INTERNET Watch 30周年
【2015年のINTERNET Watch】TPP関連で著作権の議論が沸騰。ISP各社で「光コラボ」始まり、NUROは10Gbpsプラン開始
2026年6月15日 06:30
2015年の出来事
2015年(平成27年)、5年後に迫る東京五輪の準備で、大きな騒動が。新国立競技場は2012年に決定していたいわゆるザハ案が、当初見積もりの倍に総工費が膨れ上がったことなどからこの年7月に見直しになった。また、同じく7月にエンブレムのデザインが発表されたが、海外で盗作として訴訟が起こされたことなどにより撤回となった。
8月に、鹿児島県の川内原発1号機が再稼働。2011年の福島第一原発事故を受けて定められた新規制基準により、2013年9月以来国内の原発は全て停止していたが、これが新規制基準に基づいた稼働第1号となった。
2026年2月に30周年を迎えたINTERNET Watchは、1996年2月に有料メールマガジンとして創刊し、1997年1月にウェブサイトを開設した。ここでは2026年の視点から2015年の記事を10本取り上げ、当時を振り返る。(1996年からの振り返り一覧)
1. TPP大筋合意、著作権侵害の非親告罪化が大きな論点に
▶TPP協定が大筋合意、著作権侵害の非親告罪化、原著作物の収益性を大きく損なわない場合は適用せず
長く議論が続けられてきたTPP(環太平洋パートナーシップ協定)について、この年10月に大筋の合意が成り、翌2016年2月に署名されることになる。本誌においては主に著作権の保護期間延長と、著作権侵害の非親告罪化について動向を取り上げている。
福井健策弁護士による連載記事で全体的な解説を行っているほか、thinkTPPIP(TPPの知的財産権と協議の透明化を考えるフォーラム)による声明、コミックマーケット準備会とthinkTPPIPによるイベント、大筋合意後の文化庁の審議会などを報じている。
また、やじうまWatchでは、保護期間延長と「青空文庫」の問題を取り上げている。
2018年末の著作権法改正により、著作権の保護期間はそれまでの死後50年から70年に延長された。また、一部のケースで著作権侵害が非親告罪化されている。
2. ISPとフレッツ光をセットにした「光コラボ」始まる
▶NTT東西、フレッツ光の「サービス卸」を総務省に届け出、開始日は2月1日以降
NTT東西が2月から「サービス卸」として、フレッツ光回線をほかの通信事業者に卸売りするサービス「光コラボレーションモデル」(光コラボ)を開始した。
これにより、ISP各社が2月以降に、ISPサービスと光回線をセットにしたインターネット接続サービスの提供を開始した。2026年現在では、光回線(フレッツ光)とISPを別々に契約する方がめずらしい状況になっている。
3. マイクロソフト、女子高校生AI「りんな」を開発
▶LINE、マイクロソフトの女子高校生AI「りんな」を活用した公式アカウントを企業向けに提供
▶女子高校生AI「りんな」がTwitterを始める……LINEグループにりんなを召喚する新機能など、日本MSがりんなの秘密を紹介
日本マイクロソフトが、「Bing」で培ったディープラーニング技術と機械学習のクラウドサービス「Azure Machine Learning」を組み合わせ、「おしゃべり好きな女子高生」という設定のAI「りんな」を開発。LINEやTwitter上で提供した。
2022年に「ChatGPT」が登場して以降はAIが完全にIT業界の主役であり牽引役となっているが、2015年当時は、2000年代から続く、機械学習の発展が注目された「第3次AIブーム」と呼ばれる時期だった。この年には「りんな」のほかにも各種AIサービスが登場し、「AI実用化元年」と呼ぶ向きもあった。マイクロソフトは、翌年の開発者向けイベントで「りんな」について詳細な技術解説を行うなどしている。
この年の7月にはソフトバンクのイベントで孫社長が成長分野の1つに「AI」を挙げ、翌年にはジョルダン「乗換案内」の遅延予測にAI採用、Q&Aサービス「教えて!goo」で人間のユーザーに混じってAIが回答、といった導入例を報じている。
4. 「NURO 光」が下り10Gbpsのプラン提供
▶「NURO 光」に個人向け10Gbpsサービス登場、月額9800円、「XG-PON」採用
6月、「NURO 光」が下り10Gbps/上り2.5Gbpsとなるプランの提供を、東京・神奈川の一部で開始した。アクセス回線の規格として、2Gbpsプラン(下り2Gbps/上り1Gbps)の「G-PON」の後継にあたる「XG-PON」を採用している。
5. SNSへの対応で企業に明暗、「ソーシャルリスニング」の重要性が認識される
▶ペヤング・マクドナルド問題受け、2015年は“ネット告発”対策強化の動き
2014年末から2015年初頭にかけて、ペヤング・マクドナルド両ブランドの食品への異物混入がSNSに投稿される事件があり、迅速に対応したペヤングと、遅れたマクドナルドで明暗が分かれる受け止めとなった。
ソーシャルメディアでユーザーの声を収集する「ソーシャルリスニング」はこの年よりも前からあった言葉だが、上記記事は宣伝会議が行った調査の結果から、企業のソーシャルリスニングの取り組みや対応状況を紹介している。
6. ウェブサイトのHTTPS導入の動きが広がる
▶グーグル、HTTPSページを優先して登録するよう検索のインデックスシステムを調整
2014年8月に、Googleがウェブ検索結果の順位を算出する基準として、従来のHTTPよりも安全性が高いプロトコルであるHTTPSへの対応状況を加えたと発表。これに対応するように、無料でHTTPS導入のためのサーバー証明書を発行する「Let's Encrypt」の2015年夏開始が発表され、多くのレンタルサーバーが対応するようになっていく。
上記記事では、同じコンテンツであればHTTPよりもHTTPSのページを優先的にインデックスに登録するよう、インデックスシステムを調整したことを報じたもの。この年4月には、取り扱う多くの広告をHTTPS対応にしている。
7. フリマアプリ「メルカリ」が成長
▶フリマアプリ「メルカリ」とヤマト運輸が連携、全国一律料金で配送可能に、「ネコポス」にも対応
メルカリは2013年7月にサービスを開始。2014年からテレビCMを展開し、ユーザーを増やしていく。2015年3月の上記記事は、本誌が初めてメルカリを大きく取り上げた記事。ヤマト運輸との連携により出品者の商品発送が簡単になり、全国一律の配送料も実現して利用しやすくなった。
8. 容量無制限をうたって「Googleフォト」が提供開始
▶Google、容量無制限のフォトストレージサービス「Googleフォト」
Googleはこの年5月にフォトストレージサービス「Googleフォト」の提供を開始した。この時点では、1600万画素までの写真と1080pまでの動画であれば、無制限にオンラインストレージに保存できるとしている(現在は画質等にかかわらず最大15GB)。これに伴い、それまで提供していたPicasaは2016年2月に終了となった。
2016年にはAmazonが「プライム・フォト」を発表。Amazonプライム会員であれば容量無制限で利用できる。
9. Netflixが日本でサービス開始
2月、動画配信サービス「Netflix」が日本でのサービス開始を発表。9月にサービスを開始した。サービス開始前からフジテレビやソフトバンクとの提携を発表している。
10. スマホのフリック入力、利用率最低はガラケー世代の(?)30代
▶“フリック入力”利用率最低は意外にも30代、ちょうどガラケー時代に育った世代だから?
iPhone以降広がったフリック入力の利用などについて、ジャストシステムが調査。上記記事で結果を紹介しているが、10代~60代の年代別にフリック率の利用率を調査したところ、30代の利用率が最低だったという。
この結果について、ジャストシステムは「意外」であるとしながら、フリック入力に興味なしとの回答が最も多かったことも踏まえ、「学生時代に従来型の携帯電話(フィーチャーフォン)が普及した影響がありそうだ」と分析している。

