読めば身に付くネットリテラシー
ブランド米が5kg1500円! 美味しすぎる話はネット詐欺だと疑おう
2025年5月9日 06:00
米の価格が高騰しています。備蓄米が放出された今でもまだ高止まりしており、5kgあたり4000円台が当たり前になりました。家計を預かっている人たちは少しでも安く手に入れたいと考えるのは当然です。しかし、そうなると、その切実な心理を突いた「激安販売詐欺」が登場するのも世の常です。
典型的な手口は、実在するブランド米を破格の価格で並べる偽通販サイトです。「こしひかり5キロ1500円」「宮城県産 萌えみのり 30kg 8980円」といった激安価示に、思わず注文ボタンを押してしまう人もいるかもしれません。
しかし、クレジット決済ができると言いながら、最終的には銀行振込を促すケースも多く、振り込んだ途端に連絡が取れなくなります。問い合わせ先に電話してもつながらず、表示されている住所を調べると全く無関係な店舗だったという話も聞きます。
怪しいと思ったら、注文する前に電話をかけて確認すれば、詐欺被害を回避できる可能性が高まります。しかし、ネット詐欺師は実在する店舗の情報を勝手に使うことがあるので、その店舗に電話が殺到し、営業妨害になってしまうという問題も発生しています。
偽通販サイトよりさらに巧妙なのが、SNS上で個人取引を装う詐欺です。詐欺師は自らを米農家や在庫過多の業者と名乗り、「産地直送で格安販売します」と投稿します。相場の半額以下という文言に惹かれた消費者がダイレクトメッセージで申し込み、前払いで送金したものの米が届かないという流れです。この手の被害は全国で起きており、ニュースにも取り上げられています。なかには1年分の定期購入として10万円以上を一括で払った例もあるそうです。
さらに悪質なのは、実在する販売店や企業になりすます詐欺です。公式ロゴを盗用した偽アカウントが「フォロワー限定セール」を持ち掛け、先に代金を振り込ませたうえで姿を消します。騙された人は正規の販売店に問い合わせ、販売店側も自社の名前が悪用された被害者となる二重のトラブルへと発展しています。
「相場とかけ離れた安値」は疑う習慣を
この手の詐欺の被害を避けるための第一歩は、「相場とかけ離れた安値」を疑う習慣です。米の価格が高止まりするなかで、5kgあたり1000円台は常識的にあり得ません。美味しすぎる話は詐欺だと、警戒するリテラシーを身に付けてください。
次に、取引相手の連絡先と支払い方法を確認しましょう。住所や電話番号が曖昧だったり、フリーメールのみだったりする場合は要注意です。特に、支払い方法が銀行振込しか選べない場合は、送金前に相手の情報を徹底的に調べてください。また、振込先口座が個人名義になっている場合は、危険度はさらに高まります。ネット詐欺の可能性も考慮し、取引しないことをお勧めします。
もし、送金してしまったあとに「おかしい」と感じたら、ひとりで判断しないで、消費生活センターや警察へ相談しましょう。早い段階で相談することで被害拡大を防ぐことができます。また、販売ぺージや購入時のスクリーンショットを保存し、SNSなら相手のアカウント名や投稿日時を記録しておくと、後々の証拠になります。
繰り返しになりますが、「美味すぎる話には裏がある」という当たり前の感覚を持ちましょう。米の価格が高騰を続けているからこそ、安さに目を奪われず、冷静に相場と照らし合わせて判断する姿勢が求められます。自分の財布を守るために、疑いを持ち、確かめる手間を惜しまないようにしましょう。その手間が負担なら、普段利用しているスーパーなど、信頼できるところで購入することです。
被害者は「よくこんな詐欺を思いつくな!」と怒りますが、この手の詐欺は昔から常に起きています。何かニュースになる出来事があれば、必ず便乗する詐欺が多発するのです。あとで怒っても仕方がありません。リテラシーを身に付け、自己防御することが重要です。
高齢者のデジタルリテラシー向上を支援するNPO法人です。媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行っています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。
※ネット詐欺に関する問い合わせが増えています。万が一ネット詐欺に遭ってしまった場合、まずは以下の記事を参考に対処してください
参考:ネット詐欺の被害に遭ってしまったときにやること、やってはいけないこと