清水理史の「イニシャルB」

世界最速、下り最大2Gbpsの実力は? So-net「NURO 光」を導入する

 下り最大2Gbpsという、これまでに無かった通信速度を実現したSo-netの光ファイバーサービス「NURO 光」。PCなど、端末側の1Gbpsという上限を考えると、どのように2Gbpsのメリットを活かせばいいのか? と疑問に思っている人も少なくないことだろう。実際の環境に導入して、パフォーマンスをチェックしてみた。

維持することを決めた3本目の光

 通信可能な光ファイバーサービスとしては、これで3本目。すでにサービス変更や解約した回線も合わせると、つごう5回線目となる光ファイバーサービスが、我が家にやってきた。

 下り最大2Gbps、上り最大1Gbpsという過去最高スペックのSo-netの「NURO 光 G2」である。

 今年4月にサービスが発表された当初は、「さすがに、もう固定はいいだろう……」と考えていたのだが、しばらくすると、いろいろな人から、「(当然)NURO入れました?(よね)」などと、導入を前提とした話題を振られることが多くなり、相手の意外そうな顔を見る度に、「もしかしてボクは、周囲の期待を裏切っているのでは」と不安になり、ついつい申し込みをしてしまった。

通算5本目、契約中の回線では3本目となる光ファイバー「NURO 光」(一番右)を導入した

 NURO 光には月額7480円の「NURO 光 G2」と月額4980円の「NURO 光 G2 V」の2つのコースがある。サービス内容は同じだが、「NURO 光 G2 V」は2年間の継続利用が契約条件になっている。

 筆者の場合は3本目の光回線となるだけに、当初はしばらく使ったら解約するつもりでいた。そのため、月額7480円と月額料金は割高になるが、2年間継続の縛りがない「NURO 光 G2」で契約したが、今はこの選択を後悔している。

 というのは、実際使ってみると敷設済みのどの回線よりも速く、特に複数端末を同時に利用した際のパフォーマンスが良好なため、すっかりメインの回線として使うことに慣れてしまったからだ。

 もちろん他の2本を解約することも可能だが、仕事柄、複数の回線があるのはムダではない。なので、今回のNURO 光を3本目の光として維持することは、ほぼ確定。今は、料金プランの変更ができるかどうかを問い合わせてみようと考えている最中だ。

宅内と屋外の2回の工事

 サービス概要については、本コラムのSo-netへのインタビュー公式サイトを参照して欲しいが、NURO 光の提供エリアは、関東1都6県(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、群馬県、栃木県、茨城県。一部エリアを除く)に限られる。また、一戸建て、および2階建て以下の集合住宅が対象となる。

 提供エリアで導入を考えている場合、ポイントとなるのは速度と料金だろう。

 速度は、前述した通り、下り最大2Gbps、上り最大1Gbpsで、現在提供されている個人宅向けサービスとしては世界最速。足回りにはNTT東日本のシェアドアクセスを利用しているが、最大2.488Gbpsの転送速度を持つGPONと呼ばれる方式を採用することで、最大2Gbpsの速度を実現した。

 料金は前述の通り、月額料金は通常の「NURO 光 G2 V」で4980円(2年継続契約/自動更新)とリーズナブルな価格設定。この料金内で、最大450Mbps対応の無線LAN機能(IEEE802.11n/a/b/g)、および最大5台まで利用可能なセキュリティサービスが標準で含まれる。

 初期費用としては、契約事務手数料(840円)や基本工事費用(31500円)が必要になるが、基本工事費用は1050円×30カ月の月額払いとなる上、キャンペーンで月額料金から1050円×29カ月割り引くサービスを実施中だ。このほか、9月30日までに加入すると、最大2万円のキャッシュバックが受けられるキャンペーンも実施しているので、チェックしてみるといいだろう。

 導入は、工事が宅内と屋外の2回に分けて行われるのが特徴となる。前述したように、光ファイバーそのものはNTT東日本のものを利用するため、屋内はSo-net、屋外はNTTと、工事区分がなされていることになる。

 このため、導入時は2回の工事日を確保する必要がある。初回の屋内工事は立ち会い必須で、屋内へのONU兼無線LANルーターとなるホームゲートウェイの設置、屋外への光ファイバー用配線板の設置、ホームゲートウェイから配線板までの光ファイバーの敷設が実施される。

 筆者宅の場合、1階の仕事部屋に直接光ファイバーを引き込みたかったため、エアコンの配管を使って配線することにした。この時点では、屋外に光ファイバーが敷設されていないため開通確認はできないので、工事自体は1時間程度とさほどかからなかった。

1回目の工事は宅内のみ。エアコンの配管を使って光ファイバーを引き込んだ
1回目の工事で屋外に配線板を設置。2回目の工事は、近くの電柱からここまでの光ファイバーの敷設となる

 2回目の工事は、スケジュールの関係で約1週間後となったが、こちらも立ち会いは必要なものの、屋外のみの工事となるため、家に誰かがいて対応できればいい。屋外工事は状況により所要時間は異なると思われるが、筆者宅の場合は1時間ほどでスムーズに工事が完了した。

 屋外工事が完了すれば、晴れて2Gbpsの回線が開通するわけだが、最後の仕上げは自分でやる必要がある。前述したように、屋外工事の担当者の責任区分は家の外壁に設置した光の配線板まで。このため、屋内側は自分で担当する必要があるわけだ。

 と言っても、1回目の工事で配線とホームゲートウェイの設置は済んでいるので、基本的には電源を入れるだけ。しばらく待って、ホームゲートウェイの「LINE」と「WAN」ランプが点灯するのを確認できればOKだ。

 このあたりは、1回目の工事の際に、箱と一緒に受け取ったクイックガイドに、イラスト付きで詳しく紹介されているので、ルーターの設定などに詳しくない人でも問題なく設定できるだろう。

 ちなみに、このクイックガイドには、光ケーブルの取り外し方も紹介されている。宅内工事が別に実施されるため、万が一のトラブルの際でも、ユーザーが光ケーブルを抜き差しできるようにという配慮だ。興味本位で抜き差ししてみたが、コネクタ式になっており、カンタンに取り扱うことができた。

光ケーブルはコネクタ式になっており、カンタンに取り外しができる

IEEE802.11n対応の無線LANも標準で有効

 PCなどの端末の接続は、有線なら背面に用意された3つのLANポートのいずれかに接続するだけでいい。もう1つ「TA」というポートが用意されているが、これはオプションとして申し込み可能な「NURO 光でんわ」のアダプタを接続するためのポートとなる。

ホームゲートウェイの背面。回線が開通したら、PCなどを接続して、開通を確認する

 無線LANに関しては、標準で有効になっている。「F660T-xxxx-A」、「F660T-xxxx-G」というSSIDで利用可能だ。本体側面に貼付されたシールの暗号化キーを使って手動で接続することも可能だが、背面に用意されたボタンを利用することで、WPSで接続することもできる。

 ホームゲートウェイの設定画面は、「http://192.168.1.1」からアクセス可能で、シンプルであまり飾り気はないが、最大4つまでSSIDを追加したり、SSID間で通信を遮断したり、IEEE802.11nの帯域幅(20MHz/40MHz)を切り替えたりと、通常の無線LANルーターと同等の機能を備えている。もちろん、ポートフォワードなどの設定も問題なく可能だ。

 もちろん、無線LANを無効にして、別途Draft 11ac対応の無線LANルーターをアクセスポイントとして追加することもできるが、ここまでの機能を備えているのであれば、通常は、このホームゲートウェイのみで事足りるだろう。

設定画面はシンプル。飾り気はないが、必要な設定はしっかりできるようになっている

1台でも複数台同時接続でも速い

 気になるパフォーマンスだが、「世界最速」は決して大げさではないと言ってよさそうだ。

 以下は、筆者宅に敷設しているNURO 光を利用し、Radish Network Speed Testing(http://netspeed.studio-radish.com/)のマルチセッション版東京βにて、速度を計測した結果だ。

【表1】クライアントPC 1台のみ利用の通信速度(Mbps)
下り 上り
NURO 光 847.2 940.5
  • Radish測定パラメータ=精度:高、データタイプ:圧縮効率低、セッション数:16〜16
  • PC=Core i5-3570 3.4GHz/RAM16GB/WD10EACS/Intel Gigabit CT Desktop Adapter/Windows 8.1 Preview
  • 計測時間 平日午前9時
Radish Network Speed Testingのマルチセッション版東京βにおけるNURO 光回線の速度計測結果

 下りで847.2Mbps、上りで940.5Mbpsと、高い結果が得られている。一般的な1Gbpsの回線の平均速度が700Mbps前後だと考えると、もうワンランク上という印象だ。回線そのもののパフォーマンスも高そうだが、NURO 光のホームゲートウェイは2Gbpsの通信にも耐え得る設計になっている。詳しくはSo-net担当者インタビューの回を参照してほしいが、ONU(光回線終端装置)とルーターを一体化することで、外付けでは1Gbpsが上限となってしまうONUとルーター間も2Gbpsの帯域が確保されている。

 こういった点も影響して、高い速度が実現できていると言えそうだ。ONUとルーターが一体化していることで、管理が楽、設置スペースを取らないといったメリットがあるが、2Gbpsの速度を活用できるというのが最大のメリットと言っていいだろう。

 なお、普段の利用において、メールやウェブ閲覧程度であれば、ベンチ結果ほどの差を感じることはあまりないが、たとえばLinuxのディストリビューションをダウンロードする際などは、ウェブブラウザーのダウンロード表示で「60〜70MB/s(480〜560Mbps)」という速度が表示されることもある。これだけの速度が出ていれば、1GBほどのファイルも十数秒もあればダウンロード完了だ。

 もちろん、サイトによっては、ダウンロード時の帯域をサーバー側で制御している場合などもあり、またPCなど端末側の性能の上限もあり、すべてのシーンで速度をフルに活かせるわけではないが、ここまで速いと、GB単位のダウンロードがまったく苦にならなくなってくる。

 また混雑する時間帯も、他の光回線に比べると快適な印象だ。夕方や夜間など、混雑している時間帯にインターネット接続のレスポンスが悪くなる経験をした方もいるかもしれないが、NURO 光を使っていると、こういった時間帯による混雑の影響をあまり感じない。

 NURO 光でも複数のユーザーで回線を共有する方式が採用されているが、従来のGE-PONと異なり、共有部分もGPONの2.488Gbpsとなるため、広い帯域を共有できる。閲覧しているウェブサイトのサーバー側が混雑している場合などはどうしようもないが、とにかくあらゆるシーンで快適だ。

 とはいえ、下り最大2Gbpsという広い帯域を考えると、通常の利用において快適というだけでは物足りないと考える人も少なくないだろう。そこで、2Gpbsの威力を計測するために、複数PCでの同時通信テストを実施してみた。

 以下の表とグラフは、回線に2台のPCを有線で接続し、1台でオンラインストレージサービスから1.8GBのファイルをブラウザ経由で4ファイル同時ダウンロードしながら、もう1台のPCでRadishのマルチセッション版のテストを実行した結果だ。

【表2】別PCでファイルダウンロード中(2台利用時)の通信速度(Mbps)
radish通常時 radish測定中 オンラインストレージ通常時 オンラインストレージ測定中
NURO 光 847.2 845.8 186 174
  • Radish測定パラメータ=精度:高、データタイプ:圧縮効率低、セッション数:16〜16
  • PC=Core i5-3570 3.4GHz/RAM16GB/WD10EACS/Intel Gigabit CT Desktop Adapter/Windows 8.1 Preview
  • オンラインストレージに1.8GBのファイルを4つ保存し、Chromeから4セッションを利用して同時ダウンロード
  • 計測時間 平日午前9時

 今回利用したオンラインストレージサービスでは、1ファイル当たり約50Mbpsの帯域を安定して確保可能となっており、これが50Mbps×4で、合計200Mbps前後の負荷をかけることができるようになっている。

 回線そのもののキャパシティが低ければ、当然、この負荷の影響を受けることになり、Radishの速度が落ちるはずだが、結果はご覧の通り、NURO 光では、Radish側もオンラインストレージ側もほとんど速度の低下が見られない。つまり、2Gbpsの帯域を2台のPCでしっかりと活用できていることになる。

 他の回線の場合、同時通信の影響が、2台のPCの両方もしくは片方のテスト結果に如実に出てしまうことが多く、Radishの速度が200Mbps以上低くなってしまったり、オンラインストレージの転送速度が20〜50Mbps前後に落ちたりする場合もある。こういった速度低下が見られないのは、さすが2Gbpsの実力と言えそうだ。

 以下は、オンラインストレージ側の転送速度をWindows 8のタスクマネージャから、確認したときの様子だ。光回線でも、通常はRadishによる計測を開始するとオンラインストレージ側の速度がどんどん低下してしまうが、NURO 光では常に一定の速度がキープされていることがわかる。

計測時のWindows 8のタスクマネージャの様子。左側がNURO 光で、右側が別の光回線だ。NURO 光では、他のPCで通信を行なっても、速度の落ち込みがほとんど見られない

 こういった同時通信が行なわれるシーンは、日常生活で次第に増えてきている。実際、PS3などのゲーム機で、ファームウェアのアップデートやゲーム、映画などの映像コンテンツダウンロードで、GB単位のダウンロードを体験したことがある人も少なくないだろう。こういった大容量のダウンロードがいつまで経っても終わらないという状況が改善されるだけでなく、同時に他のPCやタブレットでも快適に通信を行なうことができる。

 家族の誰かが帯域を1Gbpsの上限近くまで使っていても、さらに1Gbpsの余裕があるのだから、このメリットは大きいと言えるだろう。

クラウド時代のブロードバンド環境を

 以上、So-netのNURO 光を実際に導入して、その実力をテストしてみたが、クラウド時代のブロードバンドは、こうあるべきというお手本のようなサービスと言ってよさそうだ。

 単に速いというだけでなく、回線を複数のユーザーや機器でシェアしたときの快適さが追求されており、PCやスマートフォン、タブレット、ゲーム機、ネットワーク家電など、身の回りに溢れかえる機器の通信要求に余裕で応えることができるようになっている。

 今年後半にリリースが予定されているWindows 8.1ではSkyDriveがOSに統合される。今後登場する新型ゲーム機もインターネットへの依存度はますます高くなることは確実だ。これまでにはなかったようなクラウドを利用したサービスも、今後、次々に登場してくるだろう。

 そういった時代の中、家庭内のインフラがいつまでもメガの時代のままでは、もはやサービスの利便性を100%享受することができなくなってしまう。クラウドを中心として、さまざまな機器やサービスが展開する時代だからこそ、ギガのインフラ、それも複数ユーザーや複数機器でギガの帯域を活用できる回線を用意すべきだろう。

清水 理史

製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるWindows 8」ほか多数の著書がある。自身のブログはコチラ