清水理史の「イニシャルB」

USB給電で動作する15.6インチのタッチモニター
GeChic「On-Lap 1502I/1502T」

 GeChic製のモバイルモニター「On-Lap 1502I」と「On-LAP 1502T」が発売された。USB給電で動作可能な持ち運び可能なモニターだが、新たに10点マルチタッチに対応し、Windows 8環境での利用に最適化された。その実力を試してみよう。

パネルの違いで2製品をラインナップ

 これで、Windows 8のマルチモニターとマルチタッチのメリットを気軽に享受できるようになりそうだ。

 台湾GeChic製のモバイルモニター「On-Lap 1502I」と「On-Lap 1502T」は、個人的にも、その登場を待ち望んでいたタッチ対応の小型モニターだ。

GeChicのタッチ対応モバイルモニター「On-Lap 1502I」、「On-Lap 1502T」

 GeChicの「On-Lap」シリーズと言えば、USB給電で動作する小型モニターとして、すでに国内でもよく知られている製品だ。個人的にも13.3インチのOn-Lap 1302をサーバーやNASの設定用に利用しているが、サブディスプレイとして利用したり、ノートPCの背面に貼り付けて可動式の拡張モニターとして利用するなど、さまざまな用途に広く活用されている。

 そんな同シリーズのタッチ対応モデルとして、新たに追加されたのが、この「On-Lap 1502I(以下1502I)」と「On-Lap 1502T(以下1502T)」というわけだ。

 まずは、スペックから確認していこう。サイズ的にはどちらもまったく同じで、本体に用意されるインターフェイスやボタン類などもすべて共通だが、搭載されているパネルが異なる。1502IはIPS方式となっており(1502TはTFT TN)、解像度も1920×1080と、1502Tの1366×768を上回っているのが最大の違いだ。

 価格を考えれば、店頭予想価格3万4800円の1502Tがお手軽だが、実用性を考えると高解像度の1502I(店頭予想価格4万9800円)を選ぶメリットの方が大きいだろう。

  

【On-Lap 1502Iと1502Tの仕様比較】

On-Lap 1502IOn-Lap 1502T
パネル15.6インチIPSノングレア15.6インチTFT TNノングレア
バックライトLEDLED
解像度1920×10801366×768
ピクセルピッチ0.179×0.179mm0.252×0.252mm
視野角(水平/垂直)160°/160°90°/50°
明るさ220cd/平方メートル180cd平方メートル
コントラスト400:1
応答速度17.5ms8ms
タッチセンサー10点同時対応静電容量方式
スピーカー1.0W×2
サイズ幅430.4×高さ248.3×奥行き9.9mm
重量1350g1450g
インターフェイスMicroHDMI/VGA(要ケーブル)

スリムでコンパクト

 外観は、これまでのOn-Lapシリーズ同様、薄型で非常にコンパクトだ。さすがに15.6インチとなるため、幅はフルサイズのキーボードほどあるが、厚さは9.9mmと1cmを切るサイズに収まっている。同社では、本製品をモバイルモニターと称しているが、確かにPC用のモニターとしてはかなりコンパクトで、持ち運びも可能なサイズと言えるだろう。

 表面は、ホワイトのベゼル部分が若干盛り上がっており、フルフラットというわけにはいかないが、映像が表示される部分の周囲に1.5cmほど黒いスペースが設けられており、Windows 8でチャームを表示するときなど、外側からフリックするような操作にも対応できるように工夫されている。

 インターフェイスは、左側面に集中的に配置されており、イヤホンジャック、microHDMI、VGA、電源供給用microUSB、電源+タッチ制御用microUSBポートが搭載されている。

 PCとの接続は、HDMI、VGAのどちらでも可能だが、標準で付属するケーブルはHDMIケーブルとなっているため、VGAで接続したい場合はオプションのケーブルを用意する必要がある。

 また、電源供給用のポートが2つ用意されているが、片方は電源供給のみとなっているため、タッチデバイスとして認識させるためには、付属のケーブルを利用して最下端のポートに接続する必要がある。簡単だが、日本語のマニュアルも付属しているので、ポートの位置や役割を確認して接続するといいだろう。

正面
背面
側面
インターフェイスは側面に装備

タブレットPC設定でタッチデバイスを指定

 使い方は簡単だ。基本的には、PCにつなぐだけで、自動的に解像度などが最適な状態で映像が表示され、タッチデバイスとしても自動的に認識されるため、ドライバーなどを導入する必要はない。

 ただし、必ずしも適切な設定で認識されるとは限らないため、PC側でいくつかの設定が必要になる。まずは、表示方法の設定だ。Windows 8の場合であれば、「Windowsキー+P」、もしくはデバイスチャームの「セカンドスクリーン」から、表示方法を選択できる。標準では複製になっているはずなので、用途に応じて拡張などに変更しておこう。

 Windows 8の場合、拡張にすることで、メインモニターではデスクトップ、サブのOn-Lapではタッチ操作用のスタート画面やWindowsストアアプリと、個別に画面を表示することができる。せっかくなので、この使い方を推奨したいところだ。

 続いては、解像度の設定だ。前述したように、1502Tは1366×768、1502Iは1920×1080での表示が可能なため、画面の解像度の設定で、適切な設定にしておこう。また、実際の設置場所に合わせて、On-Lapの位置も変更しておこう。

セカンドスクリーンの表示方法を設定。拡張で使いたいところ
解像度とスクリーンの位置を設定しておこう

 最後に、タッチデバイスを指定してこう。Windows 7では、マルチモニター時にメインに設定したモニターがタッチ操作対象となる仕様だったが、Windows 8ではどのモニターをタッチ操作の対象とするかを選択できるようになっている。

 この設定が食い違っていると、たとえば、On-Lap側でチャームを表示するためのタッチ操作をしても、もう一台のモニターにチャームが表示されるという現象が発生してしまう。このため、タッチデバイスが搭載されているのは、On-Lap側だということをOSに教え込む必要があるわけだ。

 「コントロールパネル」で、「タブレット」などで検索して、「タブレットPC設定」のダイアログを表示し、「セットアップ」ボタンをクリックする。すると、真っ白の背景に「タッチスクリーンであることを指定するには、この画面をタッチしてください」と表示される。

 このメッセージは、「Enter」キーを押す度に、表示されるモニターが切り替わるので、On-Lap側にメッセージが表示されるようにしてから、画面をタッチする。これで、タッチデバイスとその結果を表示するモニターが関連付けられるわけだ。

 筆者が試した限り、メインモニターが別に存在する環境にOn-Lapを接続すると、かなりの確率で、タッチデバイスと表示先の食い違いが発生したので、接続後は必ずこの設定を確認することをおすすめしたいところだ。

 なお、明るさやコントラストについては、本体のボタンで調整することができる。標準で問題ない印象だが、好みに合わせて調整しておくといいだろう。

タッチデバイスと画面の表示先の関連付けが合っていないと、うまく操作できない。必ずOn-Lapがタッチ対象であることをOSに通知しておこう

置き場所をどうするか?

 このようにポイントさえ抑えておけば、使い方は非常に簡単なOn-Lap 1502I/1502Tだが、悩ましいのは置き場所だろう。通常のモニターであれば、メインモニターの横に並べて配置すればいいが、タッチ操作をすることを考えると、もっと手元に置いておきたい。

 このため、個人的には、メインディスプレイとキーボードの中間に設置することをおすすめする。ある程度、机の奥行きが必要だが、こうすることでメインモニターでデスクトップ作業をしながら、手元のタッチ操作でメールを確認したり、SNSの情報をチェックしたりと、サブディスプレイとして便利に活用することができる。

 On-Lap 1502I/1502Tには、本体を立てかけて設置することができるスタンドが付属しており、背面の「X」字型の足の取り付け方によって、さまざまな角度で本体を設置できるようになっている。タッチ操作をしてもグラつかないように、ゴム足でしっかりと固定できるようになっているので、タッチしやすく、見やすい位置に設置するといいだろう。

 ただし、小さい角度で倒し込むようにして設置するときは、視野角に注意が必要だ。IPS方式のパネルを採用した1502Iであれば、かなり倒し込んでも画面の見やすさにさほど影響はないが、TN方式の1502Tはもっとも小さい角度で設置すると、視点にもよるが、画面を認識できない場合がある。

 もちろん、角度を上げれば見やすくなるが、15.6インチというサイズが影響し、画面の上端がかなり高い位置まで来てしまう。メインモニターの手前に設置する場合、奥のメインモニターに被ってしまうので、メインモニター側を高く設置するなどの工夫が必要だろう。

この位置に設置すると、サブディスプレイとしても見やすいし、タッチもしやすいので快適
付属のスタンド。足の取り付け位置と方向を変えることで、さまざまな角度で設定可能

 もしも、設置場所がうまく確保できないという場合は、VESAマウント(VESA100)のアームを利用するというのも1つの手だ。On-Lap 1502I/1502Tには、VESAマウント用の専用のアダプタがオプションで用意されており、本体側面下部に用意されているネジ穴で固定することで、アームに取り付けることが可能となっている。

 試しに、同じくテックウィンドが販売しているERGOTRONのNeo-Flex デスクマウントアーム(ERG-45-174-300)を利用して、設置してみたところ、かなり快適だった。個人的には、メインモニターの右手前、マウスを操作する右手の近くに設置すると、画面を確認しつつ、さっと右手を挙げて画面をタッチ操作できるため、この位置に設置するのがおすすめだ。

 ただし、付属するHDMIケーブルやUSBケーブルが短いため、アームをフレキシブルに移動させるという用途には向いていない。PCが離れている場合やアームの可動範囲を広げたい場合は、長いケーブルを別途自分で調達する必要があるだろう。

VESAマウントアームを利用すると自由に配置場所を決められる
ERGOTRONのアームと、On-LapをVESAマウントに対応させるためのアダプタ
本体を装着後、側面のネジ穴で固定。背面にアームを取り付ける

ようやくタッチ時代の幕開けか

 以上、テックウィンドから発売されたGeChicの「On-Lap 1502I」と「On-Lap 1502T」を実際に利用してみたが、既存のデスクトップPCやタッチ非対応のノートPCで、手軽にタッチ操作が可能になるだけでなく、マルチモニターによるWindows 8の操作性向上という2つメリットが受けられるため、非常にオススメできる製品と言える。

 Windows 8.1のプレビューリリースとともに、こういった製品が登場してきたことで、ようやく本格的なタッチ時代の幕開けを迎えることになりそうだ。

 悩むとすれば、1502Iと1502Tのどちらを選ぶかだが、これは既に触れたように1502Iをオススメする。解像度が高いのも魅力だが、何より視野角が広いため、設置場所を自由に選ぶことができる。場合によっては、VESAマウントのアームも活用し、タッチ操作がしやすい場所を選んで設置するといいだろう。

清水 理史

製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるWindows 8.1/7 XPパソコンからの乗り換え&データ移行」ほか多数の著書がある。