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Windows 11のバックアップを、OneDriveから低コスト・大容量のUSB外付けストレージに移行する方法

フリーソフト「BunBackup」を利用した手順を解説

OneDriveのバックアップを停止し、外付けストレージへのバックアップに切り替えるにはいくつかの手順が必要

 Windows 11のバックアップ用ツールとして、標準で「Windowsバックアップ」というアプリがある。これはOneDriveへのバックアップを前提としているが、無料版のOneDriveを利用している場合、使える容量が5GBと少なく、大量のデータがある場合は実用的ではない。

 本稿ではOneDriveのバックアップを停止し、大容量の外付けストレージへのバックアップに切り替える、安定した方法を紹介する。

クラウド課金なしでバックアップしたい?

 OneDriveの無料枠となる5GBの容量は、データの転送や外出先での利用には十分だが、PCデータのバックアップに使うとなると、かなり物足りない。Windows 11でOneDriveのバックアップを有効化したものの、容量不足の表示が出て困っている人もいるのではないだろうか?

無料5GBの容量では、足りなくなっている人も少なくないはず

 かといって、バックアップなしで使うというのは、PCの故障や操作ミスなどを考えると、リスクが大きい。そこで検討したいのが、USB接続の外付けストレージ(HDDやSSD)を利用したバックアップだ。

 2025年12月時点では、SSDの価格が値上がりしているため、コスト的に有利かどうかは購入価格次第と言えるが、1TBのSSDで1万円~1万5000円で購入できる。同じく1TBの容量をクラウドストレージで確保しようとすると、月額2000円前後かかることを考えると、1年以上使い続ける想定なら、外付けストレージの方が安く済む計算になる。

USB外付けSSDMicrosoft 365 BasicMicrosoft 365 Personal
容量1TB100GB1TB
月額費用0円260円2130円
初期費用1万~1万5000円0円0円
備考Office利用可能

 もちろん、バックアップにおいて考えるべきことは、コストだけではない。データの信頼性も重要だ。その点、外付けストレージでのバックアップは、クラウドストレージと比べると信頼性が高いとは言えない。1つのストレージだけではデータの冗長性が確保できていない(メディアが破損したり盗難などに遭えばデータは失われてしまう)。また、長期の保管にも向いていない(USB SSDの寿命は5年前後)。

 OneDriveに限らず、多くの個人向けのクラウドサービスでは、ユーザーが保存したデータに対する保証・補償はない。そういう意味で、クラウドサービスの信頼性をどう捉えるべきかは難しくもあるが、大手サービス事業者のデータセンターに保存されることで、個人で管理する場合のような事故やメディアの寿命を心配する必要はなくなり、よほどのことがなければ消失することはないだろうと考えられる。

クラウドは「手間が省ける」メリットも大きい

 外付けストレージへのバックアップを行う場合は、使用するツール選びが悩ましい課題になる。Windows標準のバックアップツールとなる「ファイル履歴」や「バックアップと復元(Windows 7)」は、かなり古いものである上、既知の問題もあって推奨しにくい。

 本稿ではこの後でおすすめのツールを複数紹介するが、こうした点に悩みたくないのであれば、OneDriveの有料版の利用をおすすめする。特に、仕事で使うPCなら、OneDriveの料金は必要経費であると個人的には考える。

 趣味で使うPCや、使用頻度の低いPCなら、少々手間をかけてもコストを減らした方がいい、という判断もあるだろう。そのようなケースのために、以降、OneDriveのバックアップを無効化し、外付けストレージにバックアップする手順を紹介していく。

OneDriveのバックアップを無効化する

 まず、OneDriveによるバックアップが有効化されている場合は、これを無効化する。順を追って操作を説明しよう。

STEP1 ファイルオンデマンドを無効化する

 現行バージョンのOneDriveは、ファイルのオンデマンド(ファイルを開くときにダウンロードし、それまではリンクのみ保存する機能)が標準で有効になっている。このため、一部のファイルについては、そのリンクのみがPCに保存され、ファイル本体はクラウド上にあるというケースが考えられる。

 そのままOneDriveをオフにすると、クラウド上に一部のファイルが取り残され、ローカル側でバックアップができなくなるので、全てのファイルをPC上にダウンロードしておく必要がある。そのために、まずはファイルオンデマンドを無効化する。

 タスクトレイのOneDriveアイコンを右クリックして「設定」を表示し、「同期とバックアップ」画面の下にある「詳細設定」を展開し、「ファイルのオンデマンド」の項目で「すべてのファイルをダウンロードする」を選択する。

 有料版のOneDriveの場合、クラウド上に大量のデータが保存されている可能性があるため、この操作を実行する際は、PC側のストレージの空き容量に注意が必要だ。無料版のOneDriveの場合は、最大で5GBほどなので、全てダウンロードしても問題ないはずだ。

 ファイルがダウンロードされたかどうかはエクスプローラーで確認できる。左側の画面で「ユーザー名-個人用」と表示されているOneDriveのフォルダーを選択し、全てのフォルダーの「状態」が緑で塗りつぶされたチェックマークになっていることを確認しよう。

回転する矢印は同期中の状態。緑で塗りつぶされたチェックマークになればダウンロード完了となる

STEP2 OneDriveのバックアップを無効化する

 クラウド上のデータを全てダウンロードできたら、OneDriveのバックアップを無効化する。

 OneDriveの設定画面で「重要なPCフォルダーをOneDriveにバックアップする」の「バックアップを管理」をクリックし、「このPCのフォルダーをバックアップする」画面を表示する。

 「ドキュメント」「写真」「デスクトップ」など、バックアップ(同期)対象となっているフォルダーがオンになっているので、このスイッチをクリックしてオフにする。

 以前のOneDriveと異なり、最新のOneDriveはバックアップを無効化する際にファイルの保存先を選択できるようになった。「バックアップを停止してファイルの保存先を選択する」を選択し、「自分のPC上のみ」を選択しよう。これでOneDrive上のデータが削除され、PC上にのみファイルが保存されるようになる。

「自分のPC上のみ」を選択すると、OneDrive上からPC上にデータが移動される

 例えば、「ドキュメント」フォルダーの場合、OneDrive上の「ドキュメント」フォルダー(c:¥Users¥ユーザー名¥OneDrive¥Documents)がなくなり、以前のファイルは全て「c:¥Users¥ユーザー名¥Documents」に自動的に移動される。

 つまり、「OneDriveからのファイルの削除」も同時に実行されることになり、OneDrive上の空き容量が一気に拡大する。

 なお、「OneDrive内のみ」を選択すると、既存のデータが「c:¥Users¥ユーザー名¥OneDrive」配下(c:¥Users¥ユーザー名¥OneDrive¥Documentsなど)に残り、「c:¥Users¥ユーザー名¥Documents」は空のフォルダーとして構成される。

 同期対象となる全てのフォルダーで、この操作を実行しておこう。

左下の容量に注目。OneDriveの空き容量も増える

バックアップツールは何を選ぶ?

 ここまでの操作でOneDriveのバックアップを無効化できたら、あとはPCにストレージを接続してファイルをバックアップするだけだ。が、肝心なのは、バックアップツールとして何を利用するかだ。

 Windowsに古くから搭載されてきた「ファイル履歴」や「バックアップと復元(Windows 7)」は、先述したように、現状のWindows 11では利用を推奨しにくい。OneDriveによるバックアップをすでに利用していたケースでは、ファイル履歴など古いバックアップツールで、ファイルのバックアップ漏れが発生しやすいためだ。

ファイル履歴などでよく起こる不具合の例。デスクトップに2つのファイルがあるが、test2.txtしかバックアップされておらず、test1.txtが見当たらず、復元できない

 この問題に関しては、筆者も原因を完全に特定できていない。ただ、OneDriveのファイルのオンデマンドが有効になっているケースで、上記STEP1~2のようにバックアップを無効化すると、高確率でバックアップ漏れが発生するようだ。おそらく、ファイルの情報(NTFSのリパースポイント)が変化したことで、「ファイル履歴」のような古いツールで、この情報を正常に読み取れず、ファイルを認識できなくなる(バックアップ対象から外されてしまう)と考えられる。

 「ファイル履歴」や「バックアップと復元(Windows 7)」は、コントロールパネルから起動する必要があるなど、すでに推奨のツールではなくなっている(基本的には古いデータの復元用として残っている)。これらのツールを使うと、環境によっては、重要なファイルのバックアップ漏れが発生する可能性がある。

 ということで、別の選択肢が必要となる。もちろん市販のバックアップソフトを利用してもかまわないが、無料にこだわるなら、以下のようなツールが候補になる。

Windows標準ツール

 実績も高く、転送速度も高速なのは「Robocopy」を利用する方法だ。ただし、コマンドラインでの操作が必要で、定期的な実行もタスクスケジューラーを併用する必要があるため難易度が高い。

サーバー管理などでも使われる信頼性の高いツール「Robocopy」

オープンソースのバックアップツール

 「Kopia」や「Duplicati」など、オープンソースで開発が進められているバックアップツールを利用することも可能だ。前述した2製品は、無料かつ、GUIでも利用できるが、設定や操作に慣れが必要でハードルは高い。

オープンソースで開発が進められているツールもあるが、若干ハードルが高い

フリーソフト

 操作も簡単で、実績も高いフリーソフトは有力な選択肢となる。「BunBackup」などは、最近(2025年9月21日)にバージョン6.12に更新されるなど、地道に更新も続けられている。

実績のあるフリーソフトは有力なバックアップ手段のひとつ

 それぞれ課題はあるものの、筆者の手元の環境で検証したところ、いずれも「ファイル履歴」で対象外となったファイルもきちんと認識しバックアップできることを確認できた。ただ、万人向けということであれば、個人的には「BunBackup」をおすすめする。機能も豊富で、コピーも高速で、利用実績も多い。

BunBackupでバックアップを実行する

 それでは、例としてBunBackupを使って外付けストレージにデータをバックアップする方法を見てみよう。先ほどのOneDriveのバックアップ無効化に続いての手順となる。

STEP3 BunBackupをインストールする

 ソフトウェアは、以下のいずれかのサイトからダウンロードできる。今回はZIP版をダウンロードし、手動で展開したファイルを実行する方法で利用したが、インストーラー版も用意されるので、通常はこちらを利用するといいだろう。

STEP4 ウィザードで設定を行う

 BunBackupは初回起動時にウィザードが起動するので、これを利用して設定するのがもっとも簡単だ。バックアップ対象のフォルダーとして、「ドキュメント」や「ピクチャ」などを選択し、バックアップ先としてPCに接続した外付けストレージの任意のフォルダーを指定すればいい。最後に設定のチェックを実行し、設定を保存すれば完了だ。

初期設定時のウィザードを使うと簡単に主要なフォルダーをバックアップできる
バックアップ先として外付けストレージを指定する

STEP5 バックアップを実行する

 ウィザードで設定したバックアップを実行するには、「バックアップ」メニューから「バックアップ開始」を選択するか、F9キーを押す。これで、登録したジョブがまとめて実行される。ファイルのコピーはかなり速い印象だ。

設定した各フォルダーのデータが外付けストレージにコピーされる

STEP6 バックアップの内容を確認する

 バックアップが完了したら、外付けストレージにコピーされたファイルを確認しておく。エクスプローラーで「Backup」などバックアップ先として指定したフォルダーにファイルが保存されていれば安心だ。

バックアップ完了
バックアップ先の外付けストレージを開いて、ファイルが存在することを確認

 さらに凝った設定が必要な場合は、前述したBunBackupの公式サイトを参照してほしい。設定方法などが丁寧に解説されているうえ、開発者を応援するためにBunBackupの解説書を有料で購入することもできる。

 個人的には、「世代管理」と「自動バックアップ」は有効にして、必要に応じて設定しておくことをおすすめしたいが、ストレージの容量やPCのパフォーマンスにも影響するので、ニーズに応じて設定するといいだろう。最低でも1回は上記のバックアップを実行し、あとは月に1度など定期的に、あるいは気付いたときにバックアップを実行することをおすすめする。

一定時間おきなどに自動的にバックアップすることも可能
世代管理を利用すると、間違って編集してしまったファイルなども戻せる

面倒だがやっておいて損はない

 以上、なるべく費用をかけずにWindowsのバックアップを実行する方法を解説した。OneDriveによるバックアップに比べると、手間はかかるが、やっておいて損はないので、最低でも月に1回、できれば毎日データをバックアップしておくと安心だ。

 クラウドにせよ、ローカルにせよ、写真などかけがえのないデータが「1カ所にしか保存されていない」という状況を避けることが重要だ。最も原始的な方法としては、手動で外付けストレージにコピーするだけでもいいので、万が一に備えた、もう1つのデータのコピーを確保しておこう。