テレワークグッズ・ミニレビュー

第149回

フリーアドレスで文房具がなくて困った!! そんな時に役立つ手のひらサイズのマルチツールを集めてみた

5種類の小さいマルチツールを比較してみた

 フリーアドレスになって困ることの1つに「文房具を使いたいのにどこに置いてあるか分からない」というのがある。以前であればハサミやカッター、クリップなどがひと通りが自分のデスクにあったが、フリーアドレスになってからは共用のものを使うことになった。ただ、これがいざ使おうとしても誰かが持っていってしまっているのか、なくて困ることも。

 また、仕事柄、PCやNASを開けて撮影するなどで、ドライバーなどの工具が必要な時もある。以前は技術部の席に行って借りていたが、今では技術部のスタッフがどこにいるのか、出社しているのかも分からず、ネジの1本が外せないために作業が滞ることもある。

 というわけで今回掘り下げるのが携帯工具、マルチツールだ。文房具や仕事で必要な道具として使えて、しかもペンケースに入る小さなマルチツールを見つけたい。

マルチツールにはハサミが欲しい!!

 10年以上前に紛失してしまったが、以前はビクトリノックスのクラシックSDというコンパクトなタイプを愛用していた。機能としては小さいハサミとナイフとヤスリぐらいでシンプルなものだったが、それでも活躍する機会は多く、中でも一番活用したのがハサミだった。

ビクトリノックスのクラシックSD。とても小さなハサミだが、これに助けられたことはかなり多い

 たとえば出張中、急に気温が下がって出先のユニクロなどで上着を買ったものの、タグを切ってもらうのを忘れたとか、気がついたら服の糸がほつれていたとか、小さいながらもハサミがあると役立つ機会は多い。

 そんな経験もあって、マルチツールを選ぶならハサミ付きがいい、と思っている。

 一方であまり多機能で大きく重いものは避けたい。アウトドアではないので、のこぎりもワインオープナーもいらない。出社時に重くならないコンパクトで軽いものがいい。

 そして実は数年前から新たなマルチツールを使っているのだが、これがフリーアドレスで結構活躍しているし、今さらながら紹介したいと思ったわけだ。ただ、他にも仕事で使えそうな小さなマルチツールはあって、今回いろいろと買ってみたのでまとめて紹介したい。仕事の内容によって必要な機能も変わってくると思うので、好みのものを見つける一助になれば幸いだ。

ハサミもペンチもかなり使えるNexTool Mini Flagship

 まず最初に紹介するのは、筆者が数年前から使っているNexTool Mini Flagshipだ。記事執筆時点でのAmazonでの価格は3799円。NexToolは他にもたくさんのマルチツールを出していて、どれも評価は高く安心できるブランドだ。見た目がそっくりでサイズ違いもあるので、購入時は注意してほしい。

NexTool Mini Flagship。数年使っているのでちょっと汚れている

 結論から言えば、こんな企画をやろうと思ってしまうぐらい、満足度の高い製品だった。かつてビクトリノックスにそっくりな安物を買ったらあまりの出来の悪さに驚いたことがあるが、この製品はそんなことはみじんもない。作りもしっかりしているし、金属のバリなどもなくて、ちゃんと作り込まれていて、工具マニアの筆者からしても十分所有欲が満たされるよい品だ。

 折りたたんだ時のサイズは62×26×16mm。手のひらにすっぽり収まるコンパクトさ。重さは実測で79g。その中に10の機能があるとのこと。説明によれば、ハサミ、ペンチ、ナイフ、缶切り、栓抜き、のこぎり、ヤスリ、プラスドライバー、マイナスドライバー、キーリング……。

 ん? のこぎりなんてないと思うが、ペンチの根本にワイヤーカッターもあるし、10の機能というのは間違いではないだろう。

全部で10の機能があるとのことだが……
折りたたんだ時のサイズは62×26×16mm

 まぁ10種類も機能があったところで、今まで缶切りも栓抜きも使ったことはない。そもそも普段の生活で缶切りも栓抜きもほぼ使うことがないので、なくても問題ないと思う。

 プラスドライバーは一度だけこれで急場をしのげたことがある。ただ、ちゃんとした十字にはなっていないので、ネジの頭を潰しかねないし、これも本当に非常用だ。マイナスドライバーはこじるのに役立つことがあるかも。ヤスリは使えなくはないがあまり目が立っていないので、それほど削れない。

プラスドライバーはあくまで緊急用
ヤスリもあまり役だったことがない

 他の機能はさておき、このツールでとにかく使えるのは、ハサミ、ナイフ、ペンチだ。正直この製品の魅力はこの3つで9割と言ってもいいだろう。

 ハサミは小ぶりではあるが大人の手でも持ちやすい形状で、刃も一度に2cmぐらい切れる大きさがある。紙などはもちろんタイラップなども切れるし、十分に実用的だ。

ハサミ、大人の手でも使いやすいサイズでタイラップなども簡単に切れる

 ナイフは、めちゃくちゃよく切れる、とまでは言わないがけっこうちゃんと切れる。例えば段ボールの開梱や荷造りひも(PPバンド)などを切るのにも十分使える。刃渡りは4.3cmほどと小ぶりで、カッターの代わりとしても十分、刃物に不慣れな人でも扱いやすい、ちょうどいいサイズだ。

ナイフ、段ボールやビニール袋などもよく切れる

 そしてペンチ。こちらもハサミと同様に握りやすく使いやすい。刃先がかなり薄くて、ペンチというよりラジオペンチのような感じだが、ここまで先の細いラジオペンチを筆者は持っていないので、普通に精密ラジオペンチのように活躍している。根本部分はワイヤーカッターになっているので細めのワイヤーなら切ることも可能だ。

ペンチとしては小さいが、細かい作業はむしろしやすい

 例えばPCやNASをバラすのなら、ちゃんとしたドライバーが欲しくなるが、とりあえずこのネジが外れれば、といったシーンではちゃんと使える。持ってて良かったと思えるマルチツールだ。

ハサミの使いやすさにこだわりを感じるNexTool Mini Sailor Scissor

 続いて紹介するのは、同じNexToolのMini Sailor Scissorだ。記事執筆時点でのAmazonでの価格は3599円。説明によればこれはなんと11種類の機能があるらしい。

NexTool Mini Sailor Scissor

 あくまでAmazonの製品ページによるが、ペンチ、ラジオペンチ、標準ペンチ、ワイヤーループペンチ、蓋開け、栓抜き、マイナスドライバー、プラスドライバー、ハサミ、ナイフ、キーリング、カード取り外し針の機能があるとのこと。

全部で11の機能があるとのこと

 この説明だと3種類のペンチが付いているように見えるが、実際にはかなり小さいペンチが1つ付いているだけだ。そもそも標準ペンチとペンチの違いが筆者には不明だ。しかもこの説明だとヤスリが忘れられている。まぁ説明は残念だが、モノとしてはこちらも悪くない。

ペンチはかなり小さい

 まず折りたたんだ時の本体サイズは67.2×25.3×15.5mm。重量は実測で87g。先に紹介したMini Flagshipとおおむね同じぐらいのサイズ感だが、Mini Flagshipがデコボコしているのに対してほぼ直方体のような形になる。どちらがいいかは好みだろうが、メカメカしいMini Flagshipに対して、シンプルなMini Sailor Scissorで、職場でデスクに置いてあっても物々しさがないのがいい。

折りたたんだ時のサイズは67.2×25.3×15.5mm

 製品名からも分かるとおり、この製品の一番の推しはシザー、つまりハサミだ。ハサミ以外はおまけで、折りたたみ式ハサミの柄にその他もろもろを詰め込んだような製品だ。

 ハサミはそれなりの大きさで、刃の長さは28mmぐらい。ヒンジもしっかりしていて刃の合わせもいいので、ティッシュペーパーのような薄いものからタイラップのような硬いものまで難なく切れる。

かなり使い勝手のいいハサミ。普通に常用できる

 ハサミだけでなくて、ナイフもちゃんとしていて、段ボールぐらいはサクサク切れる。

ナイフもちゃんと使えるしよく切れる

 それともうひとつ、筆者イチ押しの機能が、カード取り外し針。なんのことかというと、SIMカードの取り外し(SIMカードスロットの取り出し)に使えるピンだ。以前海外出張で現地のSIMを買ったとき、これで困ったことがある身としては、、「こんなのが欲しかったー」とアガる機能だ。ただし海外に持っていくなら、機内持ち込みができない点は注意してほしい。

 これはSIM以外でもリセットホールなどを押すのにも使えそうだ。以前国内出張中にPCが起動しなくなったことがあったのだが、筆者の使っているThinkPadは裏面にリセットスイッチがあって、それで問題が解決する場合がある。ただ、出張中でそのリセットホールを押せるものがない。ボールペンなどでは太くて入らず、クリップなどがよいのだが、出張中で持っていないから、コンビニを探してクリップを一箱買って……、といったことがあった。あのときにこれを持っていたら、無駄な時間とお金を使わずに済んだ。

カード取り外し針
SIMを抜くのに使える、これは便利!!
ノートPCのリセットホールにも使えた!

 ペンチはというと、かなり小さくて筆者には使いどころが思いつかない。そのほか、プラスドライバー、マイナスドライバー、栓抜き、ヤスリも、まぁあってよかったと思うときが来るかもしれない……ぐらいで、そこまで積極的に使うシーンはなさそうだ。

プラスドライバーは残念な仕様
ヤスリ、大きさはあるが目はそんなに立っていないので使いどころは限られそう

 Mini Flagshipと比べると、ペンチが弱くなった分、ハサミが少し性能アップして、それとSIMカード外し用のピンが付いた、というところ。筆者の場合はペンチを使う機会もそれなりにあるが、一般的にはペンチよりピンが役立つ機会のほうが多そうだ。Mini Flagshipの缶切りを無くして代わりにピンにしてくれればサイコーなのにと思ってしまう。

シンプルな見た目ながら完成度の高いROXON M3

 続いて紹介するのはROXON M3。購入時のAmazonでの価格は2999円だったが、記事執筆時点では9000円を超えている。どうやら在庫が切れている状態のようなので、しばらく待てばまた2999円に戻るんじゃないかと思う。

ROXON M3

 こちらもハサミがメインのツールだ。Amazonの製品ページの説明だとハサミ、ナイフ、ボックスオープナー、缶切り、栓抜き、爪やすり、つまようじ、ピンセット、プラスドライバー(PH2)、プラスドライバー(小)、マイナスドライバー(小)、キリ+糸通しの13の機能があるとのこと。

全部で13の機能があるとのこと

 プラスドライバーは小さめに見えるがちゃんとPH2らしい。また小と表記のあるのは精密ドライバーで、おそらくプラスがPH00かPH000といったところ、マイナスは実測で先端の幅が1.5mmだった。

プラスドライバーはもっとも一般的なPH2。ちゃんと使える
精密ドライバーは本体に内蔵されている
本体に挿して使う

 加えて、この製品には9種類のビットと、それらをまとめて収納できるケースが付属する。ビットの種類は、プラスドライバーがPH000、PH0、PH2、マイナスが2.0、六角の3mmと4mm、トルクスのT6、T8、T10。本体のプラスドライバーの先にアダプターをつけて、その先にビットをつけて使う形になる。ただ、アダプターのガタも大きい上にビットもあまり精度の高いものではない印象で、正直これはあまり使う気にはなれない。

ROXONのM3(後述のM2も)にはビットとケースが付属する
本体のドライバーにアダプターをつけてビットを装着できる

 折りたたみ時のサイズは70×24×16mm。NexTool Mini Sailor Scissorと胴回りはほぼ同じで、長辺が3mmほど長くなったぐらい。重さは本体のみが80g、ケースとビットを含めると125.3g。そして面白いのは、畳んだ時にフレームの縁が内側に向くような設計になっている点。他のツールは横から見たときにミルフィーユ状に横からツールが見える形になるが、この製品はそれが内側に入るので、見た目がスッキリしていて、工具の無骨さがうまく隠されている。

折りたたんだ時のサイズは70×24×16mm

 その閉じた状態から180°開くと、内側から刃が出てきてハサミになる。ハサミは一度に切れるのが最大27mmほどで、実用性は十分。そして開いた片方の柄の内側に、ナイフ、PH2のドライバー、ボックスオープナー、糸通しなどが収まっている。

ハサミ。大きさも十分で切れ味もいい

 さらによくできているのが、これら内側のツールは、引き出したところでロックされる構造になっている。こうした折りたたみツールだと、強い力で作業したときに意図せず折りたたまれてしまうことがあるが、ロックされているので、そういった心配が少ない。しかもツールを出した後、再び折りたたむと、本体部分が柄になるので、全ての工具が、ちゃんと使いやすい。こうしたマルチツールだと、使いやすさは二の次にされることが多いが、ROXON M3はその点が非常によくできている。

ナイフはロックされるし柄の部分も持ちやすくて使いやすい
折りたたむ時は側面にあるロック解除レバーをスライドさせる

 ナイフは、NexToolの2製品に比べるとやや切れ味が甘い。おそらく安全性も考慮してのことだろうし、気になるようなら研げばいいだろう。

 PH2のドライバーはちゃんとしている。NexToolのドライバーはおまけのようなものだったが、ROXONのドライバーはちゃんと使えそうだ。そしてここに付属のビットを取り付けることで六角レンチなども使うことができる。

プラスドライバー、精度はやや低いがちゃんと使える
付属のビットをつけたところ。アダプターが外れやすくて少し使いづらい

 そして特に気に入ったのがボックスオープナーだ。これは缶切りの刃の部分を鋭くしただけのものだが、段ボールの開梱でテープを切るのに便利だ。ナイフだと力加減を失敗すると、切りすぎて中のものを傷つける可能性があるが、ボックスオープナーは、引っかけて裂くイメージなので、深く切りすぎる可能性も低いし、それでいてテープだけはしっかりと切ることができる。レビュー用製品を開梱することが多い筆者にとって、これはかなり便利で気に入っている

ボックスオープナー。缶切りの先を鋭くしただけだがこれが便利
切れすぎないので、テープの部分だけを切ることができる

 もう片方の柄には、爪楊枝やピンセット、精密ドライバーが収納されている。爪楊枝やピンセットはビクトリノックスを彷彿とさせるが、まぁ使う機会は少ないだろう。爪ヤスリは、ヤスリとしてはちゃんとしたものが付いている。ただしサイズが小さいので、本当に爪を削るぐらいしか使い道はなさそうだ。

ピンセット、爪楊枝、精密ドライバーは引き出して使う

 前の2製品と比べるとペンチもなく、機能的にはやや少ない。ただ、その機能はどれもけっこうちゃんと使いやすくなっているのが特徴。ドライバーやナイフもロックされるし、柄の部分もちゃんとするので、マルチツールにありがちな、多機能ゆえの使いにくさといった部分がとても少ない。一般的なデスクワークだとペンチが必要な機会はほぼないだろう。ハサミ、ナイフ、ボックスオープナー、PH2のプラスドライバーがあれば十分だと思うので、オススメしやすい製品だと思う。

ペンチをガッツリ使いたいならROXON M2

 同じくROXONのM2を紹介したい。こちらも筆者が購入したときの価格は4799円だったが、今は上がっている。こちらもそのうち戻るんじゃないかと思う。

ROXON M2

 こちらもミニサイズではあるが、今回紹介する中では一番サイズも大きく、70×29×17mm。重さは本体のみで121.8g、付属のケースとビットを含めると166.7gとなる。

折りたたんだ時のサイズは70×29×17mm

 ROXON M3が開くとハサミが出てきたのに対してこちらはペンチが出てくる。NexTool Mini Flagshipもしっかりとしたペンチが付いていたが、比べるとこちらのほうがさらに本格的なペンチで、根本にはワイヤーカッターも付いている。

かなりしっかりとしたペンチ。根本もワイヤーカッターも幅があってある程度太い線も切れそうだ

 開いてペンチになった状態から、さらに柄の部分を開くとハサミが出てくる。ハサミの刃は27mmほどなので、こちらも実用的。

ペンチの柄の部分にハサミが入っている
ハサミの状態。手の小さい人には少し持ちにくいかも

 Amazonの説明だと、ペンチの先端のほうがニードルノーズプライヤー、真ん中がレギュラープライヤー、根本がワイヤーカッター、そしてハサミ、ナイフ、キリ、缶切り、栓抜き、ボックスオープナー、精密マイナスドライバー、プラスドライバー、窓ガラスブレイカー、爪ヤスリ、ネイルクリーナーの14機能。窓ガラスブレイカーというのは、車内に閉じ込められたときにサイドウインドウを割るためのもの。ネイルクリーナーというのはちょっとよく分からない。

全部で14の機能があるとのこと

 こちらもROXON M3と同様に9種のビットとケースが付属する。ビットの構成も同じ。

 それと本体内蔵のプラスドライバーは、M3のものより細くて、PH1なのかもしれない。試しにノートPCの裏のPH1が合う小ネジを緩めてみたが、緩めることができた。ただ、あまり精度が高くなくて多用したいとは思えない。また、ドライバー部が細いせいか、付属のビットを使うためのアダプターを装着したときの遊びが、前出のM3よりも大きい印象。製造誤差の可能性もあるが。

ドライバー比較。左がM2、右がM3。M2のほうが先端のドライバー部分が細くなっている

 この製品はとにかくペンチを多用する、ワイヤーをよったり切ったりするような仕事が多い人にオススメだ。ハサミも実用的だが、柄の部分がやけに大きくなるので、多機能ゆえの使いにくさはあると思う。

 それとナイフについては、開いたところでロックする機能があるので、ちゃんと使えると思う。あと段ボール箱などを開梱するボックスオープナーもやはりお気に入りだ。

ナイフ、開いたところでロックされるようになっている
ボックスオープナー、M2と同様かなり便利!!

 ドライバーがPH1(だと思われる)のは少し残念だ。キリとか缶切りを無くしてもいいからPH2も入れて欲しかった。PH1とPH2がそろえば完璧だったろう。それと精密のマイナスドライバーの代わりにSIM外し用ピンだったら文句無しだった。

精密マイナスドライバー。これよりSIMが外せるピンがほしい

機能もサイズもミニマム、定番のビクトリノックス クラシックSD

 最後にやっぱり欲しくなって買ってしまったのがビクトリノックスのクラシックSDだ。Amazonでの販売価格は2750円。以前使っていたものは10年以上前に紛失しているので、現物を見るのは久しぶり。

ビクトリノックス クラシックSD

 届いてみると、思わず「小さっ」と声が出てしまった。他のツールもミニサイズで小さく感じていたが、それより二回りも三回りも小さい。記憶だともう少し大きかった印象があるが。折りたたみ時のサイズは58×18×9mm。重さも軽くて実測でわずか21.2g。

折りたたみ時のサイズは58×18×9mm

 機能もミニマムだ。かなり小さいハサミに、ナイフ、爪ヤスリ、マイナスドライバー(小)。あとは爪楊枝、ピンセット、キーリング。爪楊枝とピンセットはROXON M3と同じだが、こちらのほうが元祖だろう。ただ、長年愛用していたが、爪楊枝は一度も使ったことがないし、ピンセットも役だった記憶はない。マイナスドライバーはなにかをこじ開けるのに使ったことがある気がする。それでもこれに愛着があったのはハサミとナイフだ。

全部で7つの機能があるという

 前職では自動車雑誌の編集者だったので、屋外での撮影というのが多かった。送ってもらった新製品を現地で段ボールから出して撮影、といったことも多かったので、小さくてもいいのでちゃんと切れるナイフがあるのは重要だった。ちなみに今回テストした中でビクトリノックスのナイフが一番切れ味がよかった。

ナイフ。刀身が薄くハードに使うのには向かないが、切れ味は一番よかった

 ハサミも、かなりちっぽけなものだが、これに助けられた機会は多い。大きく切るときにはナイフが使えるので、むしろこの小ささが便利なこともある。ほつれた糸を切るときやタグを切るときなどは、この小ささが使い勝手がいい。

ハサミ。かなり小さく事務作業で使うのには力不足だが、それでもあるとないとでは大違い

 実のところ、もっと多機能でよくできたマルチツールの噛ませ犬程度に考えていたのだが、手にするとこのミニマムなのはそれはそれでやっぱりいいなという気がしてくる。

全モデルの大きさを比べてみた。ビクトリノックスの小ささが際立つ

使い方に合わせて選んでほしい

 というわけで5製品を見てきたが、いかがだったろう。なかなかどれも一長一短でこれがオススメと決められないというのが本音だ。これまで全くこういったツールを使ったことがないなら、まずはミニマムにビクトリノックスから始めてみてもいい気がするが、実用面ではハサミの大きいROXON M3を選んでもいい気もする。

 個人的にはこれまで使ってきたNexTool Mini Flagshipが満足度が高かったので、気に入ってはいるが、NexTool Mini Sailor ScissorのSIM用のピンはかなりうらやましい。

 ROXON M2はやはりペンチの利用頻度が高い人向きだろう。といってもそういう仕事の人だと使い慣れたペンチがあるだろうし、なかなか限定的な気はする。

 ニーズや好みはそれぞれだと思うので、ご自身の仕事にちょうどいいツールを選んでいただければ幸いだ。

INTERNET Watch編集部員やライター陣が、実際に使ってオススメできると思ったテレワークグッズをリレー形式で紹介していく「テレワークグッズ・ミニレビュー」。もし今テレワークに困りごとを抱えているなら、解決するグッズが見つかるかも!? バックナンバーもぜひお楽しみください。