第416回:待望のAndoroid向けDLNA対応プレーヤー登場
パケットビデオ「Twonky Mobile」を試す


 パケットビデオ・コーポレーションから、Andoroid端末からDLNA対応機器との連界が可能なアプリケーション「Twonky Mobile」の提供が開始された。DMS、DMP、DMCとして利用可能なうえ、Andoroid端末同士でのメディアファイルの転送にも活用できるなど、非常に多機能なアプリだ。実際に機能を試してみた。

DMS/DMP/DMCとして利用可能

 パケットビデオから公開された「Twonky Mobile」は、いわゆるメディア共有ソフトだ。

 DLNA機器との連携が可能となっており、端末内のメディア(音楽、映像、写真)を外部の機器に公開するメディアサーバー(DMS)、他のメディアサーバーで公開されたメディアを端末で再生するメディアプレーヤー(DMP)、メディアをネットワーク上の再生機器(レンダラー)に転送して再生操作ができるメディアコントローラー(DMC)の3種類の機能を搭載したアプリケーションとなっている。

サーバー、プレーヤー、コントローラーの3つの機能を搭載したTwonky Mobile

 スマートフォン向けのDLNA対応アプリケーションは、これまでにもいくつかの製品があったが、プレーヤー、サーバー、コントローラーと、それぞれ個別のアプリケーションとして提供されており、決定版と言えるような製品がない状況だった。

 そんな中登場したのが、このTwonky Mobileというわけだ。パケットビデオのサーバーソフトウェアであるTwonky Media Serverは、バッファローや海外製のNASやHPのホームサーバー製品であるMedia Smart ServerやData Vaultにも採用されるなど、すでにお馴染みの製品となっているが、今回のAndoroid向け製品の登場によって、その基盤がより広がった印象だ。

Andoroid向けのアプリケーションとしてリリースされたパケットビデオの「Twonky Mobile」。2.1にアップデートしたXperiaで利用してみた

慣れないと少し迷う設定

 では、実際の動作を見ていこう。まず、アプリケーションの入手だが、Andoroidマーケットから「Twonky」などと検索すれば簡単に見つけることができる。

 このキーワードの場合、Twonky MobileとTwonky Serverの2製品がリストアップされるが、Twonky Serverはサーバー機能のみを搭載した旧バージョンとなっている。前述したようにTwonky Mobileはサーバー機能も搭載しているので、Twonky Serverのダウンロードは不要だ。

 なお、Twonky Mobileは、本稿を執筆している時点では無料でダウンロードすることができるが、リリースによると期間限定のキャンペーンとなっている。2011年1月より$2.99の有償になる予定なので、使う可能性がある人は早めにダウンロードしておいた方がいいだろう。

Twonky MobileはAndoroidマーケットから無料でダウンロード可能(2011年1月から有料予定)

 設定に関しては、言語が英語であることもあり、少々、戸惑う場合があるかもしれない。すでにDLNA対応機器やサーバーの設定を経験をしたことがある場合は問題ないが、「Media Sharing」や「Set Library」、「Player」と言われても、どれがどの機器なのか、その関係がわかりにくいかもしれない。

 簡単に説明すると、起動すると、まず最初にAndoroid端末自体をサーバーとして機能させるかどうかを選択する。「Music」、「Photos」、「Vidoes」の各項目にチェックを付けると、端末上に保存されている音楽や写真、映像がネットワーク上に公開され、DLNA対応のプレーヤーから参照できるようになる(最後のチェックを付けると設定が記憶される)。

 公開すると、他の人に見られたくない写真などが保存されていたとしても、すべて閲覧可能になってしまう。後から公開することもできるので、通常はオフのまま設定を進めた方が良いだろう。

まずは端末のメディアを共有するかどうかを選択続いてサーバーとして利用する機器を選択最後にプレーヤーを選択。端末自身をプレーヤーにするか、他の機器をレンダラーとして利用するかを選択する

 続いて、Libraryを設定する。ここで言うLibraryとは、メディアサーバーのことで、設定画面を表示すると、自動的にネットワーク上のメディアサーバーが一覧表示される。

 テストしたところ、Twonky Media Serverはもちろんのこと、DigiOnのDiXiM Media Server、Windows 7のWMP12、Panasonic DIGAなど、ほとんどのメディアサーバーが検出され、接続することが可能だった(後述するが接続できることとメディアが参照できることは別の話)。

 最後にプレーヤーを設定する。冒頭で紹介したように、Twonky Mobileはプレーヤー(DMP)としてもコントローラー(DMC)としても動作させることができる。このため、通常は自らでメディアを再生するプレーヤーとして利用するのが一般的だが、ネットワーク上にレンダラー(DMR)が存在する場合は、それを再生先に指定することもできる。

 レンダラーはDLNA1.5準拠の液晶テレビなど、現状は限られた製品にしか搭載されていない機能だが、身近なところではWindows 7のWindows Media Player 12(以下WMP12)が対応している。ネットワーク上にリモート制御を許可したWMP12が存在すれば、一覧に表示されるが、ない場合は「My Phone」を指定して端末自体をプレーヤーとして利用するといいだろう。

映像の再生はMP4のみ成功

 設定が完了すれば、実際にメディアを再生することができる。とりあえず、HPのMedia Smart Server EX490をサーバーとして、音楽、写真、映像を再生してみたところ、音楽と写真についてはまったく問題なく再生することができた。

 これなら、サーバー上に音楽や写真を保存しておいて、家ではネットワーク経由で再生するという使い方ができそうだ。

 映像に関しては、再生自体は問題はないものの、フォーマットには注意が必要となる。Twonky自体は、さまざまな形式に対応しており、MP4やMOV、MTS、TS、WMV、3GPPなど、さまざまなフォーマットの映像を公開できるのだが、このうちXperiaで再生できたのは3GPとMP4、WMVのみとなった。

 要するに、端末側が対応しているフォーマットしか再生できないことになる。Xperia場合、端末側が対応しているフォーマットが前述した3GPP、MP4、WMVのみとなっているため、これ以外の映像が再生できなかったことになる。

 ただし、再生可能なファイルに関しては、非常にスムーズに再生できるため、実用性は極めて高い。早送りなどの操作も快適なうえ、バー移動させることで再生位置も素早く指定できるため、ベッドにねっころがりながら映像を楽しむといった使い方もできるだろう。

 なお、サーバーとしてPanasonicのDIGAも利用してみたが、当然のことながらDTCP-IPに対応していないため、映像を再生することはできなかった。このあたりは、今後の進化に期待したいところだ。

音楽を再生。自宅にいるときはサーバー上の音楽を再生するという使い方ができる映像に関しては、端末が対応しているフォーマットでないと再生できない再生できない場合は「Unable to start Playback」と表示され再生操作が中断される
再生してしまえば非常に快適。映像はスムーズなうえ、トリックプレイの反応も良好

Beamでレンダラーに転送再生

 このように、Twonky Mobileを利用すれば、Andoroid端末を家庭内のメディアプレーヤーとして手軽に利用できるが、このほかコントローラーとしての使い方もなかなか面白い。

 ネットワーク上にレンダラーとして動作する機器が必要になるが(WMP12の場合はリモート制御を許可して起動しておく)、サーバー上に保存されているメディアを大画面のテレビやディスプレイで再生することができる。

WMP12をレンダラーとして利用する場合は、事前にリモート制御を許可しておくAndoroidの画面キャプチャを利用した動作の様子。左側がXperia上のTwonky Mobileで、右側がレンダラーとなるWMP12。Xperiaからレンダラーに再生を指示することで、ネットワーク上のメディアサーバーの映像がWMP12に表示される

 もちろん、DLNA対応テレビなどクライアント機能を搭載した製品であれば、Twonky Mobileを経由せずに直接メディアを再生することができる。このため、ネットワーク上にメディアサーバーが存在する場合は、リモコン的な使い方ができるに過ぎない。

 この点、Twonky Mobileは、Twonky Beamと呼ばれる機能によって、端末上のメディアをレンダラーに対して直接再生することが可能となっている。この機能は、端末自身をメディアサーバー兼コントローラーとして利用する場合に似ているが(その使い方も可能)、最大のポイントはメディアを公開設定することなく、端末からレンダラーにメディアを配信できる点にある。

 通常、スマートフォンなどの端末には、プライベートなデータがたくさん含まれている。中には人に見られたくない写真が保存されているという場合もあるだろう。このような場合、当然、端末自身をサーバーに設定すると、すべてのデータが丸見えになる(なので公開しないことを強くおすすめする)。

 これについても、Twonky Beamを利用すれば端末側をサーバーとして動作させることなく(厳密にはサーバーとして動作するが公開するファイルが配信するファイルのみに限られる)、端末上の写真や音楽、映像をレンダラーに配信することができる。

Twonky MobileをDMSとして利用する場合とTwonky Beamで配信する場合の違い

 つまり、端末上のたくさんの写真から、コレとコレというように、選んだものだけを再生できるわけだ。これは極めて実用性に富んだ機能だ。そもそもメディアの共有というのは、常にプライバシーが侵害される危険性と背中合わせになっているわけだが、この問題を上手く回避することができるわけだ。

 しかも、この機能は、Andoroid上の他のアプリケーションからも利用することができる。たとえば、Xperiaでは、メディアファイルの再生に「MediaScape」というアプリケーションを利用するが、ここで端末上のファイルを再生し、共有ボタンをタップすると、メールなどの従来の共有先に加えて「Twonky Beam」が表示される。これでテレビなどのレンダラーにメディアが再生されるわけだ。

 この機能はPC向けのアプリケーションとしても無償で提供されており、同社のサイトによるとPC版ではYoutubeのストリームなども同様にレンダラーに配信することができるようだが、今回試してAndoroid版のアプリではYoutubeアプリからも再生指示は可能なものの、WMP12側でうまく処理を受け取れないようで、この機能は利用できなかった。ストリームなども再生できれば、これはかなり面白い機能と言えそうだ。

Twonky Beamは、Andoroid上の他のアプリケーションからも利用可能。Xperiaの場合、メディア再生用ソフトの「MediaScape」から共有を選択することで、Twonky Beamを利用できる

端末間のメディアファイルの転送に活用する

 最後に、もう1つ面白い機能を紹介しておこう。Twonky Mobileでは、サーバー上のメディアを端末で再生するだけでなく、ダウンロードして保存する機能も搭載されている。

 たとえば、外出前にサーバー上の映像をダウンロードして、移動中に見るといった使い方ができるわけだ。

 これだけでも、結構便利ではあるのだが、この機能をAndoroid端末同士で利用すると、端末間でのメディアファイルの転送を無線LAN経由で行うことができる。

サーバー上のメディアを端末に保存することも可能。端末同士で利用すれば無線経由でのメディアのコピーができる保存したデータはメモリーカードの「twonkymedia」フォルダ配下に保存されるので、ファイルを参照できるアプリやPC接続で確認できる

 具体的には、2台の端末にTwonky Mobileをインストールし、片方をサーバーに設定後、もう片方をこのサーバーを参照するプレーヤーとして設定する。その後、参照したメディアの中からコピーしたいファイルをロングタップし、コピーを選択すれば、ネットワーク経由でファイルが転送されるというわけだ。

 もちろん、サーバーとして設定した時点でメディアファイルがすべて公開されるうえ、自分で撮影した映像や写真以外は著作権が関係するため、第三者との間で実行すべきではない。しかし、メディアファイルに限られるが、ケーブルレスで端末間のファイル転送ができるというのも、このアプリケーションの面白いところだ。無償でダウンロードできる間に、ぜひ入手しておくことをおすすめする。


関連情報

2010/11/16 06:00


清水 理史
製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるWindows 8.1/7 XPパソコンからの乗り換え&データ移行」ほか多数の著書がある。