被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー

それってネット詐欺ですよ!

ナイキなど100以上の有名ブランドを装った大規模なネット詐欺を確認、安いネットショップを見つけてもすぐ飛びつかないで

多数のブランドのフィッシング詐欺サイトが展開されています。画像はBolsterのブログより

 ネット詐欺防止プラットフォームを提供する米Bolsterは6月13日、アパレルブランドを装った大規模な詐欺キャンペーンが展開されているとして警告しました。

 主に衣料や靴といったアパレルブランドをターゲットとして、詐欺サイトが展開されており、ナイキやニューバランス、リーボック、ザ・ノース・フェイス、アシックス、コンバースといった有名どころも含め、100以上のブランドが被害に遭っています。

 ネット詐欺師が用意したドメインの数は約6000にもなり、とても規模が大きいことが分かります。このネット詐欺は2022年から始まっており、2023年2月にピークを迎え、現在はホリデーシーズンほどの動きはないそうです。しかし、それでも2200~2300ほどのドメインが存在し、非アクティブのものも含めると約6000のドメインが確認されています。

 ネット詐欺師は検索エンジン最適化(SEO)テクニックを駆使し、Googleの検索結果2~3番目に詐欺サイトを表示させることに成功しています。しかも、かなりの期間にわたって表示され続けたそうです。ドメイン名は検索後の入力ミスを利用するタイポスクワッティングなどの手法で、見破りにくくしています。

例えば、Clarksを装った詐欺サイトがGoogle検索結果の上位に表示されていることが確認されました。画像はBolsterのブログより

 ユーザーが公式サイトだと思ってログインしてしまうと、フィッシング詐欺によりメールアドレスやパスワード、クレジットカードなどの個人情報が盗まれる恐れがあります。このような詐欺サイトでショッピングしてしまうと、金銭だけを盗まれて、商品は送られてこない場合や中国から低品質な類似品が送られてくることもあります。

 このネット詐欺を見破るためには、正規サイトのドメイン名を確認するようにしましょう。安すぎると思ったら、「飛びついて購入する」のではなく「怪しんでチェック」しなければなりません。ここが、ネットショッピングする際の大切なデジタルリテラシーとなります。欲望に目がくらんで金銭を失うことは避けましょう。

 ドメイン名をチェックする際はブランド公式サイトのドメイン名をきちんと把握することが重要ですが、ほかにもブラックリストを元に、入力したURLから詐欺サイトかどうか判定する「詐欺サイトチェッカー」などを活用することもできます。

詐欺サイトチェッカーにショッピング詐欺サイトのURLを入力すると警告画面が表示されました

 ただし、URLチェックサービスも万能ではありません。Twitterで報告されていた最新の詐欺サイトを入力したところ、判別できないケースもありました。このようなサービスで検出されていないからと言って、安全とも限らないのです。

 日本ではまだこれほどの大規模詐欺キャンペーンは確認されていませんが、海外のショッピングサイトで購入して個人輸入しようと考えている方もいるかもしれません。安いから送料が高くても採算がとれる、と飛びつく前に、本当に本物のウェブサイトかどうか複数の方法でチェックしましょう。

 そして、その上で自信が持てない場合、そのショッピングサイトでは購入しない、という選択も検討することをお勧めします

あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。

高齢者のデジタルリテラシー向上を支援するNPO法人です。媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行っています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。

※ネット詐欺に関する問い合わせが増えています。万が一ネット詐欺に遭ってしまった場合、まずは以下の記事を参考に対処してください
参考:ネット詐欺の被害に遭ってしまったときにやること、やってはいけないこと