地図と位置情報
奈良県公式の街巡りアプリ「ならたん」、店舗情報が充実、狙いは“周遊”と“消費促進”
2017年1月26日 06:00
連載「趣味のインターネット地図ウォッチ」からの派生シリーズとして、暮らしやビジネスあるいは災害対策をはじめとした公共サービスなどにおけるGISや位置情報技術の利活用事例、それらを支えるGPS/GNSSやビーコン、Wi-Fi、音波や地磁気による測位技術の最新動向など、“地図と位置情報”をテーマにした記事を不定期掲載でお届けします。
奈良県は、同県の公式アプリ「ならたん」を提供開始した。奈良の観光情報と店舗情報を収録したアプリで、実証実験として2月28日まで提供される。奈良県といえば、数多くの観光名所があることで知られるが、このアプリは寺社や遺跡の情報ではなく、飲食店や土産物屋などの店舗の情報が中心となっている。Android/iOSに対応しており、無料。
「ならたん」を開発したNECネッツエスアイ株式会社の営業統括本部・奥田智也氏は、同アプリのコンセプトについて、「奈良は日本有数の観光地であり、そこには数多くの人が訪れるにもかかわらず、観光消費は今ひとつ伸び悩んでいるという課題があり、観光と消費をつなぐ仕組みを実現したいという話を奈良県から伺いました。そこで、“周遊”と“消費促進”という2つの機能を盛り込んだアプリを提案しました。“周遊”についてはGPSを使って観光スポットや公共施設を巡るデジタルスタンプラリーを提供し、“消費促進”の施策として電子クーポン(割引チケット)も利用可能となっています」と語る。「奈良に訪れる観光客の多くは近鉄・奈良駅で降りるため、駅周辺の商店街を訪れる方は多いのですが、実はそこからもう少し奥に入ったところにも良いお店がたくさんあります。現状では、そこまで足を運んでくれる観光客が少ないため、とにかくそのエリアを回って良いお店を発見していただき、消費を喚起することを狙いとしています」。
店舗情報には地図上のアイコンからアクセスできるほか、店舗名やカテゴリ、店の特徴などから探せる検索機能を搭載している。店の特徴として指定できる項目は、「女子会」「デート」「合コン」「記念日」「お土産」「贈答品」「歓迎会」「お一人様」「バリアフリー(入店)」「バリアフリー(トイレ)」など、観光客から地元の人まで幅広く対応する。このほか、クレジットカード利用の可否や駐車場の有無などの条件でも探せる。
電子クーポン(割引チケット)は、500円以上の購入で250円分の料金が割引となるチケットが2枚、合計500円分が付いている。利用可能な店は85店舗(1月15日時点)で、1日に使用できるチケットの数は決まっているため、残り枚数が0枚と表示されている場合はその日は使えない。また、チケットの使用にあたっては簡単なアンケートに答える必要がある。なお、チケットを使用する場合は、店の人に電子スタンプ(ディスプレイ上に置くことでスタンプを押すことができる小型デバイス)を押してもらう。
デジタルスタンプラリーは、寺社仏閣などの観光スポットや、観光案内所などの公共施設からなる全20カ所のチェックポイントを巡り、GPSで取得した位置情報をもとに、スタンプを入手する。スタンプを集めると、宿泊券などプレゼントの抽選に応募できる。
このほか、1月28日に行われる「若草山焼き」や、2月8~14日に開催予定のライトアップイベント「なら瑠璃絵」、同アプリをインストールした人向けの「ならたんガラガラ抽選会」など、さまざまなイベントの情報も提供する。
奈良の飲食店情報・土産店情報が豊富に収録されたこのアプリを片手に、奈良県を訪れてみてはいかがだろうか。