被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー

設定を見直そう!

「Windows 11」でネット詐欺を回避するために今からできる対策。 押さえておきたい設定方法をチェック!

 ネット詐欺やマルウェアの被害を回避するには、ユーザーのデジタルリテラシーが最も重要ですが、実際には、全て自己判断するのも難しいところです。そんなとき、Windows 11やウェブブラウザーのセキュリティ機能をきちんと設定していると、ネット詐欺やマルウェアなどのリスクを回避できることがあります。

Edgeで「Microsoft Defender SmartScreen」を有効に

 まずチェックしておきたいのが、ウェブブラウザーの設定です。フィッシングサイトをはじめとするリスクのあるウェブサイトを表示しようとしたときに警告を出してくれる「Microsoft Defender SmartScreen」を有効にしておきましょう。

 ウェブブラウザー「Edge」の「…」メニューから「設定」を開き、「プライバシー、検索、サービス」の「セキュリティ」→「Microsoft Defender SmartScreen」をオンにします。同時に、「望ましくない可能性のあるアプリをブロックする」や「Webサイト誤入力保護」のスイッチもオンにしておきましょう。低評価アプリのダウンロードをブロックしたり、悪意のあるサイトに転送される可能性があるときに警告してくれるようになります。

「Microsoft Defender SmartScreen」などのセキュリティ設定をオンにします
設定をオンにした状態でフィッシングサイトを開こうとすると、赤い警告画面が表示されます

「Windowsセキュリティ」から各項目をチェック

 次は、Windows 11の設定です。スタートメニューから「Windowsセキュリティ」を開き、「ウイルスと脅威の防止」を開きます。「現在の脅威」のところで、「現在の脅威はありません」と表示されていればOKです。「設定の管理」を開き、「リアルタイム保護」や「クラウド提供の保護」をオンにして、常にWindowsを守るようにしておきましょう。

「Windowsセキュリティ」を開き、「ウイルスと脅威の防止」を開きます
「リアルタイム保護」や「クラウド提供の保護」をオンにします

 ランサムウェアは、感染するとPC内のデータを暗号化してしまうマルウェアです。会社で使っているPCが感染すると、仕事ができなくなってしまいます。過去記事「4億円を米石油パイプライン大手から窃取、露ハッカー集団『ダークサイド』が使った手口」で紹介したように、データを人質に取って、身代金を要求してきます。

 実際、身代金を支払ったからといって復旧されるとは限りませんし、サイバー犯罪者に資金を提供するのもNGです。ほとんどのケースで、泣き寝入りするしかありません。そのため、感染しないように日ごろの対策が必要になります。

 前述の「Windowsセキュリティ」をきちんと設定していれば、既知のマルウェアは防止できます。しかし、登場したばかりのマルウェアだと対応が遅れることがあります。そんなときにも、データだけは守りたい、というのであればWindowsセキュリティの「ウイルスと脅威の防止」内の「ランサムウェアの防止」画面で、「コントロールされたフォルダーアクセス」をオンにします。

 これは、「保護されているフォルダー」で指定したフォルダー内にはあらかじめ許可されたプログラムしかアクセスできないようにするものです。そのため、ランサムウェアに感染しても、データを失わずに済みます。

 ただし、自分でインストールしたアプリもそのフォルダーにアクセスする際には許可を与える必要があります。少々手間がかかることは覚えておいてください。

「コントロールされたフォルダーアクセス」をオンにする
「保護されているフォルダー」で保護するフォルダーを追加できます

よく利用するウェブサイトは「お気に入り」に登録

 最後に、ウェブブラウザーの「お気に入り」機能の活用についてご紹介しておきます。本連載では、企業から届いたメールやメッセージに記載されているURLをクリックしないように推奨しています。もし、ユーザー情報を確認したり、設定を変更する必要があるなら、自分でウェブブラウザーを開き、直接アクセスしましょう。もちろん、毎回Googleなどで検索してもいいのですが、お気に入りにあらかじめ登録しておくと手間が省けます。

 まずは、Googleなどの検索サイトで目当てのウェブサイトを検索します。検索結果の広告は無視して、通常の検索結果からウェブサイトを開いてください。詐欺サイトが広告を利用して、正規のウェブサイトよりも上位に表示されるケースがあるからです。

 Edgeでウェブサイトを開く場合、アドレス欄の右側にある「★」ボタンをクリックすると、お気に入りに登録できます。「お気に入りバー」に登録すると、アドレス欄の下に表示されるお気に入りバーにボタンが追加されるので、いつでも手軽に表示できるようになります。もしメールやメッセージで何か確認したり変更するように誘導されたら、お気に入りから自分でウェブサイトを開くようにしましょう。

広告ではない検索結果から、正規のウェブサイトを開きます
「★」ボタンをクリックして、お気に入りに登録します
お気に入りバーにウェブサイトが登録されるので、いつでもワンクリックでアクセスできるようになります

あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。

高齢者のデジタルリテラシー向上を支援するNPO法人です。媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行っています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。

※ネット詐欺に関する問い合わせが増えています。万が一ネット詐欺に遭ってしまった場合、まずは以下の記事を参考に対処してください
参考:ネット詐欺の被害に遭ってしまったときにやること、やってはいけないこと