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IoT、AI、スマートロボット――、ソフトバンク・孫正義氏が語るこれからの成長分野
(2015/7/31 06:00)
ソフトバンクグループの法人向けイベント「SoftBank World 2015」が、7月30日~31日に開催されている。
初日の基調講演には孫正義氏(ソフトバンクグループ株式会社 代表取締役社長)が登壇。これからの成長分野として「IoT」「AI」「スマートロボット」の3つを挙げ、ロボット「Pepper」について大いに語った。さらに、Pepperの法人向けモデル「Pepper for Biz」を10月1日から申し込み開始することをアナウンスした。
3つの成長分野:IoT、AI、スマートロボット
孫氏はあらためて「情報革命」という言葉を使ってインターネット産業の成長を語った。そして、情報革命の中での企業成長の鍵として、「情報武装」と「成長戦略」を挙げた。
情報武装として孫氏は、スマートフォンとタブレットを武士の大小の刀にたとえた。そして、成長戦略としては、自身の考える成長分野として、「IoT」「AI」「スマートロボット」の3つを挙げた。
IoTとしてはまず、1人がスマートフォンなど平均2つのデバイスを持っていることをもとに、2040年には1人が1000台のデバイスを持ち、インターネットにつながるだろうと孫氏は主張した。そして、これらのデバイスからのビッグデータによって新しいビジネスが生まれ、「スマホがライフスタイルを変えたように、これからIoTがライフスタイルを変える」と語った。
AIについて、孫氏はまず、人間の脳もニューロン(神経細胞)のオンオフの2進法で動作していて、コンピュータと同じだと論じた。そのうえで、「トランジスタの数とシナプスの数がクロス(逆転)するのはいつだろうと考えて、2018年だと結論を出した」と述べた。また、シンギュラリティ(技術的特異点)と言われるように、能力的にもコンピュータの知能が人間を超えるとし、「ピラミッドは奴隷の人力で作られたが、それは機械に変わった」と人間の役割が変わると説明。そして、人工知能によって積極的に生産性をアシストするために、IBMと「Watson」について提携することにしたと語った。
スマートロボットについて、孫氏は「工場用のロボットと違い、人工知能を活用し、知能をより強化したロボット」と説明。そして、「2040年にはロボットが人間の人口を超えるかもしれない」「自動運転はあたりまえになり、動くものはほとんどロボット化する」と予測を語った。
法人向け「Pepper for Biz」が登場
こうした孫氏の考える成長分野に対する具体的な製品が、2015年に発売されたロボット「Pepper」だ。
孫氏はPepperを「感情を持ったロボット」と表現する。外部からの情報入力から疑似的なホルモンバランスをエミュレートし、「放っておくと憂鬱に」「褒めると明るく」など周囲とのかかわりで感情が変化するという。「命令されて動くロボットでなく、自らの感情で人々とふれあう」「ロボットの時代が避けられないなら、優しいロボットといっしょにいたいと私は思う」と孫氏は説明した。
ステージには実際にPepperが登場し、孫氏とかけあいを見せた。Pepperは、孫氏が手にした商品を画像認識で見分けてみせたり、知らない商品の名前を孫氏に教えてもらい、次はインターネットで調べた商品情報と合わせて答えてみせたりして、孫氏も「Googleで、おっと違った、Yahoo!で検索したんだね」と感心してみせた。
Pepperは現在、みずほ銀行やネスカフェなどで接客に使われる試みがなされている。こうした用途に向けて、法人向けモデル「Pepper for Biz」を孫氏がアナウンスした。10月1日より申し込み開始となり、月額5万5000円。Pepperも「僕はこの秋から本格的に社会人デビューします」と自己紹介した。
Pepper for Bizでは、ビジネスでの活用を支援するためのサービス「Pepper for Bizプラットフォーム」も提供される。すべてをプログラムしなくてもアプリケーションをカスタマイズできる「ビジネスアプリかんたん生成」や、Pepperが接客やセンサーなどから蓄積したデータをマーケティングに活用する「インタラクション分析」、複数のPepperを一括管理する「アプリ設定一括管理」、故障などのサポート「プレミアムサポート&メンテナンス」が、Pepper for Bizプラットフォームに含まれる。
そのほかオプションサービスとして、サードパーティアプリやカスタマイズアプリ開発、導入コンサルティング、追加サポートサービスも予定。アプリ開発パートナー紹介制度も用意するという。