INTERNET Watch 30周年
【2013年のINTERNET Watch】SNS発で大問題になった「バイトテロ」「バカッター」、背景には世代間ギャップ!?
2026年6月1日 06:30
2013年の出来事
2013年(平成25年)、6月に富士山が世界文化遺産に決定、9月に2020年夏季五輪の東京開催決定(コロナ禍により2021年開催となる)といったニュースがあり、前年末より始動した「アベノミクス」と相まって、景気回復・デフレ脱却のきざしが感じられるようになった。
一方で、消費税がそれまでの5%から2014年に8%へとなることが決定するなど、厳しい話題も少なくない。この年成立した特定秘密保護法(特定秘密の保護に関する法律)は、秘匿性が高い安全保障に関する情報の漏えいを防止し、漏えいに対し刑事罰を適用するもので、国民の「知る権利」が損なわれるおそれが指摘されるなど、多くの反対・疑問の声もある中での成立となった。
海外では、元CIA・NSA(米国中央情報局・国家安全保障局)職員のエドワード・スノーデン氏が内部告発サイトWikileaks(ウィキリークス)にて多くの情報を暴露した、いわゆるスノーデン事件が大きな話題となった。INTERNET Watchではこの件についてニュースなどにはしていないが、当時の連載で関連の動向を取り上げるなどしている。
2026年2月に30周年を迎えたINTERNET Watchは、1996年2月に有料メールマガジンとして創刊し、1997年1月にウェブサイトを開設した。ここでは2026年の視点から2013年の記事を10本取り上げ、当時を振り返る。
1. 「バイトテロ」「バカッター」、若者のSNS炎上事件が続発
▶若者にとってネットは“スマホ+アプリ”、モラル教育追い付かず炎上の構造
SNSやブログでの不用意な投稿による「炎上」はこの年までにも多くあったが、この年はTwitter(現X)を中心にテレビでも報道されるほどの炎上事件が続発。「バイトテロ」や「バカッター」といった言葉が生まれ、後者はこの年の新語・流行語大賞候補にもなった。
上記記事は、デジタルアーツがこうした状況を受けて実施した記者説明会のレポート。一時期落ち着いていた犯罪告白・炎上系投稿が、この年に入って再び増加し、8月には17件を記録。従来はテキスト中心であったのが写真中心になったという。
その原因としては、オープンなSNSの中で「内輪感覚」での投稿が行われている(LINEのトークなら本当に内輪にしか共有されないが、LINEとSNSとの使い分けができていない)こと、保護者・教育者と若者との間で「インターネット」の認識が異なり(保護者PCとウェブブラウザーで使うものだが、若者にとってはスマートフォンとアプリで使うものになっている)、モラル教育が追いつかないことの2点が指摘されている。
こうした状況を受け、ガイアックスはアルバイト従業員向けのリテラシー講座を提供、NTT-ITはソーシャルメディア分析ツールにバイトテロやネットいじめ発見機能を追加するなどした。やじうまWatchでは、典型的な「バイトテロ」のパターンとして広く知られることとなった、“バイト先の冷蔵庫に入った”風の写真を撮れるアプリを紹介したりもしている。
2. ショート動画の元祖、Twitterの「Vine」登場
▶Twitter、最長6秒のループ動画を作成できるiOSアプリ「Vine」
1月、Twitterが最長6秒のループビデオを共有できるiOSアプリ「Vine」を公開。今でいう「ショート動画」の元祖と言えるもので、順調に機能強化を続け、この年の11月にはiOS/Androidアプリの日本語版を公開した。
2014年には性的コンテンツ禁止を明示、2015年には子ども向け「Vine Kids」提供、といった動きもあった。同じく2015年にはVineチームが来日した様子をレポートしているが、Vineの人気ユーザーが生まれていること、クリエイターが活躍できる環境作りを模索していることなどが紹介されている。
人気だったVineだが、2017年にサービスを終了。理由はTwitter社内での改編によるものとされる。Vineは、Twitterに買収される前の創業者によって「byte」として復活したが、短期間で終了した。
現在も利用されているショート動画サービスとしては、TikTokが2017年に世界で展開を開始している。なお、TikTokの前身といえるサービスとして、2014年提供開始の「Musical.ly」がある。Instagramは「リール」を2020年8月、YouTubeは「Shorts」を9月に開始している。
3. 下り2Gbps、世界最速をうたう「NURO 光」が提供開始
▶So-net、“世界最速”最大2GbpsのFTTHサービス「NURO 光」~月額4980円から
4月、ソネットエンタテインメントが、下り2Gbps/上り1Gbpsの光回線サービス「NURO 光」の提供を開始。アクセス回線の規格として「フレッツ 光ネクスト」などで使われる「GE-PON」ではなく、下りの帯域幅が広い「G-PON」を採用していることが特徴で、当時、個人宅向けの商用FTTHサービスとして世界最速をうたっていた。
4. ウェブサイトで待ち伏せし、特定の標的を狙う「水飲み場型攻撃」
▶日本の省庁などへ“水飲み場型攻撃”、IEのゼロデイを突き、8月に起きていた
▶IEへのゼロデイ攻撃で用いられた“水飲み場型”攻撃
以前から知られていたサイバー攻撃手法「水飲み場型攻撃」が、この年話題になった。昨今は目にしないがインパクトのある名前が付けられたこの攻撃手法は、特定の組織の職員など、標的を定めて行われる標的型攻撃の一種。標的が利用する可能性が高いウェブサイトに、ほかのユーザーがアクセスしても動作せず、標的がアクセスしたときだけ動作する悪意あるコードを仕掛けておき、マルウェアをダウンロードさせる。
猛獣が、標的がやってくる水飲み場で待ち伏せして狩りを行うイメージから「水飲み場型攻撃」と命名されている。標的以外には何もしないことから第三者に発見されにくく、標的に対してもメールより気づかれにくい攻撃方法だとして、注意が呼び掛けられた。
5. 業務アプリがクラウド化。「Office 365」「Adobe CC」提供開始
▶Officeをクラウドサービスで利用できる、新しい「Office 365」提供開始
▶「Photoshop CC」などアドビ製品の新バージョン6月18日提供開始、月額制のみ
2月、日本で「Office 365」の提供が法人向けに開始された。従来の「Microsoft Office」のサブスクリプション/クラウドサービスであり、「Word」「Excel」「PowerPoint」といったOfficeアプリのほか、「Exchange Online」「SharePoint Online」「Lync Online」が含まれる。家庭向けの「Office 365 Home Premium」に関しては、日本ではOfficeプリインストールPCが買われることが多いとの理由から、同じタイミングでは提供を開始していない。
6月には、Adobeが「Adobe Creative Cloud」の提供を開始。同時にそれまでのCreative Suiteについて新機能開発中止を発表し、「Photoshop」「Illustrator」「Premiere Pro」など、プロ向けのクリエイティブツールがサブスクリプション/クラウドサービスに切り替えられた。
6. 公職選挙法改正で、ネットで選挙運動が可能に
▶ネット選挙運動&落選運動、日本でも解禁へ、改正公職選挙法が可決・成立
4月に、インターネットを使った選挙運動を解禁する改正公職選挙法が成立。候補者や政党、一般の有権者が、ウェブサイトやSNSで投票を呼び掛けたりできるようになった。なお、メールの利用や有料広告は禁止であり、これは2026年現在も改正されていない。
選挙期間中にウェブやSNSに表示される選挙関係のように見える広告は、特定候補への投票の呼び掛けではなく、多くは政党の広告である。
7. SNS、どう使ってる? さまざまな調査レポート
▶SNSで恋人・元恋人・恋人の元恋人を追跡した男性46%、女性37%
SNSが広く普及し始めた2012年末から2013年にかけて、SNSがユーザーの行動や心理に与える影響を調査した、さまざまなレポートが発表された。上記記事では、恋人や元恋人をSNSで追跡した経験のほか、「性的またはロマンチックな写真」を送った経験などをたずねている。
夫婦間のLINE利用に関する調査では、約4割がコミュニケーション頻度が上がって、約3割の夫婦仲が良くなったとの結果が。新成人のソーシャルメディア実態調査では、「LINEを利用する女性は結婚願望が強い」などと分析されており、スマホ派がPC派のおよそ倍の時間SNSを使うとの調査もあった。
そのほか、SNSの利用と自制心低下の関連性の調査も。シマンテックの調査では、日本のユーザーは知らない人とつながりすぎでリスキーだと指摘されている。
8. 「パスワード使いまわし」が大問題に、大量不正ログイン事件が連発
▶年末年始はパスワードの見直し&棚卸しを、“使い回し”狙われた2013年
この年には通信サービス、ECサイト、オンラインゲームなど、さまざまなサービスで大量不正ログインのニュースがあり、IPAが「すべてのネットサービスで異なるパスワードを」と呼び掛けるなどしていた。
パスワードを使いまわすことの危険性は、2026年現在でも変わらない。上記記事は、年末にパスワード使いまわしの問題と、注意喚起および攻撃事例をまとめたもので、大量不正ログインを伝えたニュースは32本あったとしている。「この年末年始には、ID・パスワードを見直すとともに、入会したまま最近は使わずに放置してあるようなサービスのアカウントは登録を削除するなど、ID・パスワードの“棚卸し”を行ってみてはどうだろうか」と、パスワード管理の見直しを呼び掛けている。
9. 軍艦島や富士山頂のストリートビューが公開される
▶軍艦島の「ストリートビュー」公開、住戸内部を含む立入禁止エリアも撮影
▶富士山・山頂まで「ストリートビュー」で登山可能に、吉田ルート撮影・公開
Googleマップのストリートビューが、日本国内の特殊なエリアに対応。一般には入れないエリアを含めた軍艦島や、富士山吉田ルートが公開され、気軽に見て回ることが可能になった。
この年2月には、徒歩でストリートビューを撮影するための機材「トレッカー」で屋久島を撮影すると発表し、4月に公開している。海外の徒歩撮影事例では、グランドキャニオンのストリートビューが公開されるなどもしている。
10. 「ラスボス」小林幸子さん、ニコニコ超会議2に出演
▶「今年も赤字の予感」ニコニコ超会議2に有名漫画家や在日米陸軍、小林幸子も降臨
「ニコニコ超会議」は、ニコニコ動画が2012年から開催しているオフラインイベント。この年に開催された「ニコニコ超会議2」に、歌手の小林幸子さんが出演した。
小林さんは、NHKの紅白歌合戦で美川憲一さんと豪華な衣装で張り合う様子などでも知られていたが、2012年にマスコミからバッシングを受け、その年の紅白歌合戦にも出演していなかった。しかし、ニコニコからのオファーを受けてイベントに出演したことをきっかけに(極端に豪華な衣装から)「ラスボス」として親しまれ、ボカロ曲を歌ったりもするようになる。
2014年には50周年記念ライブをニコニコ生放送で配信。しかもヘッドマウントディスプレイ「Oculus Rift」に対応し、360°映像として配信された。

