被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー

若者も引っ掛からないように注意!

利用した覚えはないのに「料金未納です」――DMM.comを騙る詐欺メールに友人が引っ掛かった

 友人がメールと電話を組み合わせた架空請求詐欺の手口に引っ掛かりました。

 ある朝、友人が起床時に寝ぼけた状態でスマホをチェックしたところ、DMM.comの利用料金が未納だという内容のSMSが届いていました。ウェブサイトの利用料金を支払わないと法的手続きに移行するというのです。その友人は、DMM.comを利用した覚えはないのですが焦ってしまいました。連絡先として電話番号が書いてあったので、早速電話してしまったのです。

朝起きたら、冷や汗の出るメッセージがスマホに届いていたらどうしますか?

 最初に電話に出てきた男性はすぐに折り返すと言って切り、すぐに別の男性から折り返し電話が来ました。そして「DMM.comの利用料金を今日中に支払うように」と10万円の支払いを要求され、ここで頭がはっきりしてきた友人はネット詐欺に引っ掛かっていると気が付きました。お金を支払わないと会社に連絡するとか、訴訟すると脅してきましたが、「分かりました」と言って電話を切りました。

 これは、4年以上前からある有名な架空請求詐欺です。メールの件名や内容には多数のバリエーションがあります。「内容証明郵便」「訴訟」「強制執行」といった単語で脅しつつ、いったん支払っても本当に使っていないことが判明したら後日返還します、とも言ってきます。

 DMM.comもこの詐欺について注意喚起を行っており、事例を紹介しています。以下はその一部の文例です。

例1:
“貴方の端末IPからDMM.R18へのアクセスがありました。
お使いの端末がスパイウェア、ウイルスなどの影響で意図しないデーター通信を行っている場合がありますのでご注意ください。
身に覚えがない通知の場合、下記URLよりアカウント情報を確認して頂きご利用されない場合は個人情報の削除をお願いします。

http://************”

 これは、フィッシング詐欺サイトに誘導し、個人情報やクレジットカード情報などを盗もうとするタイプです。IPアドレスを取得したとか、18禁サイトへのアクセスを匂わせるのは、相手を焦らせる手口の定番です。

例2:
“有料動画利用履歴が有りますが
料金未納の為本日連絡いただけない場合
法的手続きとなります

03-***-****
DMM.com”

 これは、電話番号と人を用意して、本格的に詐欺を仕掛けようとしてくるタイプです。詐欺の仕掛け人は「トークスクリプト」という台本を覚えておく必要があり、誰でもできるわけではありません。そのため、電話の受け手はまず名前などを聞いて折り返すように伝えます。しかし、この折り返すという手順は、企業がユーザーに電話代を負担させないときにも使うので、メインの詐欺師にチェンジするのと同時に信頼させる効果もあります。

 すぐに、相手から折り返し電話がかかってきますが、この時点で名前と電話番号が相手に伝わっています。相手が名前を呼び掛けてきたら、本当にサポートセンターに繋がっていると信じてしまう可能性が高まるのです。

 こうした架空請求詐欺は無視するだけでOKです。もし、身に覚えがあって心配になったなら、自分でそのサービスを検索してホームページを開き、マイページにログインするなり、サポートに連絡すればいいのです。

 メールやSMSに記載されているURLは開かないことが重要です。もし、開いてしまっても個人情報を入力してはいけません。電話も同じです。自分で問い合わせ先を検索し、電話をかけてください。

 また、ちょっとでも怪しければ、ネットで検索してみましょう。「DMM 詐欺」でGoogle検索すれば、トップにDMMの注意喚起ページがヒットします。そのほかにも多数の啓発記事が見つかります。

 ネット詐欺師に反応してはいけないのです。今回の件は、かかってきた電話番号をブロックして無視するだけでいいのですが、完全に一件落着というわけではありません。その電話番号は高い確率で裏で取引されます。何せ、ネット詐欺のSMSに引っ掛かって直接電話してきてしまうデジタルリテラシーであることが判明しているのです。普通の電話番号リストより高額で取引されることでしょう。

 自分からネット詐欺に引っ掛からないことはもちろん、見知らぬ電話番号からの電話に出るときは警戒が必要です。筆者は友人に対して電話番号を変更するようにアドバイスしました。

 とにかく、焦らずに対処すること。これだけで、さまざまなトラブルを回避できると思います。

あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。

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