス「フレッツ 光ネクスト」において初の上り下りとも1Gbpsのプラン「フレッツ 光ネクスト ギガファミリー・スマートタイプ」の提供を開始した。

 なお、NTT西日本では、2010年5月に上り下りとも1Gbpsの「フレッツ 光ネクスト エクスプレスタイプ」の提供を開始している。

4. 性的脅迫「セクストーション」にIPAが注意喚起、「リベンジポルノ」も話題に

スマホアプリで恥ずかしい姿を見せ合うのは危険、“性的脅迫”被害多発か

 セクストーションは「Sex」(性的な)と「Extortion」(脅迫)を組み合わせた造語で、脅迫対象の性的な写真や動画を入手し、公開されたくなければ金銭を支払うように、などと脅迫するもの。後年には、実際には何もなくても「PCのウェブカメラで性的な写真を撮影した」と脅迫する「セクストーション詐欺」も登場している。

 INTERNET Watchでは、上記記事で初めてこの言葉を取り上げている。SNSで知り合った女性を名乗るアカウントが、性的な写真や動画を見せあおうと持ちかけ、公式アプリマーケットではないURLからアプリのインストールを促す、といった手口を紹介し、「国内では最近、SNSと不正アプリを用いたセクストーションが多発しているとみられる」と説明している。

 セクストーションは2026年においても被害事例がしばしば話題になり、その性質から被害相談がしにくく、悩んだ若者が自殺してしまう事例も報告されている危険なサイバー犯罪である。

 この年には、「リベンジポルノ」というキーワードも初めて報じている。

5. 災害時に誰もが使える公衆Wi-Fi「00000JAPAN」が整備される

災害時に無料で使える公衆無線LAN「00000JAPAN」を統一SSIDとして提供 東京オリンピックに向けた取り組みも

 5月、無線LANビジネス推進連絡会が、災害時用に各地のWi-Fiアクセスポイントを解放する統一SSID「00000JAPAN」を発表した。

 当時、急速に普及するスマートフォンの通信回線への負担をオフロードする目的で公衆Wi-Fiの整備が急速に進んでいたこと、2011年の東日本大震災時に各社が独自の公衆Wi-Fiを無料開放した事例があったこと、2020年に開催が決定した東京五輪に備えた通信環境整備のためにも公衆Wi-Fiの整備が進んでいたこと、といった背景から整備された。

 2016年に発生した熊本地震において、初めて実際に提供された。

6. 新トップレベルドメインが続々、「やじうまドメインWatch」始まる

新gTLDはカオスか? 「.moe」「.ninja」から「.みんな」なるドメインまで

 インターネットの名前空間(ドメイン名など)を管理する団体であるICANNが、2012年に新gTLD(グローバルトップレベルドメイン)の受付を実施1930件の申請があった。これにより、2013年頃から新gTLD取り扱いのニュースが増え、本誌ではこの年7月に「やじうまドメインWatch」という連載を開始した。その第1回が上記記事だ。

 新gTLDの例としては「.tokyo」や「.osaka」など地域にちなんだもののほか、「戦隊の皆様は要チェック」とされた「.red」「.blue」「.pink」といったものも。2014年1月の時点で、このような新gTLDは100を超えていたようだ。

7. コンセント直挿し型中継機が続々登場

ネットギア、11ac対応のWi-Fi中継機「EX6100」発売

 Wi-Fiの電波が届く範囲を広げる中継機。コンセントに直挿しすることで手軽、かつ場所を取らずに使えるモデルはこれまでにも登場していた(2010年 バッファロー「WLAE-AG300N/V」2013年 ロジテック「LAN-RPT01BK」)が、この年には上記記事のネットギア「EX6100」のほか、エレコム「WTC-733HWH」「WTC-300HWH」バッファロー「WEX-733D」アイ・オー・データ機器「WN-G300EXP」と、多くの製品が登場した。

 この年に公開したバッファロー「WEX-733D」のレビューでは、Wi-Fi 5(IEEE 802.11ac)デュアルバンドの片方の周波数帯をバックホールとして高速な中継が可能で、自宅内の電波状況を改善できることを評価している。

8. Chromebookの国内販売始まる

グーグル、Chromebookを日本でも発売、企業・教育機関向けに

 欧米では2011年から販売されていた「Chromebook」が、この年、日本でも販売開始となった。上記記事は7月に、企業と教育機関向けに販売するとのニュース。同年11月からは個人向けにも販売を開始している。

9. ビットコイン取引所「Mt.Gox」が破綻

Bitcoin取引所のMt.Goxが民事再生手続きを申請、コールセンターを開設

 仮想通貨「ビットコイン」は、2008年にサトシ・ナカモトと名乗る人物が発表した論文をもとに、2009年に取引が開始された。本誌が初めて取り上げたのは2012年にフランスの通貨当局から一定の信任を得たことを紹介した記事。

 この年3月に、日本に拠点を持つ大手取引所だったMt.Goxが民事再生手続きを開始、その後破産したことで大きな話題となり、ビットコインが広く知られるきっかけにもなった。

10. GMOペパボ創業者の家入一真氏、都知事選に立候補

ペパボ創業者の家入一真氏、都知事選出馬会見をニコ生で中継

 この年2月に行われた東京都知事選に、レンタルサーバー「ロリポップ!」などを提供するpaperboy&co.(現:GMOペパボ)の創業者である家入一真氏が立候補した。

 このときの都知事選は、舛添要一氏が当選した。落選した家入氏は、投票日の翌日である2月10日に「インターネッ党」のウェブサイトを公開した。