第435回:実質月額3610円でFOMA+ホットスポットが使える
「DTIハイブリッドモバイルプラン」


 DTIがNTTドコモのFOMA 3G回線を利用した高速無線サービス「DTIハイブリッドモバイルプラン」を開始した。月額2980円+端末レンタル料金月額630円で、NTTコミュニケーションズのホットスポットまで使えるという注目度の高いサービスだ。その実力を検証してみた。

品質がどこまで維持されるのか

 結論から先に言ってしまおう。本サービスの良し悪しは、現段階では評価しかねる。

 24カ月間という最低利用期間が設けられている以上、ユーザーは長期的にこのサービスと付き合っていく必要があるわけだが(途中解約は残余期間に応じた料金がかかる)、その間、どこまで品質が維持されるのか? 本サービスの良し悪しを決めるポイントが、ここにある以上、現段階で正しい判断を下すのは難しい。

 詳しくは後述するが、ユーザーが極めて少ないサービス開始直後の現時点では、確かに高いレベルのサービスレベルが実現されている。しかし、はたして半年後、一年後にどうなっているかはわからない。

 一ユーザーの意見としては、飛び抜けて高速である必要はないものの、きちんと常時接続ができ、若干でもかまわないのでライバルと言われるMVNO事業者よりも高い速度が維持され続けること。これを望みたいところだが、それは今後の状況を見守るしかないだろう。

 

低価格なだけでなくプラス「ホットスポット」が魅力的

 では、実際にサービスについて見ていこう。DTIの「DTIハイブリッドモバイルプラン」は、フリービットのMVNOサービス「YourNetMOBILE」を採用したサービスで、NTTドコモのFOMA 3G回線を利用した下り7.2Mbps/上り5.76Mbpsの通信、およびNTTコミュニケーションズの公衆無線LAN「ホットスポット」が利用できるサービスだ。

 サービス発表直後から高い注目を集めたが、その理由は業界最安値クラスとなる月額2980円という価格にある。実質的には端末のレンタル料金が必須となるため、プラス630円の月額3610円となるが、NTTドコモのFOMA 3G回線を利用したサービスとしてはかなりの安さだ。

「DTIハイブリッドモバイルプラン」サイト
http://dream.jp/mb/dc/

 同様のサービスとしては、本家NTTドコモのデータ通信サービスがあるが、こちらの料金は定額データプラン スタンダード バリューで月額4410円(別途ISP料金525円や公衆無線LANを利用する場合はプラス315円かかる)となる。

 また、日本通信では、モバイルルーターの「b-mobileWiFi」と「b-mobileSIM U300」をセットにした月々払いのサービスを同じ2980円で提供しているが、こちらは通信速度が上下300kbps超となっている。

 また、各種制限もほとんどない。OP25BとP2Pは制限されるが、帯域については、現状、制限はほどこされておらず、大量に通信しても強制的に速度が絞られることはない。制限しないのか、制限する必要がないのかはわからないが、要するに高い通信速度と低下価格という「イイトコドリ」をしたサービスというわけだ。

【サービス比較】

DTINTTドコモ日本通信

DTI
ハイブリッドモバイルプラン
定額データプラン
スタンダード バリュー
b-mobile
WiFi月々払いプラン
通信速度(下り/上り)7.2Mbps/5.76Mbps7.2Mbps/5.76Mbps300kbs/300kbps
通信制限op25b/P2PP2P/VoIP*6op25b/P2P
帯域制限現状なしあり
300万パケット/3日
あり
300万パケット/3日
1000万パケット/1カ月
契約期間2年2年(料金割引適用条件)2年
端末RS-CV0C/MF120HW-01Cなどb-mobileWiFi
端末料金630円/月(レンタル)0円*1825円(24カ月割賦)
初期費用なし3150円3150円
利用料金*42980円/月1000円~4410円/月
(2年目以降5985円)*2
2980円/月
(2年間月々825円割引)
ISP料金月額料金に含む525円(mopera U)月額料金に含む
公衆無線LAN月額料金に含む
(HOTSPOT)
315円
(U「公衆無線LANコース」)*3
なし*5
*1 端末や販売店によっては2年契約で2~3万円のキャッシュバックなどのサービスもあり
*2 2011年4月30日までの新規申し込み割引キャンペーンの適用料金
*3 4月30日までの加入の場合、1年間無料
*4 各サービスともユニバーサルサービス料が別途必要
*5 Doccica U300など対応する別製品はあり
*6 詳細はhttp://www.nttdocomo.co.jp/service/data/foma/flat_rate/function/を参照。Op25bはmopera Uで制限

 

 しかも、本サービスではNTTコミュニケーションズの公衆無線LANサービス「ホットスポット」も利用可能となっている。ホットスポットは、OCNのブロードバンドサービス利用者であればプラス315円で利用できるが、普通にフルにサービスに加入すると月額1680円かかるサービスとなっている。利用できるエリアが純粋なホットスポットのアクセスポイントである「スタンダードエリア」のみに限られるものの、このサービスがセットになっているのは大きな魅力だ。

 スマートフォンの普及で、公衆無線LANの利用が見直されてきており、ソフトバンクBBの「BBモバイルポイント」、NTTドコモの「Mzone」などは、スマートフォン向けのオプションサービスなどとして提供が進んでいるが、NTTコミュニケーションズの「ホットスポット」は、これまでこういった提供がなされていなかった。

 個人的には、spモードの公衆無線LANサービスに含まれるようになってくれた方がはるかにうれしいが、DTIハイブリッドモバイルプランを利用することで、この漏れていたホットスポットのエリアが使えるようになるわけだ。

 すでにNTTドコモのスマートフォンを利用している筆者としては、Mzone+ホットスポットで、公衆無線LANとしてかなりのエリアをカバーできるようにしたかったというのも、今回、DTIハイブリッドモバイルプランに加入した1つの目的だ。

【DTIハイブリッドモバイルプランで使えるHOTSPOTのエリアと料金】

DTI
DTIハイブリッドモバイル
HOTSPOT
(コース3)
OCNホットスポット
(定額プラン)
月額料金2980+630円1680円ISP料金+315円
スタンダードエリア
エクスプレスエリア×
カジュアルエリア××
その他注意東京メトロなど
一部エリアで利用不可
 東京ミッドタウン、
海外ローミング利用不可
※スタンダードエリア:モスバーガー、タリーズコーヒー、プロント、空港、東京の地下鉄 ※エクスプレスエリア:東海道新幹線(東京~新大阪間)のN700系車内と全17駅のコンコース待合室 ※カジュアルエリア:マクドナルドなど(BBモバイルポイントエリア)

 

端末が届けばすぐに利用可能に

 申し込みについては、DTIのウェブページ(http://dream.jp/mb/dc/)から、必要事項を記入して送信するだけときわめて簡単な手続きになる。

 利用する機器は、モバイルルータータイプ(NetIndex Mobile RS-CV0C)とUSBタイプ(ZTE MF120)の2種類から選択する必要がある。今回はモバイルルータータイプを選択した。

 現状、製品の発送に遅れがあるようだが、筆者は3月22日にアカウントなどの情報が記載された書類が先行して到着し、その3日後にモバイルルーター本体が到着した。

申し込み後、先行して書類が到着し、その後、モバイルルーター本体が届くモバイルルータータイプの「RS-CV0C」
「RS-CV0C」側面。WLAN/WPSボタンと電源ボタンがあるUSBインターフェイス

 先行して届いた書類にAPNなどの情報が記載されていたが、モバイルルーターの場合、出荷時にすでにSIMがセットされ、これらの情報も設定済みとなっているため、特にユーザーが設定をする必要はなかった。機器到着後、バッテリーをセットして電源を入れれば、すぐに通信が利用可能だ。

 クライアントは無線LANもしくはUSBケーブル(LANモードとモデムモード切り替え可能)で接続することになる。無線LANはIEEE802.11b/g準拠となっており、標準では暗号化の設定がなされていない。このあたりの設定は、ブラウザを使って設定画面にアクセスすることで変更できるので、必ず暗号化の設定をしておくようにしよう。

 なお、WPSによるボタン設定は可能だが、マルチSSIDなどの高度な設定は搭載されていない。比較的シンプルなモバイルルーターだ。

 バッテリーは1500mAhのリチウムポリマーで、小型軽量(幅95mm×奥行き51mm×高さ13mm、バッテリー込み重量80g)ながら、連続通信4時間と長時間の駆動が可能となっている。

ブラウザーを利用して設定画面にアクセス可能。無線LANの暗号化は設定されていないので必ず登録sいておこうSIMは装着された状態で出荷される。バッテリーはリチウムポリマーの1500mAh

 実際にどれくらい通信できるかを、一定間隔でPINGとHTTP GETを繰り返すバッチファイルでテストしてみたとろ、午前7:46から午前11:10まで、合計3時間24分の稼働を確認した。最近のモバイルルーターは4時間以上の実働も珍しくないため、物足りない印象があるが、USB給電で充電しながら動作させることもできるので、うまく充電しながら使えばいいだろう。

 

NTTドコモのデータ通信と同等の速度を確認

 気になる速度だが、現状はかなり快適だ。筆者宅はFOMA網の電波状況があまり良くないのだが、3階の窓際、もっとも電波状況が良くなる場所で速度を計測してみたところ、以下のように下り1.786Mbps、上り363.6kbpsとなった(ThinkPad X200使用)。

 上りは384kbps以下にとどまるが、下りで1Mbps後半の値を計測できているので(一時的に2Mbpsを越える値もまれに計測できた)、実用上も全く問題のない、むしろ快適な速度で通信できた。

 ただし、この値は現状のものであることに注意して頂きたい。筆者はサービス発表直後に申し込みをしたため、初回発送の製品を手にしてた数少ないユーザーのひとりとなる。初回ロットがどれくらい発送されているのかがわからないが、3月25日前後に実際に通信をすることができたユーザーは極めて少ないと予想される。

 このため、上記の値は、バックヤードのトラフィックや帯域に左右されない速度となる。つまり、筆者宅の環境でのMAXのスピードと考えられる(あくまで筆者宅の環境の場合。純粋に電波状況が良好な場所で計測すれば、さらに高い値も期待できる)。

 続いて、他のサービスとの速度を比較してみた。今回、レンタルで提供されたRS-CV0Cは、SIMフリーのモバイルルーターとなっており、別のSIMを装着して利用することに対して機能的な制限はかけられていない(もちろん動作保証外となる点は注意)。

 試しに、手元にあったNTTドコモのSIM(mopera U)、WILLCOM CORE 3G(FOMA網版)のSIMを加え、3つのSIMで再度テストしてみたのが以下の画面だ。

DTIハイブリッドモバイルのSIMNTTドコモのSIM(mopera U)WILLCOM CORE 3G(FOMA網版)のSIM

 3Gの速度計測は時間によって変動があるため、今回、DTIハイブリッドモバイルプランの値は1.2Mbps前後とあまり高くなかったものの、NTTドコモ(1.5Mbps)と同等の結果となっており、本家と遜色のない速度を実現できている。

 一方、WILLCOM CORE 3Gは、400kbpsを欠ける程度とかなり遅くなってしまっている。個人的には、今回のDTIハイブリッドモバイルプランが、この値を超えてくれたことをうれしく思うと同時に、将来の姿にならないことを切に願いたいところだ。

 

SIMの汎用性も高い

 最後に、本サービスのSIMの利用について触れておきたい。DTIとしては、同社がレンタルで提供している端末以外でのSIMの利用を保証していないが、日本通信のb-mobileSIM U300と同様に、ドコモ製のスマートフォンなどで利用することも不可能ではない。

 手元にあったGalaxy Tabで試してみたところ、DTIハイブリッドモバイルプランのAPNを登録することで、問題なくデータ通信が可能だった。

 もちろん同社が想定している使い方ではないため、何らかの不具合が発生したり、料金の扱いなどについても不明ため、すべてが自己責任となるが、現状は接続端末などの制限などもネットワーク側でなされていないようだ。なお、本稿ではこれ以上触れないが、制限がないのは、NTTドコモ以外の端末でも同様だ。

 ただし、SIMとしての利用が目的なら、NTTドコモのSIMを入手するという手もある。現状のパフォーマンスを考えれば、DTIハイブリッドモバイルプランの価格は魅力的だが、やはり冒頭で触れたように、この品質が継続的に維持されることが条件となる。

 ユーザーの利益と企業としての利益。MVNOの場合、過去のサービスなどを見ても、このバランスを取るのが非常に難しいと言える。本サービスが、今後、どちらに傾いていくのか、このあたりに注目していきたいところだ。

 


関連情報

2011/4/5 06:00


清水 理史
製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるWindows 8.1/7 XPパソコンからの乗り換え&データ移行」ほか多数の著書がある。