テレワークグッズ・ミニレビュー
第163回
エレコムの最新USB指紋リーダーで、楽天証券の「パスキー」認証を始めた
Windowsのサインインも、これなら超カンタンだ!
2026年7月24日 11:55
2000年前後に出始めのネット銀行を試したが、当時はさほど便利だと思えず、じきに使わなくなってしまった。当時は自分が使っている銀行のオンラインバンキングを始めるには複数の書類の提出が必要だったと記憶しているが、こちらもまあ、いいか……と思って以来、長いことオンラインバンキングをはじめマネー系サービスには縁遠いまま生きてきた。
しかし、コロナ禍以降は電子マネーなどを扱う機会も増え、昨年3月には、思い立って楽天証券の口座開設を申し込んだ。ところが直後に大規模な口座乗っ取り被害が発生し、もう少し落ち着いてから利用しよう……と思っていたら1年以上経っていた。
と、こんな仕事をしながらマネー関係のデジタル化が進んでいないことが気になっていたのだが、先日、エレコムの方からパスキー用の新製品を発売するので説明を聞かないかとお誘いいただき、さらに試用機をご提供いただいた。
それが、6月に発売されたUSB指紋リーダー「CR-FI50UBK」である。
このモデルの最大の特徴は、従来の外付け指紋リーダーよりもセキュアな、新しい認証方式に対応している点だ。従来の「MoH(Match-on-Host)方式」に代わって、「MoC(Match-on-Chip)方式」を採用しており、従来と違って指紋データをPCに送信せずデバイス内で認証処理をすることにより、セキュリティリスクを軽減できるのが、MoC方式の特徴となる。
MoC方式採用によって、本製品は「Windows Hello」だけでなく「Windows Hello ESS」(Enhanced Sign-in Security:拡張サインインセキュリティ)にも対応する。マイクロソフトが提唱するAI対応PC「Copilot+ PC」も準拠する同社のPCセキュリティ要件「Secured-Core PC」では、認証機能としてWindows Hello ESS対応が求められ、Windows Hello ESSの指紋認証はMoC方式の必要があるとされている。
要するに、最新の方式を採用した、高い安全性を確保できる指紋リーダーだ。同時にUSBドングルタイプの指紋リーダー「CR-FI01UBK」も発売されている。
6月から楽天証券がパスキーに対応し、安全に利用可能に
タイミングよく(?)、楽天証券ではこの5月末からPCからパスキーによるアクセスが可能となり、6月から順次パスキーが必須となるとのアナウンスがあった。ちょうどよく、楽天証券の認証にCR-FI50UBKが使えるようになるわけだ。
パスキーとは、ごく簡単に言えば「パスワードを使わない認証」のことで、指紋認証やカメラによる顔認証といった認証方法が該当する。Windowsのサインインに使っている人が多いであろう「PIN」もパスキーの一種で、Windowsの「Windows Hello」は、パスキーを使ってWindowsシステムの認証を行う機能だ(つまり、楽天証券のパスキーも、指紋認証だけでなく顔認証やPINでも利用できる)。
従来のパスワード認証からパスキーによる認証に切り替えると、日常的にそのパスワードを使う必要がなくなるので、パスワード管理のわずらわしさから解放され、ログインの操作が簡単になる。また、パスワードの窃取を狙うフィッシング詐欺の被害を回避しやすくなる(偽のログイン画面でパスワードの入力を求められても、明らかにログイン手順が違うぞ、と気付ける)。
スマートフォンでは、顔認証や指紋認証が普及し、多くのアプリでもこれらによる認証が可能になっている。これもパスキーの一種で、「パスキー」という言葉にあまり耳なじみがない人の周りでも、実はパスキーは着実に普及していると言える。
PCでも指紋認証デバイスやカメラを搭載したモデルは増えているが、古いPCやデスクトップPCでは搭載していない場合も多い、また、顔認証に利用できるカメラがあっても、部屋に置いて常に動作させているデバイスでカメラも常時使用可能にしておくのは抵抗があり、ふだんは物理シャッターを落としておきたい、という人もいるだろう。そんな、いささかニッチなニーズに刺さるのが、上記のCR-FI50UBKとなる。
磁石入りで、スチールプレートも付いていて設置の自由度が高い
CR-FI50UBKを使うにあたって特別な準備は必要なく、USBケーブルをPCのUSB Type-Aポートに接続すればいい。本製品の裏にはマグネットが入っており、本体をスチール製の家具などに固定できる。
また、両面テープの付いた小さなスチールプレートが付属していて、木製の家具などにも、これを使って固定できる。筆者宅では配線の都合でUSBハブを介しているが、USBハブの利用も問題ない。
これで、すぐにデバイスが認識され、使用可能になる。ドライバーのインストールは必要ない。
「サインインオプション」から指紋を登録する
指紋認証を使うための設定にも、特に難しいところはない。が、あらかじめWindows HelloでPINを登録しておく必要がある。通常はPCをセットアップする過程でPINも設定しているだろう。
「設定」アプリの[アカウント]→[サインイン オプション]を選択すると、[サインインする方法]に[指紋認証(Windows Hello)]が表示される。これを選択し、画面の指示に従って指紋を登録すればよい。
楽天証券へのパスキー追加も簡単、ただし複数デバイスでは問題の可能性も
Windows Helloの設定が済んでしまえば、楽天証券へのパスキーの登録も簡単で、[セキュリティ設定]の中からパスキーを追加すればよい。
ただし、PCでパスキーを設定した後でスマートフォンで楽天証券にログインしようとすると、スマートフォンからは利用できないパスキーの利用を求められ、困ってしまった。この問題は、一時的にパスキーを無効化したうえでスマートフォンから(パスワードで)ログインし、パスキーを追加することで解決できた(この問題が発生したのは6月上旬で、記事公開時点ではすでに解決しているかもしれない。7月21日に以下のヘルプが更新されている)。
▼楽天証券のヘルプ
【復旧】一部の端末でパスキーの作成、ログインが正常にできない事象について
きっかけを逃さないことは大切だ
以上のように、エレコムからご提供いただいたCR-FI50UBKを試しながら、1年以上塩漬けにしていた楽天証券の利用を始めることができた。
CR-FI50UBKの使用感はとてもよく、WindowsへのサインインがPIN以上に手早くできるようになった。PCを起動したらCR-FI50UBKに触れて指紋認証するだけでサインインが行われ(マウスやキーボードに触れる必要はない)、極めてスムーズだ。指がセンサーからずれている場合には「もう少し左側を~」など指示してくれるのもよい。ただ、水仕事の後で手をきちんと拭けていなかった場合などには、認証に失敗し続けることがあるので気をつけたい。
現時点でちょっと気になっているのが、楽天証券にログインするときの操作だ。指紋認証を右手の指に設定しているのだが、[パスキーでログイン]をクリックするマウス操作も右手で行うので、デスクの上でマウスを動かし、下で指紋認証してとなると、少々のせわしなさと、タイムロスを感じる。
左手の指で認証するようにするか、CR-FI50UBKの設置場所を変えるか、で調整できそうだが、とはいえ1日1回ログインする程度であるので、今のところはこれでいいか、と思っている。楽天証券のサイトで、Tabキーを1回押して[パスキーでログイン]を選択できるようにしてもらえると、左手でキーボード操作→右手で認証、とできて有難い、かもしれない(直感的ではないが)。
もしくは、マウスに組み込める指紋認証デバイスがあると嬉しい。ちなみに、右手の指による認証に少々こだわっているのは、ほかの指紋認証を行うデバイスでは全て右手の指を使っているため、デスクトップPCだけ左手だと脳が混乱しそう、という理由による。
楽天証券を利用するにあたっては、送金のためにオンラインバンキングも使えた方が便利になるので、重い腰を上げてオンラインバンキングを始めるか……と調べたところ、アプリをダウンロードして設定を行うだけで、書類の提出などは不要でオンラインバンキングを始められるようになっていて、お恥ずかしい話だがちょっと驚いてしまった。きっかけを捕まえて、ほどよいタイミングで新しいことを始めるのは大切だと、あらためて実感する。
と、同時に、複数のマネー系サービスを利用していると、ユーザーインターフェースの統一されていなさに、あらためて戸惑いを感じる。現時点ではパスキー対応/非対応でログイン方法も大きく異なるし、多段階認証を使う場合はその方式もさまざまで、もちろんサイト内のメニュー構成や画面レイアウトもバラバラだ。パスキーの採用がさらに進むと同時に、ユーザーインターフェースの標準化も進むと、老後もより安心できる。
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