記事検索
バックナンバー

第434回:標準+大容量のリリーフで最大10時間起動
WiMAXモバイルルーター「URoad-9000」


 シンセイコーポレーション製のWiMAX対応モバイルルーター「URoad-9000(BIC WiMAX SERVICE向け)」が新たに登場した。標準+大容量の2つのバッテリーによって長時間駆動を実現する製品だ。その実力を検証してみた。

ユーザーにうれしい思い切りの良さ

 なるほど。バッテリーが2つあるというのは何かと便利だ。シンセイコーポレーションのWiMAX対応モバイルルーター「URoad-9000」を実際に使ってみると、そう実感させられる。

BIC WiMAX SERVICE向けのモバイルルーター「URoad-9000(シンセイコーポレーション製)」

 バッテリーが2つあるおかげで交換しながら長時間の利用もできるし、片方の充電中でももう片方のバッテリーで利用できるため、電池切れで使えない時間も最小限にとどめることができる。

 単独のバッテリー駆動時間なら、現状はNECアクセステクニカのAterm WM3500Rが頭1つ抜けている印象だが、残念ながらWM3500Rはバッテリーが固定となる。

 そういえば、WM3500Rの1つ前の機種となるWM3300Rは交換用のバッテリーが別売りで提供されていたが、URoad-9000では、1350mAhの標準バッテリーと2700mAhの大容量バッテリーの2つのバッテリーが標準で同梱されている。この思い切りの良さは、高く評価したいところだ。

 現状、BIC WiMAX SERVICE向けの製品となっているため、利用できるサービスが限られているが、非常に魅力的な製品と言えるだろう。

製品には本体と標準と大容量のバッテリー2つ、それぞれのバッテリー用のカバー、充電器が付属。このほか、コンセント用とPC接続用のUSBケーブルも同梱される

円形のユニークなボディ

 さて、本製品の最大の注目点はやはりバッテリー関連だが、その前に基本的な部分について見ていこう。

 まずは、外観だが、円筒形のユニークな形状が非常に印象的だ。その形状から、「掃除ロボット」に例える声もよく聞かれるが、確かにデスクの上に無造作に置いておくと、周そのまま動き出しそうな雰囲気さえ持っている。

 サイズは幅80×奥行き80×高さ18mm(大容量バッテリー時は高さ24.5mm)で、重量は102g(大容量バッテリー時140g)と、サイズとしてはさほど小さくない。鞄に入れて持ち歩くには十分なサイズだが、ポケットに入れる場合は比較的大きいところを選んで入れる必要がありそうだ。

標準バッテリー搭載時
大容量バッテリー搭載時
大容量バッテリー搭載時は本体からはみ出すため、専用カバーに交換する必要がある

 特に大容量バッテリー装着時は、厚くなったバッテリーを保護するために、底面のカバーを専用のものに交換する必要がり、かなり高さが上がってしまう。この状態の場合、ポケットに入れると、かなり違和感があるので、鞄での持ち歩きが前提になるだろう。

 表示部に関しては、周囲に4つのLEDランプが配置されており、起動時や動作時に点滅するようになっているうえ、中央にディスプレイが搭載されており、ここに電波レベルや充電レベル、日時などの情報が表示されるようになっている。

 もちろん、動作中は、バッテリー節約のために表示がオフになるが、ディスプレイ下にある「POWER」ボタンや「WPS」ボタンを押すと、再びディスプレイが点灯し情報を確認可能だ。

 インターフェイスについては、側面に充電用のマイクロUSB端子が用意されている。本製品には、バッテリーを単独で充電するための充電器も付属しているが、この端子を利用して本体のバッテリーを充電することも可能だ。

本体のディスプレイで電波レベルや電池残量などを確認可能

3時間+7時間の稼働を確認

 気になる実際の稼働時間だが、これはカタログスペック通りと考えて差し支えないだろう。

 本製品に無線LANで接続したPCから、インターネット上のサイトに対してPINGとHTTP GETを一定時間おきに繰り返すテストを実施してみたところ、標準バッテリーは8:00〜11:13までの3時間13分、大容量バッテリーは12:00〜18:53までの6時間53分、合計10時間6分の稼働を確認できた。

 テスト環境によって若干の違いはあると思われるが、実働で10時間の利用は間違いなく可能と考えて差し支えない。

 ただ、2つのバッテリーということなら、標準+大容量で10時間はなく、思い切って大容量×2で半日、としてしまった方がよかったのではないかとも思える。

 ちなみに、バッテリーを交換する場合は底面のカバーも交換することになるが、バッテリーは底面にある固定用ツメによって外れないように工夫されているため、標準バッテリー+大容量バッテリー用カバーという組み合わせで利用することも不可能ではない。

標準バッテリー(1350mAh)では3時間13分、大容量バッテリー(2700mAh)では6時間53分の実働を確認できた

 サイズが大きくなってしまうのがデメリットだが、バッテリーを交換して利用する場合は大容量バッテリー用カバーを常に装着しておく方が楽だろう。

 なお、充電に関しては、三洋電機のeneloopモバイルブースターなどにも対応している。また、実際に試した限りでは、稼働中の充電も可能なようだ。空になったバッテリーを装着し、PCにUSB接続して利用してみたところ、ディスプレイのバッテリー表示が充電中を示す点滅表示に切り替わった。そのまましばらく接続したままにしておいたところ、時間はかかるものの、空のバッテリーが充電されたことも確認できた。これなら、外出先などでバッテリー切れになったときでも心強い。

 ちなみに、バッテリーを取り外し、USBケーブルを接続しただけの状態でも電源をオンにすることはできるが、常用は不可能だ。USB給電のみでも、1分程度は利用可能だが、その後、電源が自動的に切れたり、動作が不安定になってしまった。バッテリーレスでの利用はできないと考えた方がいいだろう。

側面のUSB端子で本体の充電が可能。eneloopモバイルブースターなども利用可能

豊富な機能を搭載

 パフォーマンスについても不満はない。筆者宅の環境で、インターネット上の速度測定サイトを利用して計測してみたところ、下り14.96Mbps、上り4.696Mbpsを確認した。

 製品としての性能ももちろんだが、WiMAXのパフォーマンスはやはり高い。エリアによっては、まだ安定しないところもあるが、だいぶ普通に使えるようになってきた印象だ。

ベンチマークの結果(クライアントにはThinkPad X200を使用)

 無線LAN側に関しては、スペック上はIEEE802.11b/g/n対応となっているが、11nに関しては、動作を見る限り、MIMOなしの20MHz幅で接続されているようだ。手元のPC(ThinkPad X200/Intel 5300AGN)で接続した際のリンク速度は72Mbpsとなっており、URoad-9000の設定画面でも接続状態の「BW(BandWidth)」の値が20のままとなっていた。

 WiMAXの速度が最大40Mbpsなので、別段問題はないのだが、11n対応と言っても速度は限られると考えた方がよさそうだ。

 なお、無線LANルーターとしての機能はなかなか豊富で、SSIDを2つ設定できるようになっていたり(通信の遮断機能はない)、DynamicDNSに対応するなど、豊富な機能を備えている。

 SSIDは、標準では「URoad-[MACADDR]」と「URoadWPS-[MACADDR]」という2つが設定されており、前者が手動接続用、後者がWPS用となっている。WPSに関してはWindows 7から問題なく接続できることを確認できた。一方、手動接続用の暗号キーは本体底面のカバーを開けた中に記載されており、これをクライアント側に入力することで接続が可能だ。

 暗号化の設定は、手動用の「URoad-[MACADDR]」がWPA-PSK(TKIP/AES)となっており、「URoadWPS-[MACADDR]」がWPA2-PSK(AES)となっていた。もちろん、WEPの設定も可能なので、必要に応じて変更しておくといいだろう。

 また、端末間通信については、設定画面に特に項目が用意されていなかったが、テストしてみたところ、同一SSID間では通信許可、異なるSSID間では通信遮断となっていた。友人などと共有する場合は、自分が接続するSSIDと第三者に提供するSSIDを別にして利用するといいだろう。

SSIDは2つ利用可能。それぞれ個別の暗号化方式を設定できる。異なるSSID間の通信は遮断される仕様

柔軟な使い方をしたい人向け

 以上、BIC WiMAX SERVICE向けのシンセイコーポレーション製モバイルルーター「URoad-9000」を実際に使ってみたが、本製品の最大の魅力は、さまざまな方法での長時間運用ができる点に尽きる。

 大容量バッテリーで単独で利用しても良いし、交換しながら使うこともできる。USBを利用してPCやeneloopなどから充電することも可能なため、自分の使い方や移動先の状況などに合わせて、常に稼働させる環境を確保できる。

 個人的には、若干、発熱が気になる印象で、鞄の中など通気性の悪いところに入れておくと、この時期でもそれなりに熱くなったため、夏場が若干心配ではある。また、標準では節電機能が無効になっているため、一度電源を入れると切れるまで稼働し続けるが、無線LAN機器が未接続の場合に一定時間で電源をオフにすることもできる。この機能も標準で有効にしておいてよかったのではないかとも思える。

無線LAN機器が未接続の時間が一定時間続くと電源をオフにする機能も搭載。標準では無効なので必要に応じて設定しておくといいだろう

 とは言え、製品としての完成度はかなり高い製品と言って良さそうだ。サービスが限られるので、すでにWiMAXを利用している場合が悩みどころだが、モバイルルーターの利用を検討しているのであれば、思い切って利用するサービスを切り替えるのも十分にアリだろう。


関連情報

2011/3/29 06:00


清水 理史
製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるWindows 7」ほか多数の著書がある。自身のブログはコチラ