被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー
「500円~」の業者に頼んだら10万円の請求が!? 困ったときのロードサービスや害虫・害獣駆除サービス利用に注意!
2024年5月24日 06:00
4月下旬、国民生活センターは2つの事例で注意喚起を行いました。ネットで検索したロードサービスや害虫・害獣駆除のサービスを利用したことによるトラブルが急増しているとのことです。
ロードサービスのトラブル事例は、次のようなものです。久しぶりのドライブで遠出したものの、外出先でバッテリーが上がって動けなくなってしまった。すぐに対応してもらいたいので、ネットで検索すると安く対応してくれる業者を見つけて早速依頼。作業はしてもらえたものの、ウェブサイトに出ていた金額よりずっと高い料金を請求されてしまいました……。結果、ウェブサイトでは「1980円から」と書かれていたのに、実際には10分の作業で5万円を請求されたそうです。
ロードサービスと、害虫・害獣駆除サービスは、まったく違うカテゴリーのサービスのようで、いくつかの共通点があります。
まず、ふだんは、特に利用したいと思うものではありません。平時から業者や料金、サービス内容について調べて詳しく知っている人は少ないでしょう。
しかし、自動車の故障とか、害虫が出たといったトラブル発生時には、一刻も早く利用したい(来てほしい)サービスです。そのため、あわててネットで検索し、目についた業者に飛びつくように依頼した結果、思わぬ高額請求をされてしまう、といった事態がどちらでも起こり得るのです。
業者にしてみれば、ネット広告などの費用を多少かけても、無知な利用客が見つかり、詐欺にはならないように高額を請求して儲けられれば、十分に元が取れるのかもしれません。
このようなトラブルを回避するには、少し落ち着いて広く情報を収集したり、信頼できる相手に相談したりすることが大切です。
国民生活センターではアドバイスとして、自動車のトラブルの場合、まず契約している損害保険会社や保険代理店に問い合わせることを挙げていす。自動車保険にはロードサービスが付帯していることが多いからです。
ネットで情報を調べるときは、「基本料金1980円」などといった金額を鵜呑みにせず、どのくらいの料金が相場なのかを、何件かの業者を調べるなどして確認しましょう。その上で、現場に来てもらうなら、現場でのキャンセル料金が発生するのかも確認しておきましょう。さらに、事前の説明と異なる場合は、後日納得した金額で支払う意思を示し、その場での支払いを断るように、とのことです。
害虫・害獣駆除のケースでは、このような事例が紹介されています。ネットで検索し、「料金500円~」といった格安料金を見て連絡したところ、実際には1万円と言われたましたが、駆除してもらいたかったので依頼しました。しかし、最終的には10万円の契約書を渡されたというのです。
また、現場に来てから「このままだとひどいことになる」「ハチに刺されて死ぬ」などと怖がらせて、不安になって高額の作業を依頼してしまうケースもあります。作業途中で中断を求めても聞き入れず、作業を続けて、高額請求されることもあるそうです
これらの害虫・害獣駆除サービスの相談は年々増えており、2023年度は2022年度と比べて約1.5倍になっています。相談者の性別は3分の2が女性で、シニア層が多い傾向にあります。しかし、2022年からは10~20歳代の相談件数が約2.6倍に急増しています。一人暮らしで、初めてゴキブリなどを見てパニックになり、焦ったまま依頼してしまったのかもしれません。
こちらも、最初に目についた業者や激安料金を提示している業者に飛びつくのでなく、複数業者のサイトを調べ、相場感を知ってから業者を選定するようにしましょう。もちろん、利用者としては安いほうが嬉しいのですが、極端に安い料金を提示している業者には注意した方がいいでしょう。
適正料金を知るには、「ロードサービス バッテリー上がり 料金」「害虫駆除 料金」のようなキーワードで検索し、業者以外が書いているブログなども参考にするとよいでしょう。
目の前のトラブルであわてたあまりに、後々まで大変な目にあうようなトラブルに当たってしまったのでは、泣きっ面に蜂になってしまいます。緊急時でも、ネットで業者を探すときには、焦らずに情報を選定しましょう。なお、ドライブなどで遠距離運転をするなら、ロードサービスなどはあらかじめ調べておくといいでしょう。
あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。
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