山谷剛史のマンスリー・チャイナネット事件簿

LINE、OneDrive、iCloudなど多くの著名SNS/クラウドサービスを利用禁止に〜2014年7月

 本連載では、中国のネット関連ニュース(+α)からいくつかピックアップして、中国を拠点とする筆者が“中国に行ったことのない方にもわかりやすく”をモットーに、中国のインターネットにまつわる政府が絡む堅いニュースから三面ニュースまで、それに中国インターネットのトレンドなどをレポートしていきます。

LINE、OneDrive、iCloudなど多くの著名SNS/クラウドサービスを利用禁止に

 7月は多くの世界的に著名なSNSサービスやクラウドサービスが利用できなくなった。長くなるがまとめて紹介したい。

 順番に挙げていくと、7月2日にLINEとKakaoTalkの両インスタントメッセンジャーの利用が突然できなくなった。LINEに関しては、日本の電話番号と紐づけていれば利用できるという報告が挙がっている。後日、利用禁止措置について「テロ対策のため」と公にした。

 翌3日には、MicrosoftのOneDriveと、AppleのiCloudの両クラウドサービスの利用がDNS汚染によりできなくなった。筆者が7月に購入したWindows 8.1搭載タブレットにはFacebookやTwitterも見られるMessengerがインストールされていなかったが、OneDriveはインストールされていた。が、そのうちプリインストールされなくなるかもしれない。ほかにもMicrosoft関連では、独占禁止法に抵触しているとして、現地法人に立ち入り調査が入った。

 iCloudについては、中国で人気のiPhoneなどでバックアップ用途で利用することもできるので、突然の利用禁止措置にユーザーから悲鳴が上がった。Apple関連ではFrequent Locations機能にも利用者の行動が分かり問題ありとCCTV(中央電視台)の番組で問題提起した。

 7月9日には、各Android向けアプリマーケットからInstgramが消去された。また、Flickrも利用不可に。この後、「外国の人々と直接文字や画像や動画などをやりとりする外国のSNSアプリをアプリストアで配布することを禁止する」という中国宣伝部の通知と思わしき文章が流出した。

 5月末にGoogleが利用できなくなってから1カ月以上が経過し、6月はAppleにiMessageで注文を付け、7月は多数のサイトが利用不可となった。Googleは7月10日に短時間のみ利用できるようになったが、すぐに利用できなくなった。Great Firewallをアップデートしたためではないかと噂された。これほどまでに短期間に多くの著名サイトをアクセス禁止にすることは今まで例がない。原因として7月1日の香港での大規模デモの写真伝播対策という説や、5月に米国が5名の人民解放軍兵士を起訴したことを原因としている説が挙げられている。

 このように中国外サイト向けのGreat Firewallを強化する動きがある一方、中国国内においては、フォロワー数の多い政治評論家の李承鵬氏の微博(マイクロブログ、Weibo)アカウントとブログアカウントが消去された。また、中国政府国家新聞出版広電総局は、メディアに携わる者が外国メディアのインタビュワーになったり、記事投稿をしたりすることを禁じる法律を制定した。またGreat Firewallを越えるために利用されるVPNについては、政府が認可したものを利用すべきとした論調が出てきているなど、中国国内のネットの締め付けも強化された。

中国のネットユーザー数は6億3200万人、スマホユーザーがPCユーザーを超す

 CNNIC(China Internet Network Information Center)は、2014年6月末時点におけるインターネット利用状況を発表した。インターネット利用者は利用率46.9%となる6億3200万人。農村部を中心に増加が鈍化した。スマートフォンなどモバイル利用者は5億2700万人となり、PC利用者を初めて上回る結果になった。利用用途では、4Gサービススタートと3G利用者増により、モバイルでの音楽や動画などやオンラインショッピング関連など、データの送受信が多いサービスでの利用者の増加が目立った。

 詳しくは、本誌7月23日付関連記事「中国のネットユーザーは6億3200万人、モバイルユーザーがPCユーザーを超す」を参照されたい。

中国のゲームユーザー、iOS端末ユーザーの方が金払いがよくアプリストアを信頼

 中国のリサーチ会社「iResearch」は、中国のスマートフォン向けゲームについてまとめた「中国智能移動遊戯典型品類研究報告」と、スマートフォンゲームユーザーについてまとめた「中国智能移動端遊戯用戸行為研究報告」を発表した。

 それによると、2013年におけるスマートフォン/タブレットによるゲームユーザー数は1億9000万人で、2014年に3億人まで増え、その後、新規端末保持者の増加数減少により、ゲームユーザー数も頭打ちになると予想している。ユーザーの消費総額では、全体の53.2%がAndroid向け、44.4%がiOS向け、残りがその他となった。ゲームジャンルではパズルゲームが最も人気。人気ゲームの多くが中国産ゲームだ。

 男女別では男性が65%、年齢別では26〜35歳の若い社会人層に集中。利用デバイス(複数回答可)では、スマートフォンが9割、タブレットが5割、OS別ではAndroidが71%、iOSが18%となった。上記と照らし合わせると、iOSユーザーのゲームへの金払いはいいようだ。遊ぶ頻度では「毎日何度も遊ぶ」(66.5%)、「毎日1度」(21.5%)を合わせると9割近くが毎日プレイしている。

 ゲームを知る方法としては「アプリストアのランキング」が「口コミ」を上回り、最もメジャーな手段ではあるが、アプリストアが乱立するAndroid端末ユーザーよりも、iOS端末ユーザーの方が、よりアプリストアの上位のものを選んでいく傾向があるようだ。

棒グラフがスマートフォン向けゲーム市場規模、折れ線が端末本体増加数
オンラインゲームユーザーの男女比と年齢比

2大微博の1つ、微博事業から撤退へ

 7月24日、マイクロブログ「微博(Weibo)」の2大サイトの1つ「騰訊微博」を運営する騰訊(Tencent)は、微博はサービス終了はしないが、新機能は追加せず、ニュースサイトと融合すると発表。騰訊が一線から引くこととなった。また、騰訊微博の内部スタッフと思わしきアカウントで「微博事業部は解散した」とのつぶやきも。新浪(Sina)とともに数億人のユーザーを擁していたが、NASDAQに上場する新浪微博のみが残ることとなった。

 微博のユーザー数は、商用化が進んだ結果、広告が増えすぎたことと、アルファユーザーを取り締まったこと、それに騰訊が微信(WeChat)をリリースしたことから、2013年6月末の3億3077人から2014年6月末には2億7535万人と5500万人超の利用者減となった。

小米(Xiaomi)が、虚偽情報で成長したとして話題に

 中国市場でサムスンを抜いて、シェアナンバーワンまで登り詰めた新興のスマートフォンメーカー「小米(Xiaomi)」。人気ナンバーワンになったのは、品質やコストパフォーマンスもさることながら、同社は当初、マニア向けにコストパフォーマンスの高いスマートフォン「小米」などを、頻繁にオンライン上で数万台(のちに数十万台)を限定出荷し、数分で売り切り記録を作り、話題を振りまいて認知させる広告手法をとって成功。その後は利用者の口コミで一般人にまで普及して今に至った。

小米のスマートフォン「紅米」

 だがその各記録について、OEM先の生産能力やAlexaなどのアクセス分析から見るに、記録はねつ造したのではないかと中国メディア「第一財経日報」は疑問の記事を掲載。その後、小米はこれについて「最近のキャンペーンでは、2億人がサイトを訪問したと表示したが、アクセス数が2億2000万で1人複数訪問もカウントしている」と、数字の疑惑について回答。同社のこれまでの成長が誇大広告も含まれたアピールによるものだとして、ヘビーユーザーをがっかりさせた。

小米は性能もさることながら話題性で人気となった

 また、F-Secureにより後日、スマートフォンが個人情報を中国のサーバーに強制送信していることが判明した。小米は謝罪のコメントを発表し、中国でも少し報道されたが、こちらの方の反響は小さかった。

「米国Curse Gaming、中国サービスを模倣して投資を受ける」と報道

 米国のCurse Gamingが1000万ドルの融資を得た。同社のボイスチャット「Curse Voice」が中国の歓聚時代がリリースする「YY」を模倣したもので、かつそれで融資を得ているという、模倣と融資のビジネスが中国のビジネスモデルにそっくりで、立場が逆転した案例が出て中国ではニュースになった。

原作となる小説をゲームで勝手に利用した業者が提訴される

 中国で人気の武侠(中国的中世ファンタジー世界が舞台のコンテンツ)作家の金庸氏のキャラクターを勝手に利用したとして、金庸氏のコンテンツ利用権利を所有するオンラインゲームベンダーの「完美世界」と出版社の「明和社」が、許可なく金庸氏のコンテンツを利用し世界観を改ざんしたとするゲームベンダー「昆侖」や「北京火谷」に対して1480万元の損賠賠償請求を行った。問題となったゲームは「武任Q伝」というゲーム。

 ここ1、2年で、ゲーム化のための原作となる小説の著作権購入はニュースで見るようになった。今夏の中国のゲームイベント「Chinajoy」においては、原作利用権はここ1年でうなぎ上りで、1タイトルにつき、数百万元から数千万元と上がっている。かつての動画サイトでの人気ドラマ・映画の独占配信権を得るためのコンテンツ購入価格が上昇したことを彷彿とさせる。ちなみに現在でも、日本のゲームやアニメなどのコンテンツを拝借し改ざんした中国のゲームは多いので、著作権意識が向上した今、損害賠償を請求するのもありではなかろうか。

クーポンサイト、サイト内の画像の無料利用で口コミサイトを提訴

 大手クーポンサイト「美団」は、著作権関連の食べログのような口コミサイト最大手「大衆点評」に対して、美団の写真を勝手に利用したとして上海の裁判所に提訴。裁判所は90枚の写真が勝手に使われたとして、2万6400元の損害賠償を支払うよう命じた。後日、美団は大衆点評に対し、さらに100枚以上の写真が使われているとして、北京の裁判所に提訴した。

 大衆点評は口コミサイトで、ユーザーがアップロードした写真が多く、かつ中国のネットユーザー自身が画像や文章などのコンテンツを拝借して使う習慣があり、解決するのは難しそうだ。

大手EC「京東商城」、偽エンジンオイル販売で打撃

 7月9日、エクソンモービルは大手オンラインショッピングサイトの「京東商城」で、同社の偽物のエンジンオイルが売られていると発表。それに対し、京東商城は、京東商城自身ではなく同サイトに出店している店舗が販売していると認め、同店舗の出店を取り下げた。

 京東商城は、B2Cオンラインショッピングサイトにおいて阿里巴巴の「天猫」に続く人気サイト。偽物を掴まされる危険がない、ということでB2Cオンラインショッピングサイトの人気が上昇していったが、競争の中で2010年よりAmazonマーケットプレイスのような第三者へのストアオープンを行った結果、京東商城への出展店舗数は2万9000店と増えたが、信頼を失う結果となった、

京東商城

山谷 剛史

海外専門のITライター。カバー範囲は中国・北欧・インド・東南アジア。さらなるエリア拡大を目指して日々精進中。現在中国滞在中。著書に「日本人が知らない中国ネットトレンド2014」「新しい中国人 ネットで団結する若者たち」などがある。