被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー
だまされないように注意!
商品が届かないうえに「○○ペイで返金します」と言われるネット詐欺に気を付けて
2023年10月13日 08:35
国民生活センターはネットショッピングにおける新手のネット詐欺の手口を公開しました。寄せられた報告によると、美容機器やアクセサリーなどを注文したところ、支払いは銀行振込で、振り込み先は外国人と思われる個人名義の口座だったようです。振り込み後、予定日を過ぎても商品が届かなかったり、「在庫が欠品しているため、注文をキャンセルします」というメールが届きます。そして、商品が準備できないので、「○○ペイで返金する」と言われました。
その後LINEでの友だち登録を指示され、ビデオ通話で返金のための操作を指示されます。しかし、その操作は支払いをするための操作で、さらにお金を奪われてしまったのです。
一から送金操作を指示すれば、自分がお金を送ることに気が付いてしまいます。そこで、ネット詐欺師は送金依頼の機能を利用します。欲しい金額を自分で設定し、支払い用のリンクを送信できるのです。
例えば、LINE Payだとリンクを受け取った側には「もらう 5000円相当の送金・送付を依頼されました」と表示されるのです。依頼者名はネット詐欺師の名前になっており、ボタンは「送金・送付」になっています。タップすると、その金額が大きく表示され、「送金・送付」ボタンを押すように促されます。
決済アプリを普段から利用していれば、送金をするのか・受け取るのかが分かりますが、送金機能を利用したことがなければ、「もらう」と書いてあるので勘違いしてしまう可能性があります。特に、ビデオ通話機能で相手と話しながらであれば、面倒なので早くお金を受け取って終わりにしたいと考え、言われるがままに操作してしまう可能性があります。
もちろん、LINE Payだけでなく、PayPayなど他のアプリにも送金依頼の機能があります。
国民生活センターの啓発資料では、「『○○ペイで返金します』と言われたら詐欺を疑ってください!」とアドバイスしていました。銀行振込をしてるにもかかわらず、別の方法で返金する時点で怪しいことは確かです。
また、相談事例をよく読むと、ユーザーは商品が届かないといった「ショッピング詐欺」に最初に引っ掛かった後に、送金しています。今回起こった返金詐欺はショッピング詐欺に引っ掛かったユーザーへの追撃手口のようです。だまされるようなユーザーであれば、他の手口にもさらに引っ掛かる可能性が高いと思われているのかもしれません。
この手のネット詐欺の被害に遭わないためには、まず事例を知りましょう。対処法としては、激安品に目がくらまないようにする、大手のショッピングサイトで購入する、運営元をよくチェックすることが重要です。基本的には、取り返しがつかない銀行振り込みではなく、クレジットカードなどを利用すると保障が使えることもあります。銀行振込する際は、口座名が企業名になっていることを確認してください。外国人の個人名の口座はネット詐欺で多用されているので要注意です。
返金詐欺に遭わないためには、自分が使っているアプリの操作方法はマスターしておくと安心です。送金処理していることが分かれば、被害を回避できます。また、「○○ペイで返金する」と言われても、受け付けない方が良いでしょう。
SNSではオークションで落札した商品が送られず、決済アプリを使った返金詐欺を仕掛けられた、という事例も報告されていました。ショッピング以外でもお金が絡む取引には注意しておきましょう。
もし、「○○ペイで返金処理するしかない」と言われても、その場ではいったん断って、消費者ホットライン「188(いやや!)」番や警察相談専用電話「#9110」に相談してください。
あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。
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※ネット詐欺に関する問い合わせが増えています。万が一ネット詐欺に遭ってしまった場合、まずは以下の記事を参考に対処してください
参考:ネット詐欺の被害に遭ってしまったときにやること、やってはいけないこと