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WiMAXモバイルルーターとしてどこまで使えるか「HTC EVO WiMAX ISW11HT」


 auから、WiAMX対応のスマートフォン「HTC EVO WiMAX ISW11HT」が発売された。WiMAXを利用した高速な通信が魅力だが、テザリングもサポートし、PCやゲーム機のモバイルルーターとしても利用可能となっている。バッテリー駆動時間を含め、その実力を検証してみた。

新規か?機種変か?料金プランはどうするか?

 「HTC EVO WiMAX ISW11HT」は欲しいが、機種変すべきか、新規で買うべきか……、それともあきらめるべきか……。そう悩んだ人も少なくないことだろう。

 筆者もそのひとり。結局、新規で購入したが、au ICカードに非対応、3Gの周波数帯が新800MHzと2GHz、Cメールの受信は現状できるが送信とEメールが使えない、そして何より値段が高いと、久しぶりに買うのに勇気が必要な端末であった。。

 機種変して普段の連絡手段として使うとなると、CメールやEメールの制約がなにより大きい。今使っているIS03でせっかく使えるようになったおサイフケータイが、再び使えなくなるのも厳しい。au ICカードに対応していれば、「いざとなれば戻せばいいや」と割り切ることもできるが、この端末に関しては、それもできないというわけだ。

WiMAX対応のスマートフォン「HTC EVO WiMAX ISW11HT」 背面。下にあるのは折りたたみ式のスタンド

とは言え、WiMAXのパワーを試してみたいということで、結局、新規で回線を追加した。

 料金プランに関しては、当初、WiMAXのみであればパケット通信料がかからないと思っていたため、プランSSシンプル(980円)+ダブル定額(2100〜5985円)+「+WiMAX月額利用料」(利用月のみ+525円)を選択していたのだが、WiMAXの通信もパケット通信料に含まれることから、結局、ISフラットに変更することにした。

 筆者の場合、メイン端末はIS03を利用しているので、サブ端末となるISW11HTは使わない月もあり、その場合はダブル定額で維持費を安く抑えることもできるのだが、結局、モバイルルーターとして使う機会が多く、上限に達してしまうことを考えると、ISフラットの方がお得ということになる。

 なお、ダブル定額ライトやダブル定額スーパーライトでも契約することは可能だが、毎月割による2000円引きの恩恵を受けるには、ISフラットかダブル定額での契約が必要となるので注意が必要だ。

※初出時、WiMAXの通信にパケット料金がかからないとする記述がありましたが誤りです。お詫びして訂正します。
筆者は携帯ネットワーク(3G)をオフにしてWiMAXのみで運用している WiMAXはウィジェットでも簡単にオン/オフできる。ここぞというときだけWiMAXを有効にするという使い方もできる

 

WiMAXの威力を試す

 実際に使ってみると、確かにWiMAXは速い。我が家の場合、10Mbps以上の通信も可能な通信状況が良好な地域ということもあるが、ブラウザを使ってWebサイトを表示しても、読み込み状況を示すアドレスバーの表示が、まさに「ビュー」という感じで一気に伸びていき、テキストとほとんどタイムラグなく画像などが表示される。

 通信に関しては、やはり速度は力だと実感させられるところだ。

 もちろん、家で使っている限りは、無線LANで接続すれば、他のスマートフォンでも速度は高いので、劇的に感動するというものではないのだが、家では無線LANをオン、外出するときはオフ、などといったように使い分けを意識しなくて済むのはメリットだ。

 実際にどれくらいの速度が出ているのかを計測してみたのが以下の画面だ。Androidのアプリ「Speedtest.net」はエラーで計測できなかったので、テザリングでPC(ThinkPad X200)を接続し、インターネット上の速度測定サイト(Radish)を利用して計測した。

EVOの測定結果。6Mbpsで通信できれば無線LANいらず NECアクセステクニカのAterm WM3500Rの結果。最新のWiMAX端末と比べるとEVOの値は若干劣る

 参考として、まったく同じ場所に設置したAterm WM3500Rの値も計測してみたが、結果を見ると、値に大きな開きがあることがわかる。誤差と言うにはあまりにも大きいので、おそらく搭載されているWiMAXのチップの性能の差だろう。

 WiMAXの速度は、サービス開始後から、何度かのチューニングによって実効速度が次第に引き上げられており、MIMOの有無や変調方式の差によって速度が変化する。おそらく、Aterm WM3500Rでは最新の仕様に対応できているが、ISW11HTでは対応できていないのではないかと考えられる。

 とは言え、実効で下り6Mbps、上り4Mbpsとなれば、これは十分すぎる性能と言って良いだろう。

 このように、WiMAXの威力を実感できるISW11HTだが、そのメリットを享受できるかどうかは、あくまでもWiMAXの通信環境次第と言える。

 筆者の場合も、自宅で使っている限りは非常に快適だが、外出先では3Gとそんなに変わらないかな、と思えるような速度になる場合もあるうえ、電車での移動中や地下、建物の中など、WiMAXの電波が掴めず、通信できない場合も珍しく無い。

 ISW11HTでは、無線LAN、WiMAX、CDMA 1X WINと切り替わるようになっているので、通常の利用では通信が途切れることは、ほとんどないのだが、筆者のようにパケット通信を無効にしていると、こういったシーンで困ることになる。WiMAXのみでの運用を考えている場合は、ある程度の不自由は覚悟した方がよさそうだ。

 

モバイルルーターとしての実力を検証する

 続いて、モバイルルーターとしての実力を検証してみた。速度については、前述した通りなので、バッテリー駆動時間をチェックしてみよう。

 結論から言えば、純粋なモバイルルータとして使うには、若干、不安があると言えそうだ。テザリング自体は、アプリを使って簡単に切り替えられるうえ、暗号キーなどもきちんと設定できるので、使い勝手自体は良好なのだが、いかんせんバッテリー駆動時間に不安が残る。

 以下のグラフは、ISW11HTのWiMAXテザリングを利用し、PCからPINGとHTTP GETを繰り返すバッチファイルを実行し続けた場合の駆動時間だ。ISW11HTに標準で搭載されているバッテリー(1500mAh)に加えて、サードパーティから市販されている大容量バッテリー(3500mAh)でも、駆動時間を計測してみた。

標準バッテリー(1500mAh)と大容量バッテリー(3500mAh)でテザリング時の駆動時間を計測

 標準バッテリーの場合で連続4時間半、大容量バッテリーでは6時間18分と、値としては決して悪くないが、これはテザリング中に、一切、本体を操作しなかった場合の結果だ。

 ISW11HTは、WiMAXでのテザリングであれば、通信中の着信に応答したり、本体からメールやブラウザを利用することができるが、この場合、液晶が表示され、CPUの負荷も高まる。

 よって、普通にスマートフォンとして使いつつ、テザリングとなると、駆動時間は当然のことながら短くなっていく。一般的なモバイルルーターの場合、本体を操作することはほとんどないため、純粋に通信にのみバッテリーを消費できるが、ISW11HTの場合は、そうはいかないというわけだ。

 保証の問題があるので自己責任となるが、大容量バッテリーのようなサードパーティ製品を利用するか、製品にもう1つ同梱される1500mAhの予備バッテリーをうまく活用するといいだろう。

市販の大容量バッテリーを装着すると長時間の利用も可能 物理的なサイズが大きくなるため、専用のカバーを装着。背面が膨らんでしまう

 ちなみに、ISW11HTはUSB経由で充電しながらの利用も可能となっている。試しに、標準バッテリーを使い切って残量がほとんどない状態から、SANYOのeneloop(KBC-L2B)を使って充電しつつ、先ほどと同様にテザリング中にPINGとHTTP GETを実行し続けた場合の状況を確認してみた。

 KBC-L2B(5000mAh)を利用した場合、テザリング中でも充電をすることが可能となっており、時間はかかるものの、最終的に70%前後まで標準バッテリーを充電し続けることができた。KBC-L2Bが残量0でオフになった後は、70%までため込まれた標準バッテリーを消費しながらテザリングで通信し続け、最終的に約9時間動作させることができた。

 実際には、常にテザリングしていることはない一方で、画面を表示してアプリを使うといった使い方をするため、その分を考慮しても、1日に使っても十分にバッテリーが持つと考えられる。

 もちろん、PCなどに接続して充電してもかまわないが、外出先でフルに活用したいのであれば、外部からのUSB充電環境をしっかりと整えておいた方がよさそうだ。

eneloop KBC-L2Bを利用して充電しながらテザリングをテスト(BatteryMixを利用して残量を計測)

 

標準バッテリーの残量0%の状態からKBC-L2Bで充電しつつテザリングを実行。70%強まで充電しながら利用できた。充電完了後は内蔵バッテリーのみで動作し、最終的に約9時間連続でテザリングできた

 

「+500円/月」というWiMAXの魅力

 以上、auのWiMAX対応スマートフォン「HTC EVO WiMAX ISW11HT」を実際に使ってみたが、機能的にはなかなか面白い端末だと言える。

 端末としての設計が古いため、最新のAndroid2.3搭載機やiPhone 4などと比べると、パフォーマンスは劣るかもしれないが、WiMAXの電波がビシッとハマったときの通信速度の速さは快適なうえ、操作感自体も個人的にはさほど悪くないと感じる。普段、IS03を使っている影響もあるが、画面が大きくて見やすいのも、地味に便利だ。

 ただ、モバイルルーターとしての用途に重きを置くとすれば、これは再考の余地がある。通信速度やバッテリーの持ちを考えれば、機種にもよるが、専用のモバイルルーターの方がはるかに快適だ。

 とは言え、やはり「+500円/月」でWiMAXが使えるようになるという、このプランは魅力的だ。これをISW11HTでしか提供しないというのは、実にもったいない。無理を承知でお願いしたいが、今後登場するISシリーズに、長時間駆動のWiMAX対応モバイルルーターをセットにするなどの方法で、このプランを提供してくれないだろうか。


関連情報

2011/5/10 06:00


清水 理史
製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるWindows 7」ほか多数の著書がある。自身のブログはコチラ