被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー
それってネット詐欺ですよ!
ウェブサイトを見ていたら「感染」警告画面、消せなくなったときの対処方法は?
2020年9月18日 06:00
ウェブサイト閲覧中にいきなり警告画面が現れ、「ウイルスに感染している」「異常なアクティビティを検出した」というメッセージが表示されることがあります。急いで対処しないと、PC内のデータが失われるとか、アドレス帳に登録されている人たちにも被害が及ぶと警告し、セキュリティソフトのインストールやサポートセンターに電話するように指示してきます。
こういった警告で焦らせてくるネット詐欺の手口が確認されているため、注意が必要です。
あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。
先日、筆者が発見したウェブサイトでは、ウェブブラウザー上でマウスカーソルが非表示になっていました。右クリックメニューが開かなくなることもあります。
単なる画像のポップアップを表示し操作できないようにしたり、「×」ボタンをクリックしているのに別の挙動をするように見せかけることもあります。高度な詐欺サイトだと、ウェブブラウザーを操作不能にしてしまい、サポートセンターに電話するしかないと思わせてくるのです。
他には、全画面の状態で動画を再生し、あたかもPCが乗っ取られ、勝手にマウス操作が行われているような様子を演出することもあります。これに引っ掛かって、不正アクセスされている! と思い込み、DLIS(デジタルリテラシー向上機構)に相談してくる方もいます。
大音量で警告音を鳴らすこともあります。これは焦らせて判断力を低下させて電話するように誘導しているのです。
JavaScriptの機能で、ウェブブラウザー上の動作をコントロールしていることがあるので、ウェブページをどうにかしようとしないでください。対処法としては、ウェブブラウザー自体を閉じることです。しかし、何らかの機能を悪用して閉じられないようにしていることもあります。
そんなときのために、強制的にアプリを終了させる技を覚えておきましょう。これは、不具合を起こした他のアプリにも利用できるので便利です。
まず「Ctrl」「Shift」「Esc」キーを同時に押します。これは、起動しているプログラムを確認できる「タスクマネージャー」を起動するショートカットキーです。タスクマネージャーが起動したら、詐欺サイトのウェブページを開いているウェブブラウザーを選択して、「タスクの終了」をクリックすると、強制終了できます。
ちなみに、偽警告に実際に引っ掛かるとどうなるのでしょうか。さまざまなパターンがあるのですが、ソフトをインストールする際、有料サポート代として数千円から数万円を要求されます。インストールさせられるセキュリティソフトも正常に動作するものではなく、マルウェアの可能性があります。
連絡先のサポートセンターに電話をすると、片言の日本語を話すオペレーターに繋がります。しかし、これがマイクロソフトなどのグローバル企業を騙っているので、海外のサポートセンターだと言ってくることがあります。また、「有料サポートに契約していただければ、遠隔操作で直します」と言われ、3万円から10万円のプランを勧めてきます。クレジットカードやコンビニで購入する電子マネーを求められるのですが、支払ってしまったら取り返すのはほぼ絶望的です。
普段、セキュリティを疎かにしている人ほど、サポート詐欺に焦ってしまうことでしょう。Windowsのセキュリティ機能やサードパーティのセキュリティソフトをきちんと運用していれば、この手の偽警告が詐欺だと判断できるようになります。デジタルリテラシーを高め、普段からセキュリティ意識を高めてください。
繰り返しになりますが、ウェブサイト閲覧中に偽警告画面が出ても気にする必要はありません。もし、誘導先のウェブサイトを開いて操作不能になっても焦らず、タスクマネージャーを起動してウェブブラウザーを閉じてしまいましょう。これで被害に遭うことがなくなります。
とはいえ、初見殺しのネット詐欺でもあります。ご両親など、PCに不慣れな方が周りにいる場合は、あらかじめ情報を教えてあげてください。怪しければ相談してね、と声掛けしておくだけで、被害を食い止められる可能性は高まるのです。
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