被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー
それってネット詐欺ですよ!
W杯が盛り上がってるので格安ユニフォームを買ってみた
2018年7月6日 06:00
あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。
今回のFIFAワールドカップでは日本が決勝トーナメントに進み、話題をさらった。これだけ注目するニュースがあると、当たり前のように便乗するネット詐欺が登場する。今回もいろいろとお目見えしたのでご紹介したい。
これまでも、ワールドカップがらみでは、サッカーくじに当選したので振込手数料を支払ってくれとか、試合の生中継を視聴できる再生ソフトを無料でインストールさせるといったネット詐欺が流行していた。詐欺集団が観戦チケットやファンクラブへの加入で課金させるという典型的な手口もある。
まずは、個人情報の盗難。試合の動画を海賊版サイトで見ようと検索してアクセスすると、別のページに飛ばされる。そこで、あなたは商品をゲットできます!と表示される。iPhone XやMacBookなどを無料で送ってもらえるというのだ。必要なのは、送料の支払いだけ。「そのくらいならば」と、クレジットカード番号を入力して数ドルの支払いを行おうとする。
第三者から見ると、ネット詐欺以外の何物でもないのだが、欲望にかられると自分だけに降って湧いた美味しい話に感じるのだろう。このクレジットカード決済はエラーになる。ユーザーは「なんだやっぱり嘘か」と詐欺サイトを離脱し、他の海賊版サイトを探しに行ってしまう。しかし、犯人の手には、クレジットカード番号が残っている。このまま大きな課金にチャレンジしてもよし、ダークウェブでカード番号を売ってもよし。ユーザーは番号を盗まれていると気が付いていないので、停止手続きをされる心配もない。
別のパターンでは、クレジットカード番号ではなく、アカウントの登録と称して、名前と居住地、誕生日、電話番号を入力させる。クレジットカード番号がなくとも個人情報は相当な価値のある情報。悪用されることは間違いない。
ウェブ上で試合に関する動画を視聴できると詐欺サイトに誘導するケースもある。この場合はいろいろな手法が存在する。コンピューターウイルスを仕込んだり、大量の広告を表示させたり、最近はやりの仮想通貨のマイニングに利用されたりする。
あとは普通に、サッカー関連のグッズを販売する詐欺サイトも広まっている。URLに使われるドメイン名が、サッカーだったりユニフォームやスパイクといった一般的な単語の組み合わせで取得されており、注意しないとだまされてしまう人もいるかもしれない。
対策としては、基本の組み合わせが有効。コンピューターウイルスを仕込むサイトを開いても、セキュリティソフトをきちんと設定していれば遮断してくれるはず。サッカーくじに当たったとか、当たる組み合わせがあるといった話は詐欺に決まっているので相手にしないこと。
チケットやユニフォームなどを購入する場合は、そのサイトをチェックすればいい。URLだけでなく、商品説明や会社概要も確認しよう。筆者が今年確認したワールドカップ詐欺サイトは、総じて作りがひどかった。明らかに外国人の手によるもので、そもそも日本語が変。「入金完了のお客様に15時頃に領収書のようなメールを送りします」とか「日曜日も正常に受注を受け付け致します」といった文章には警戒する癖をつけておきたい。会社名は爆笑ものだし、問い合わせメールはフリーメールアドレスになっている。疑ってかかれば、ほとんどの場合は判別がつくはず。
自信がないのであれば、公式サイトや大手ショッピングサイトから購入すべき。安いからと言って、美味しい話に飛びつくとネット詐欺にあう可能性が高まってしまう。
きちんとしたデジタルリテラシーを身に着け、怪しいことはしない。これだけで、ネット詐欺の被害を回避できるのだから、ぜひ普段から意識するようにしてほしい。
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DLIS(デジタルリテラシー向上機構)
高齢者のデジタルリテラシー向上を支援する団体で、現在、NPO法人の申請中です。今後は、媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行う予定となっています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。