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「教えて!goo」に人工知能を投下、恋愛・人生の相談に回答
(2016/4/26 06:00)
ポータルサイト「goo」を運営するNTTレゾナント株式会社は25日、Q&Aサイト「教えて!goo」でユーザーに交じって人工知能(AI)が答える機能を発表した。同時に、企業向けサービスとして、同社の検索サイトの技術やノウハウを、ECサイトなどのサイト内検索に提供するサービス「goo Search Solution」を発表した。さらに、スマートフォンの実機をクラウドで利用する検証サービス「Remote Test Kit」について、韓国NEOITP社と韓国での独占代理店契約を締結したことを発表した。
3つの発表は、NTTレゾナントの2016年度の注力事業として語られた。同社代表取締役社長の若井昌宏氏は、2016年度の事業テーマとして「スマホを中心とした“おもてなし”」と「それを支える技術」を強調。BtoCの分野では「使うほどフィットするポータルサイト」をテーマとして、一人一人に合わせたニュースを提供する「マイニュース」(2015年12月開始)や、それを全gooサービスに展開する予定、さらに上述の教えて!gooでのAI利用について語った。
また、BtoBtoCの分野では、すでに展開しているオーディエンスターゲティング広告とアドコンサル(マーケティング支援)、Remote Testkitのグローバル支援とオフショア支援、goo Search Solutionについて語った。
Q&Aサイトで人間に交じってAIが回答
教えて!gooでのAIによる回答は、8月を目標にサービス提供を開始する予定。まずは、人気の高い「恋愛・人生相談」のカテゴリーからスタートし、順次ジャンルを拡大していく。
細かいユーザーインターフェイスは検討中だが、ユーザー同士で普通に質問して回答する中に、それと分かる形でAIからの回答を入れる形になるという。ユーザーからの回答と同じように、的確な回答であればベストアンサーをもらえるようにすることで、回答精度の向上に役立てる。
NTTメディアインテリジェンス研究所所長の小沢英昭氏によると、教えて!gooのAIは「助言としての人工知能」に分類されるもので、技術的には「答が一意に決まらないが、利用者に納得感のある回答を提供する」というチャレンジになるという。
具体的には、似たようなシチュエーションや経験をひも付ける。そのために、教えて!gooの膨大な質問と回答から、各Q&Aの要素を分解し、ディープニューラルネットワーク技術により、新しい質問に対し類似度が高くなるように並べ替える。この技術は、あいまいな質問からFAQを検索する技術にも応用できるという。
小沢氏はそのほか、NTTのAI技術への取り組み全体についても紹介した。同社のAI技術は「corevo」と呼ばれ、コラボレーションを重視しているという。その中でも、音声認識技術を小沢氏はピックアップし、コンタクトセンターの音声を95%の認識率で認識する技術や、大阪大学の石黒浩教授による人間に酷似したアンドロイド「ジェミノイド」とのコラボレーションなどが紹介された。
ショッピング検索の技術やノウハウをECサイトに提供
サイト内検索ソリューション「goo Search Solution」は、4月25日から提供開始する。「表示したい商品が適切に表示されない」「同じ商品でも入力したキーワードで検索した結果が違う」「商品はあるのに表記違いでヒットしない」「検索負荷に耐えられない」など、ECサイトの悩みに対応し、売れ筋商品やイチオシ商品など訴求力の高い商品を検索結果の上位に表示するといった機能にも対応する。また、事業者データにもとづいて、辞書の更新など効果的・効率的なブラッシュアップを行なう。
サービスメニューとしては、サイト内検索の改善コンサルティングの「診断」、精度改善代行や辞書強化、維持メンテナンスなどの「バリューアップ」、検索ASPをフル提供する「ワンストップソリューション」の3段階の中から選んで利用する。利用料金は案件ごとに異なるが、数百万から数千万になるだろうという。
「dメニューのショッピング検索や画像検索で実績のある技術やノウハウを、ソリューションとして提供する」点を、NTTレゾナントスマートマビゲーション事業部長の三澤淳志氏は強みとして挙げる。「ECのほか、BtoBのマーケットプレイスや、デジタルコンテンツ販売にも応用できる。詳細はまだ発表できないが、放送関連での案件も進行中だ」(三澤氏)。