清水理史の「イニシャルB」

USB3.0ハブ+1000BASE-Tでミニドック的にも使える
ロジテック「LAN-GTJU3H3」

 ロジテックから、USB3.0接続の1000BASE-T対応LANアダプタ「LAN-GTJU3H3」が発売された。特長は、USB3.0ハブを3ポート搭載している点だ。キーボードやマウス、ストレージなどと組み合わせて、ミニドック的な使い方ができる。

やっぱり「有線」という人に

 実用性を考えると、やっぱり、有線LANの安定性はまだまだ捨てがたい。

 ドラフト11acの登場で、規格上はギガ越え(1300Mbps)を達成した無線LANだが、実効速度では、1000BASE-Tの半分程度となるうえ、利用環境の影響を受けやすいことを考えると、まだまだ有線LANに頼らざるを得ない状況はしばらく続きそうだ。

 そんな中、UltrabookやMacBook Air、タブレットなど、有線LANポートを搭載しないPC向けにロジテックから発売されたのが、USB3.0対応の1000BASE-T LANアダプタ「LAN-GTJU3H3」だ。

ロジテックの「LAN-GTJU3H3」。USB3.0対応の3ポートハブ+1000BASE-T

 USB3.0接続の1000BASE-T対応アダプタは、以前からいくつか発売されていたが、今回の製品で特徴的なのは、USB3.0対応となる3ポートのUSBハブと一体化されている点にある。これにより、有線LAN接続と同時に、ストレージやキーボードなど、さまざまな機器を同時に接続できるようになった。

 同様の製品は、グリーンハウス(GH-ULA303AK)からも発売されているが、Amazon.co.jpの実売ベースで比較すると、GH-ULA303AKの5084円に対して、LAN-GTJU3H3は3618円と、若干安く入手できるのが魅力だ。その実力を検証してみた。

意外にコンパクト

 外観で印象的なのは、そのサイズだ。3ポートとは言え、USBハブ+LANということで、通常のUSBハブより若干大きめのサイズを予想していたのだが、幅80×奥行き50×高さ15mmと、手のひらに収まるほどのサイズとなっており、あまり場所を取らない。

 USBポートは、すべてUSB3.0対応となっており、側面に3つ並んで配置される。PCと接続するためのUSBケーブルは直付けで、コネクタ部を除いたケーブルの長さは10cm弱と、若干、短い。

 机の上に置いたノートPCで使うなら、この長さでも問題ないが、デスクトップや一体型PCでは、背面などのUSBポートに届かなかったり、高い位置にUSBポートがある機種ではLAN-GTJU3H3がブラブラと空中にぶらさがってしまう格好になる。利用環境によっては、ケーブルの延長なども検討すべきだろう。

 LANポートは、PC接続用のUSBケーブルのちょうど反対側に配置されている。対応規格は10BASE-T/100BASE-TX/1000BASE-Tで、最大1Gbpsの通信が可能だ。PCとの接続がUSB3.0になったおかげで、従来のUSB2.0対応製品のように、PCとの接続がボトルネック(USB2.0は480Mbps)にならずに済み、1000BASE-Tの実力をフルに発揮できるようになった。

 ちなみに、動作を示すランプはLANポートの左右上端のみに配置されるのみで、本体側には用意されない。非常にシンプルなデザインだ。

USBハブは3ポートを搭載。すべてUSB3.0対応
LANは1000BASE-T対応。動作を示すランプは右上と左上に搭載
ケーブルは10cm前後、環境によっては長さが足りない
サイズは手のひらサイズでコンパクト
持ち運びを想定してか、ケーブルをUSBコネクタに固定できる

「ASIX AX88179」を搭載

 使い方は簡単で、USBでPCに接続し、付属のDVDからドライバをインストールすればいい。USBハブに関しては、Windows 8のInboxドライバで何もせずに認識されるが、ネットワークアダプタとして認識させるにはドライバが必要になるので注意しよう。

 なお、PCが別の有線LANや無線LANなどでインターネットに接続可能な場合は、ロジテックのウェブサイトからドライバをダウンロード可能だ。また、同様に別の手段でインターネットに接続されている場合は、Windows Update経由で自動的にドライバをインストールすることも可能だ。

 このほか、Mac OS Xにも対応しており、同様にDVDからドライバをインストールすることで利用可能になるが、Windwos RTには非対応となっている。

 Windows RTでは非公式のソフトウェアとして同じくASIX製のAX88772用のドライバが出回っているが、AX88772がUSB2.0接続の10BASE-T/100BASE-TX対応のチップであるのに対して、今回の製品に搭載されているAX88179は、USB3.0接続の1000BASE-T対応と、チップが異なる。このため、同ドライバを無理矢理インストールしても、コード10でデイバイスは起動しない。もちろん、USB3.0ハブとしては使えるが、ネットワーク機能についてはWindows RTでの利用はあきらめた方がいいだろう。

ASIX AX88179を搭載。インターネット接続できれば自動的にドライバを導入可能
MacOS Xでもドライバをインストールすれば利用可能
Sureface RTにAX88772搭載のLANアダプタ(100BASE-TX/USB2.0)を接続したときの様子。今回の製品はチップが異なるため、残念ながら、このドライバでは動作しない

十分な速度を実現

 気になるパフォーマンスだが、PC内蔵のLANと比べても遜色ないという印象だ。以下は、PCとNAS(Synology DS1512+)の間で、iPerfを実行した際の結果だ。PCには、Core i5を搭載したWindows機に加え、Macbook Airを利用したが、Macbook Airに関しては2011年モデルとなっており、USBポートがUSB2.0対応となる。このため、参考値として考えて欲しい。
  



UP DOWN
MacBook Air USB2.0接続時 232 162
Thunderbolt(Apple) 936 937
PC USB2.0接続時 280 132
USB3.0接続時 910 935
内蔵(Realtek) 948 941
  • iperf -s -w256k -p4000(256kウィンドウサイズ指定、ポート4000使用)
  • iperf -c [IPAddr] -w256k -t10 -i1 -p4000(10秒間計測、1秒ごとに表示更新)
  • PC:Core-i5 3570K/RAM16GB/64GB SSD(Crucial C300)/RealtekオンボードLAN/Windows 8 Enterprise 64bit
  • サーバーにはSynology DS1512+を使用

 USB2.0接続では、上り方向で280Mbps前後が限界となるが、USB3.0接続では900Mbpsを越えており、1000BASE-Tのスペックをフルに発揮できている。PC内蔵LAN、Macbook AirのThunderbolt接続LANアダプタと比べても、ほとんど同じ値を実現できているので、速度的には十分と考えて良いだろう。

 機能的にも不足はなく、デバイスマネージャーのプロパティから、ジャンボパケット(4Kまで)、QoS、WOLなどの設定も変更できる。WOLに関しては、Windows 8でスリープからの復帰を実際に試してみたが、問題なく、ネットワーク経由でPCを起動することができた(電源オフからは給電しないためNG)。

デバイスのプロパティからさまざまな設定を変更可能。WOLも利用可能だった

ストレージやキーボードなどをまとめて接続

 実用性という点でもなかなか優れている。前述した通り、本体には3ポートのUSB3.0ポートが搭載されているため、ここにUSB HDDやキーボードなどを接続しておけば、ミニドック的に可能で、普段持ち歩いているUltrabookを自宅やオフィスでデスクトップ的に使うこともできるようになる。

 欲を言えばディスプレイまで、USB3.0経由で接続できるようにしたいところだが、とりあえずネットワークを接続しなくても済むだけ、手軽で便利だ。

 以上、ロジテックのUSB3.0ハブ搭載の1000BASE-T LANアダプターを実際に使ってみたが、UltrabookやMacbook Airなどとの組み合わせでは、地味ながら便利に使えるアイテムと言えそうだ。価格も手ごろなので、一台もっておくと便利だろう。

清水 理史

製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるWindows 8」ほか多数の著書がある。自身のブログはコチラ