被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー
それってネット詐欺ですよ!
仲のいい友達から電話番号を教えてとLINEが来た
2018年7月13日 06:00
ある日、親友の名前でLINEが届く。兄弟や息子などの家族からでもいい。LINEの画面の上には、「ゆうすけ」といった名前が表示され、メッセージは「スマホ買い換えたら電話番号なくなっちゃった、番号教えて~」とあるので、普通に教える。すると、「LINEで認証するのでコード送った~番号教えて~」と来る。しばらくすると、SMSが届いたので、4桁の数字を送る――。
あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。
これはLINEアカウントの乗っ取り詐欺の手口だ。その名前の知り合いがいなかったり、それほど仲がよくなければ、詐欺であることに気が付くが、親友だったり家族だったりして、文章の雰囲気が似ているとコロッと信じてしまう可能性がある。
電話番号と認証番号が得られると、普通の手順で本人として新しいアカウント作成ができてしまうのだ。
もちろん、メールアドレスやパスワードが漏えいしているわけではないので、既存のアカウントの引き継ぎはできない。そのため犯人は新規にアカウントを作成するしかない。しかし、新しいアカウントは既存の友達とつながっている。写真などを使い回されたら、友達からは他人に乗っ取られたことは分からない。そこで、犯人はその友達みんなに「プリペイドカードを買って番号の写真をアップして」とメッセージを送るのだ。
友達を助けてあげようとか、先輩に言われたら断れないとか、お金を借りているので当然か、と思ってしまった人がプリペイドカードを購入し、写真を送信したら使われておしまい。
今度はそのつながっている友達に、電話番号と認証コードを送るように持ちかけ、ひっかかった人がいたらそのアカウントを乗っ取り、その友達の友達にプリペイドカード詐欺をしかける無限連鎖ができる。今はプリペイドカード詐欺の方には引っかかる人が減っているが、別に犯人は何も元手がかかっていないのでチャレンジする価値があるというわけだ。
この詐欺を防ぐ方法はいくつかあるが、まずは認証番号が送られてきたSMSに、「認証番号を他人に教えるとアカウントが悪用される危険があります」と明記されている。しかも、それに先だって認証番号を発行したアカウントのLINEには、システムメッセージとして「友人や知人になりすまして4桁のSMS認証番号を聞き出す詐欺行為の可能性があります。どんなに親しい人でも、あなたが受け取ったSMS認証番号を教えないようにしてください」という内容が送られてくる。言うことを聞けばいいだけだ。
もし、認証番号を教えてアカウントが乗っ取られた場合は、LINEの問題報告フォームから問い合わせよう。
他企業から漏えいしたメールアドレスとパスワードの組み合わせでLINEに不正ログインされることもある。この場合、同じメールアドレスとパスワードを使い回していると乗っ取られてしまうが、サービスごとに異なるパスワードをきちんと使い分けていれば問題なし。本連載で何度も触れているキホンのキなのでパスワードはきちんと運用しよう。
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DLIS(デジタルリテラシー向上機構)
高齢者のデジタルリテラシー向上を支援する団体で、現在、NPO法人の申請中です。今後は、媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行う予定となっています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。