清水理史の「イニシャルB」

スマートフォンからも写真を閲覧可能に
バッファロー「おもいでばこ PD-100S/W-L」

 バッファローから、「おもいでばこ」の新製品PD-100S/W-Lが登場した。新たにスマートフォン連携が追加されたのが特徴だが、細部にわたって使いやすさもブラッシュアップされた完成度の高い新製品だ。

パワーアップしたニューモデル

 バッファローから登場した「おもいでばこ PD-100S/W-L」は、従来の同シリーズの機能を強化した最新版の製品だ。

 HDDを搭載したデジタルフォトアルバムという位置づけの製品で、背面に用意されてたHDMI/ビデオ出力端子を利用してテレビに接続。デジタルカメラのSDカードなどから取り込んだ写真を保管し、テレビに表示して楽しむことができる。

 今回、新しく登場した「PD-100S/W-L」は、2011年11月に発売されたPD-100から数えて3代目となる新製品。リモコンのデザインを一新したほか、スマートフォンとの連携機能を強化し、アプリを使ってスマートフォン上で直接写真を閲覧することなどが可能となっている。実際の製品をお借りすることができたので、実際の使い勝手を見ていこう。

バッファローの「おもいでばこ PD-100S/W-L」。1TBのHDDにデジタルカメラなどの写真を保存することで、テレビなどで手軽に閲覧できる
正面
背面

初心者向けの配慮が満載

 製品が登場した当初から興味はあったものの、実際に触れるのは初体験となる「おもいでばこ」。実際に操作してみると、実によく作り込まれた製品であることを実感できた。

 リモコンで電源スイッチをオンにすると、簡単な起動画面が表示された後、ホーム画面が映し出される。クロス地のやさしいイメージの壁紙(壁紙はテーマで後から変更可能)に「最近取り込んだもの」などのメニューやディスク使用量が棒グラフで表示され、軽快なリズムのBGMが流れてきた。

おもいでばこのホーム画面。クロス地のやさしいイメージのデザインとなっているうえ、BGMも再生される

 かつてのPC系のSTBと言えば、もっさりとした操作性、無機質なデザインが定番だったが、そんな印象はかけれらもない格段に洗練されたイメージだ。

 画面デザインもフレンドリーでわかりやすいうえ、何より、常に流れているBGMによって、操作に迷ったり、何もしない時間が続いたとしても、まったく退屈しない。こういった演出は、過剰だと鼻につくし、足りないと冷たい印象がしてしまうのだが、この「おもいでばこ」はちょうど良い塩梅に仕上がっている。

 初心者向けの配慮も万全だ。本製品は有線LANでの接続に加えて、同梱されているUSB無線アダプターによる無線LAN接続にも対応しているのだが、このUSB無線アダプターを接続した状態で起動すると、ホーム画面表示直後に、無線設定に関するガイドが表示される。

 案内に従って「その他の設定」-「設定」-「無線LAN」とリモコンで画面を進めていくと、接続設定を開始できる。AOSS・WPSでの接続はもちろんのこと、手動設定でも付近のアクセスポイント一覧を選び、リモコンの数字キーを使って携帯電話方式で暗号キーを入力できるようになっており、簡単に設定することができた。

付属のUSB無線LANアダプタを装着すると、ホーム画面に案内が表示される
わかりやすいUIで無線LANの設定も簡単にできる

 ネットワークに接続したついでに、プリンターにも接続してみた。本製品では、「Epson iPrint」に対応したエプソン製のネットワークプリンターに対応しており、ネットワーク経由で取り込んだ写真を印刷することが可能となっている。筆者宅で利用しているEP-903Fで試したみたが、無線LANでの接続後、何の問題もなくプリンターを認識し、接続することができた。

 最後に、リモコンの電源ボタンや音量ボタンでテレビも操作できるようにするための設定もしてみたが、接続したテレビのメーカーを選択後、画面に表示されるアニメーションを見ながら、リモコンの特定のボタンをいくつか押せば完了だ。

 こういったリモコンコードの設定は、レコーダーなどでも必要だが、通常は、取扱説明書に掲載されている細かな表を見ながらの操作となるため、該当機種を探すだけでも一苦労となる。これに対して、本製品では、画面上で設定のステップがきちんとアニメーションで表示されるようになっている。こういった工夫は、地味だが高く評価したいポイントだ。

 今や家電でも、説明が簡略化される方向にある中、必須ではない機能までも、きちんとユーザーが設定に迷わないように工夫している。各所に見られる同様の設計思想には感心させられるばかりだ。

Epson iPrint対応のプリンタを登録して印刷に利用することができる
リモコンの設定も画面の指示通りにボタンを押せばOK。こういった細かな工夫が秀逸

写真を取り込んで表示してみる

 初期設定が完了したら、実際に写真を取り込んでみることにしよう。と言っても、操作はとても簡単だ。

 フロントのSDカードスロットにデジタルカメラのSDカードを装着し、横にある「とりこみ」ボタンを押せばいい。取り込み状況の進捗が表示され、自動的に写真がおもいで箱のHDDに転送されていく。

 取り込み中は、本体の「とりこみ」ボタンが緑色に点滅するため、画面を表示していなくても取り込み作業が進行中であることが一目でわかる。このため、テレビを見ている最中に取り込むことができるうえ、取り込み中に間違ってSDカードを抜いてしまうことも避けられる。こういった点もよく考えられている。

フロントのスロットにSDカードを装着し、とりこみボタンを押すと取り込み実行。取り込み中はボタンが緑に点滅する

 動作音は、本体に内蔵されたHDDからかすかに「チリチリ」といった感じのアクセス音が聞こえてくるものの、本体はファンレスであることもあり、動作音自体は非常に静かだ。これなら、テレビの側にむきだしのまま設置しておいてもまったく気になることはないだろう。

 ただし、取り込み中はほかの操作ができない点に注意が必要だ。バックグラウンドで写真を取り込みつつ、取り込み済みの写真を見るといったことができるのが理想だが、現状は取り込みが完了するまで気長に待つしかないだろう。

 取り込んだ写真は、ホーム画面の「最近とりこんだもの」で一覧表示され、リモコンで写真を選択すれば画面一杯に大きく表示することができる。また、「カレンダー」で日付を選択して表示することができるうえ、位置情報が付加されている写真は地図も表示することができる。

 ユニークなのは、「フォーカス」と呼ばれる機能だ。この機能は、選択した写真を中心に、その日、半年、1年、2年前後と、自動的に他の写真をピックアップしてくれる機能となる。これにより、たとえばお正月の写真から、大晦日の写真を表示したり、昨年のお正月の写真を見たりと、思い出を広げていくことができる。このあたりは、まさに「おもいでばこ」ならではの機能と言えそうだ。

取り込んだ写真は「最近とりこんだもの」からすぐに参照可能
カレンダーで日付を指定して写真を閲覧することもできる
フォーカス機能によって、選択した写真を中心に、HDD内の写真から「おもいで」を集め、過去の写真などを自動的に表示できる

 写真の整理については、お気に入りボタンを使ってスターを付けたり、アルバムを作成して写真を分類することが可能だ。ここまで整理できれば、確かにPCレスで写真を管理することができそうだ。

 このほか、写真の一覧で、「メニューボタン」を押すと、サブメニューが表示され、設定画面から登録したプリンターを使って写真を印刷したり、「おもいでばこ とりこみ・かきだしツール」をインストールしたPCに写真を書き出したりすることができる。本製品はSMBやFTPによるPCからのアクセスはサポートされていないため、PCとの間の写真のやり取りは、すべてこのツールを利用することになる。NAS的に使えてもよさそうだが、写真の保存に特化させているからこそ、良好な使い勝手やわかりやすさを実現できていると言えそうだ。

 なお、動作に関しては非常に軽快で、リモコンでメニューを選択する場合のレスポンスは良好でストレスは一切感じない。写真の一覧表示画面が標準で横8×縦4の32枚表示となるため、サムネイルを表示するのに若干時間がかかることがあるが、ほぼ気にならないレベルで非常にスムーズだ。

 リモコンのボタン配置も自然で、戻るボタンなどを意識せずに使えるうえ、画面上に常にボタンの機能を示すガイドも表示されるのもすばらしい。操作系はかなり練り込まれている印象だ。

写真は、お気に入りとしてマークしたり、アルバムを作成して管理することができる
写真を表示した状態でメニューボタンを押すと、印刷やPCへの転送が可能となる

スマートフォンから利用してみる

 続いて、スマートフォンから利用してみよう。写真の取り込みに関しては2通りの方法がある。1つはUSBを利用した方法だ。前面のUSBポートにスマートフォンを接続し、SDカードのときと同様に「とりこみ」ボタンを押せば、自動的に写真を取り込むことができる。

 実際にau版のiPhone 5sとGALAXY Note 3で試してみたが、無事に写真を取り込むことができた。GALAXY Note 3に関しては、本体およびmicroSDカードの両方の写真を自動的に取り込むこともできたので、カメラアプリで保存先を指定している場合でも意識せずに利用できるだろう。

 もう1つの方法は、アプリを利用する方法だ。Android/iOS用に無料で提供されている「おもいでばこアプリ」をインストール後、スマートフォンを無線LANに接続し、写真を選択して転送すれば、スマートフォンの写真をおもいでばこに保存することができる。すべての写真を取り込むなら前者、写真を選択して取り込むなら後者の方法が便利だろう。

Android(左)とiOS(右)向けにアプリが提供されている

 2014年1月現在、Android用のアプリに関しては、スマートフォン→おもいでばこ方向での写真の転送、および画面上のボタンを利用したリモコンとしての利用しか、機能が搭載されていないが、iOS版に関しては、これらに加えておもいでばこのデータを参照できる新機能が追加されている(Android版は2014年2月追加予定)。

 おもいでばこに保存されている写真をスマートフォン上で直接操作できるため、テレビ表示の場合と同様に「最近追加した写真」や「カレンダー」などの一覧から写真を選択して表示したり、選択した写真をスマートフォンにダウンロードしたり、Facebook/Twitter/メールなどの手段で友人と写真を共有することなどができる。

 プライバシーの観点から、スマートフォンを接続する際は初回にパスコードによる登録操作が必要だが、この設定さえ済ませてしまえば、極端な話、あとはテレビ画面を利用する必要はない。写真の取り込みは前面のボタン、もしくはアプリを使えばいいし、写真の表示や整理もスマートフォンだけで完結させることが可能だ。

iOS版では、おもいでばこの写真をスマートフォンから直接参照したり、ダウンロードしたり、SNSと連携させることができる

かなり実用的な製品

 以上、新機能を搭載してパワーアップしたバッファローの「おもいでばこ」を実際に試してみたが、かなり完成度が高く、実用的な印象だ。

 当初は、NASにビデオ出力と簡易的なUIをかぶせただけの製品だと考えていたのだが、写真を扱うことに特化させることで、細部までしっかりと作り込まれており、PCやスマートフォンに詳しくないユーザーでも、迷わず使えるように工夫されている点に感心した。

 特に、今回の新製品では、リモコンが一新されていたり、スマートピックアップでスマートフォン上で直接写真を扱えるなど、かなり利便性が向上している。ここまでできれば、クラウド上のサービスではなく、「おもいでばこ」に写真を保管して管理するのも選択肢として十分にアリと言えそうだ。

 唯一のネックは価格だろうか。今回試用した1TBの「PD-100S/W-Lは、同社の直販サイトの価格で36,800円となっている。実際に製品を触ってみると、その完成度は実感できるのだが、少々、躊躇する価格ではある。この価格に納得できれば、間違いなく「買い」と言っていい製品だろう。

清水 理史

製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるWindows 8」ほか多数の著書がある。自身のブログはコチラ